意識を失い倒れたゾウ レスキュー隊員がジャンプで心臓マッサージ(タイ)
2022年7月21日(木)
ゾウの心臓付近でジャンプする男性(画像は『The Guardian 2022年7月15日付「Elephant and baby saved in dramatic rescue from manhole in Thailand」(Photograph: Taanruuamchon/Reuters)』のスクリーンショット)
今月13日、深い排水溝に落下した子ゾウを救出するために地元のレスキュー隊が出動したというニュースがタイより届いた。
近くにいた母ゾウを鎮静剤で眠らせたのだが、子ゾウが救出されても母ゾウは意識を取り戻さず、獣医の指示のもとレスキュー隊員らがゾウの上でジャンプをして心臓マッサージを行った。懸命な処置のおかげで母ゾウはすぐに目を覚まし、子ゾウとともに森へかえったという。
『The Guardian』などが伝えている。
タイ中央部カオヤイ国立公園にて今月13日、1歳の子ゾウが道路脇にあった深さ2メートルの排水溝に落ちてしまった。
排水溝が深すぎて子ゾウは自力で登ることができず、心配そうに周囲を歩く母ゾウの姿を見つけた地元民が同公園のスタッフに通報し、スタッフらは高所作業車や掘削機を用意して子ゾウの救出を開始した。
同公園で獣医として務めるチャナニャ・カンチャナサラさん(Chananya Kanchanasarak)は「母ゾウが近くにいる限り子ゾウに近づくことができなかったので、鎮静剤を3回打つことにしました。しかし鎮静剤により気を失う前に子ゾウの近くに移動してしまい、母ゾウも排水溝に落下してしまったのです」と当時の状況を明かした。
母ゾウは頭から突っ込むようにして体の半分が排水溝に落ちてしまったが、このおかげで子ゾウは母乳を飲むことができ少し落ち着きを取り戻したという。
そしてレスキュー隊はクレーンを使い、子ゾウに覆いかぶさるように落下してしまった母ゾウを先に救助した。
母ゾウの体を持ち上げ排水溝から救助できたのだが、鎮静剤により意識を失った母ゾウはなかなか目を覚まさず、この様子を見たチャナニャさんの指示のもとレスキュー隊員らは母ゾウに心肺蘇生を行い始めた。
地面に横になった母ゾウの上に数人が乗り全体重をかけるようにして両手で心臓マッサージを始めたが、ゾウの体があまりにも大きいので効いている気がしない。
その傍らでは母ゾウと離れてしまいパニックとなった子ゾウが悲鳴に近い鳴き声を上げており、当時の様子を捉えた動画には必死に排水溝をよじ登ろうとする子ゾウの姿が映っていた。
“すぐに子ゾウも救助しなければ”と判断した別のレスキュー隊員らが排水溝の一部をクレーンで掘り、子ゾウが自力で這い上がれるようになだらかな坂を作った。
そこから排水溝を脱することができた子ゾウは一目散に母ゾウのもとへ駆けていった。
雨が降る中、レスキュー隊員らが懸命に処置を行っているものの母ゾウはなかなか目を覚まさなかったため、レスキュー隊員の1人がゾウの体の上に立ちジャンプをして大胆な心臓マッサージを行った。
この案が功を奏したようで母ゾウは意識を取り戻し、立ち上がると我が子のもとへ駆け寄った。
ゾウの親子は互いの無事を確認すると森にかえっていったそうで、この姿を見たレスキュー隊員らは安堵の息をついた。
なお過去にもタイのチャンタブリー県で、オートバイにはねられ瀕死の状態だったゾウの赤ちゃんに救急隊員が心臓マッサージを行い命を救ったという動画がネット上で大きな話題を呼んでいた。
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