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保護猫ボランティア「子猫のゆりかご」

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あの人に聞きたい/
保護猫ボランティア 赤石朔さん(富士市) 「子猫のゆりかご」を運営【NEXT特捜隊】

2022年2月27日(日) 静岡新聞

殺処分寸前の猫を引き取って育て、希望者に譲渡する保護猫ボランティアの富士市立富士中1年の赤石朔さん(13)。
同市の40代の女性会社員から「感心する」と、藤枝市の50代の主婦から「愛のある活動を多くの人に知ってほしい」と取材依頼が寄せられた。
赤石さん家族が自宅で営む子猫園「ベルソーデシャトンズ(フランス語で子猫のゆりかごという意味)」は希望者に引き渡すまで猫を育てる場所。園を訪ね、活動への思いを聞いた。


赤石朔さん(富士市)

■命救うのに理由は不要
叔母が保護猫を飼い始めたのをきっかけに、捨て猫や野良猫の多くが殺処分される現実を知りました。
全国では年間約2万匹が殺処分され、うち半数以上は生まれたばかりの赤ちゃん猫。
ショックを受け、自分も保護猫2匹を引き取りました。
1匹でも多くの猫の命をつなぎたい。
思いが強まり保護活動の先輩の下で“修業”して2019年4月、子猫園を開設しました。
活動は主に保護、治療、育児、譲渡先探し。
主に保健所などの依頼で子猫を保護し、動物病院に連れて行きます。
その後は子猫園で育て、譲渡会やSNSで譲渡先を探します。
赤ちゃん猫は3時間おきに授乳が必要。
排せつ補助や体重測定など多忙です。
でもやるしかない。
命を救うのに理由なんていらない。

■「素直な負け」こそ幸せ
保護猫の命はつらいドラマから始まります。
「いらない」「困る」とゴミ箱やドラム缶に放置されたり、人間の金銭欲のため劣悪な「ブリーダー崩壊」環境に置かれたり。
栄養失調、病気、心の傷などあらゆる問題を抱えてここに来る猫たち。
「ここには幸せしかないよ」と愛情を込め育て、それぞれに名前を贈ります。
威嚇したりおびえたりと、人間に不信感を抱く猫たちにはご飯をあげ、優しく声を掛け、時間をかけて接します。
家族として育てた猫とはずっと一緒にいたいのが本音。
それでも「この人なら自分より幸せにしてくれる」と素直に負けを認められる人に譲渡します。
お宅に行ったり写真を見たりして、猫とその人の幸せを実感すると、自分も幸せです。

■人間社会の意識が問題
野良猫は保護されなければ、多くが殺処分や交通事故の犠牲になります。
「命を大切にする」。
当たり前のことを、大人はなぜ忘れてしまうのか。
人間の都合で猫が犠牲になる現実はおかしい。
現状を放置する人間社会の意識こそ問題です。
猫の不妊・去勢手術の責任明確化、ペット産業廃止、動物虐待の罰則強化…。
課題は山ほどあります。
医療費をはじめ、活動費は年間約400万円。
半分以上は持ち出し。
人的・物的支援に本当に感謝しています。
猫たちが安心してずっと暮らせる家をつくることが夢。
費用を稼ぐため、今は一生懸命勉強します。
同時に、保護猫活動が注目されない「当たり前のこと」になるよう情報発信します。

<profile>
あかいし・さく 2008年、富士市生まれ。生まれた時から自宅には猫がいて、人の気持ちに寄り添う猫のすべてを魅力と感じている。家族を中心としたボランティア少人数で運営する子猫園では、日々の世話や情報発信を担当する。これまで200匹以上を保護。多くの猫の命を希望者につなげた。個人からの保護依頼は原則受けていない。毎週日曜、同園で完全予約制の譲渡会を開いている。3月21日午前10時~午後5時、富士市鮫島のイオンタウン富士南で活動を紹介するパネル展を開く。

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静岡新聞社

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