「ウサギ島」ピンチ、観光客が放置したエサで「天敵」増える矛盾
2022年5月1日(日)
数百匹の野生ウサギが生息し、「ウサギの島」として人気を集める広島県竹原市の大久野島でカラスやネズミなどの害鳥や害獣が増えている。
観光客が持ち込んだウサギの餌の食べ残しが原因とみられ、ウサギのために与えた餌が「天敵」を増やすという矛盾にあえぐ。
事態を受け、島を管理する環境省などは観光客へのマナーの啓発などを担うサポーターの育成に乗り出した。
(石田仁史)
島に生息するウサギ。観光客のマナーのあり方が問われている(大久野島で)
大久野島のウサギは、島内の小学校で飼育されていた数匹が1970年代に放たれ、野生化して増殖したとされる。
開設された国民休暇村のシンボル的存在として人気を呼び、市のPRもあって観光スポットになった。
観光客らがSNSなどで「ウサギ島」と紹介したことで知名度が上がり、2013年に約12万5000人だった観光客数は、19年には約28万9000人に膨れあがった。
かつて旧日本陸軍の毒ガス兵器工場があり、今も各所に遺構が残る島だが、今では「ウサギ島」の愛らしいイメージが定着している。
島内でウサギの餌は販売しておらず、観光客が持ち込む野菜などが生息を支える。
ただ、多すぎて食べ残した餌が放置され、それを餌とするカラスやネズミ、イノシシなどの増加を誘発。
本来、ウサギは食べてはいけない菓子パンやスナック菓子などを与える観光客もいる。
また、餌を奪う際にカラスがウサギの目をつついたり、弱ったウサギを捕食したりするケースも確認されており、生息環境に影響が及んでいるという。
島のビジターセンターでは「餌を置いていくのはNGです。少量を与えて食べ終わるまで見守って」や「餌を残すことはカラスにウサギの居場所を教えることになり、人間がいなくなるとカラスは弱っているウサギを捕食します」といった注意喚起のチラシを置いているが、ルールが観光客に浸透しきっていない。
事態を重く見た同省中国四国地方環境事務所(岡山市)と市は昨年11月、課題解決を図るための実行委員会を結成。
観光協会や関連事業所、自治会などの約20人がメンバーで、島のより良い未来に向けた協議を進めている。
サポーター育成はその一環で、「大久野島未来づくりサポーター」と銘打ち、今年3月末まで募集したところ、50人を超える応募があったという。
サポーターは今後、島の現状などについての研修を受け、夏頃から実際に活動を始める。
同事務所は「ウサギとの接し方やマナーを、訪れる人々に伝える役目を担ってもらいたい」としている。
勝手な人間がいるからこのようなことになるんです。
不幸になる動物がいるのは身勝手人間の責任です。
動物を不幸にする人間を精進させるための手段・取り組みが必要です。
(byぬくもり)