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身勝手な飼い主の増加、700羽を保護する鳥の保護団体の悲鳴

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「引き取らないなら捨てる」「SNSのネタにならない」
身勝手な飼い主の増加、700羽を保護する鳥の保護団体の悲鳴

2022年2月19日(土)  

手乗りにもなる文鳥や、色鮮やかな姿と可愛らしい顔つきのコザクラインコなど、人懐こく愛らしい面が強調される小鳥たち。
比較的気軽に飼えるペットとしても人気だ。
その一方で、埼玉県にある鳥の保護活動を行うNPO法人「小鳥のレスキュー会」では、飼えなくなった鳥の引きとり依頼が増えているという。
同団体代表理事の上中牧子さんに話を聞くと、ペットを手放す飼い主に“身勝手”な理由がこの10年で増えていると現状を明かした。


実際に川に捨てられ、動けなくなっていたニワトリ(写真:小鳥レスキュー会)

■「手乗りにならなかった」身勝手な飼い主が増加、ペットの“ファッション化”に懸念
小鳥レスキュー会では、現在約40種類、約700羽の鳥を保護している。
同団体では、飼育できなくなった飼い主からの引き取りと里親探し、警察と連携しての迷子鳥、放置鳥の引き取り保護など地域と連携した活動など、活動内容は多岐に渡る。
代表理事の上中さんを含む、同団体に携わる全員が有志のボランティアだ。
毎日18時間掛かる世話を無償で行う。
取材前日も夜中の2時まで保護鳥の世話をした帰りだった。
飼っている鳥の引き取りを希望する飼い主の理由はさまざまだ。
しかし、法人化前も含めて25年間保護活動を行う上中さんは、ここ10年ほどで引き取り依頼にくる飼い主の手放す理由の傾向に変化が見られると指摘する。
飼い主の病気などやむを得ない理由のほか、「手乗りにならなかった」「しゃべらない」「ほかのペットを飼うから」といった、あまりにも飼い主中心な理由が多くなったという。
引き取り理由の変化について、ファッション的に動物を飼育する人が増えたことが一つの理由なのではないかと上中さんは述べる。
「引き取りの際には、手放す理由を聞きます。10年前には『がんで余命宣告された』など深刻な場合が多かったです。しかし、SNSが流行り始めた10年ほど前から、ファッション的に飼う方も多くなりました。『もうネタがないから』とコザクラインコを引き取ったこともありますが、そうした方がその後に別の動物を飼い始める…といったケースも多く存在します。また、同じころから『結婚するから』『子どもがいるから』といった理由などで、簡単に手放す人が増えています」(上中代表理事/以下同)

■「引き取らないなら捨てておきます」 常態化する悲惨な状況に、活動断念するボランティアも
活動を続ける上で直面する困難を聞くと、なによりもまずは「引き取りを依頼する飼い主の身勝手な言動が日常茶飯事」であることだという。
「ほっといたら死んでしまう」という現状から、なるべく全ての鳥を保護しようとする小鳥レスキュー会。
そんな同団体の想いを逆手に取るようなケースも後を絶たない。
「先日も、段ボールに瀕死の状態のチャボが入れて送られてきました。一度きりのことではなく、こうしたケースには何度も遭遇しています」。
また、同団体では引き取りの際に、検査費用として2万円を飼い主から受け取るが、実際には支払いがされないケースが半数もあるのが現状だ。
「『(ボランティアで)好きにやってるんだから、早く引き取りに来てよ。引き取りにこないなら、捨てておきますね』と言われたことも何度もあります」
こうしたショッキングなケースが日常的に起こり、ストレスを抱え活動を辞めるボランティアも多い。
「手放す人の勝手な理由を聞いたり、里親希望者のなかには『この種類のこの色がいい』とペットショップ感覚の方も多くいます。こうした現状にストレスを抱え、ボランティアの方も辞めていってしまいます」
「無責任な飼い主は、鳥だけではなくほかの動物に対しても同じような対応をしている方も多いのではないでしょうか。当施設では、ほかの動物を引き取ることもあるのですが…鳥の引き取り依頼に来て『鳥だけじゃないんですね、じゃあウサギとネコもお願いします。引き取り先、見つからなくて――』と言ってくるような方がとても多いです」
無責任に手放される鳥は、同団体の保護実績だけでも数えきれず存在するという。
公式HPでは保護した迷子鳥の情報に加えて、こうした実例も掲載している。
少しでも多くの鳥、動物の命を助けたいと活動する同団体の思いが認知され、活動支援の輪が広がってもらいたい。
本当に最後まで世話ができるのか、飼い始める前にしっかりと考えることが、無責任に手放される動物をなくすためにも必要だろう。

小鳥レスキュー会(外部サイト)
■Twtitter:小鳥レスキュー隊の隊長(外部サイト)

【NPO法人】 小鳥レスキュー会 『活動案内の紹介』/2021 - YouTube

 

”3千円”で買った命、どこまで世話できる?
 知識不足の飼い主増加…鳥の保護団体が警鐘「寿命や治療費も調べて」

2022年2月17日(木)  

埼玉県にあるNPO法人「小鳥のレスキュー会」では、現在約40種類、約700羽の鳥を保護している。
飼育できなくなった飼い主やブリーダーからの引き取りと里親探し、警察と連携しての迷子鳥、放置鳥の引き取り保護など地域と連携をとった活動を行う同団体。
代表理事の上中牧子さんは、保護活動のなかで知識不足のまま飼育して手に負いきれなくなったり、最後まで世話をしきる覚悟を持たない飼い主が多く存在していると語る。
上中さんに鳥保護活動の現状について話を聞いた。


寄り添い合って眠る高齢の文鳥ペア(写真:小鳥レスキュー会)

■一人暮らし高齢者でも飼いやすいのか? 意外と知られていない、鳥の平均寿命
鳥のなかでもペットとして人気なのが、文鳥とインコだ。
小鳥レスキュー会で実際に引き取るのも、近年はこの2種が多い。
小さいサイズの鳥は、犬や猫と比べて世話も簡単で気軽に飼い始める高齢者も多いという。
「犬と比較して、80代の高齢者でも鳥は気軽に飼えてしまいます。『一人暮らしで寂しいから、鳥だったら水とエサを与えておけばいいだろう』と飼われる方は多くいます」(上中代表理事/以下同)
しかし実際には文鳥で8~10年、コザクラインコで8~15年ほどの平均寿命といわれている。
「例えば、ジュウシマツは古い飼育本だと平均寿命3年と書かれているものもありますが、当施設で保護している子は13年生きています」
もちろん、個体差や飼育環境でも寿命はかなり変わってくるが、40~50年生きるヨウムなど犬や猫よりも平均寿命の長い種類も存在する。
「飼育されていた方が亡くなってから、その方が鳥を飼育していることが判明し、警察や親戚の方、不動産の管理人から連絡が入ることも多いです。頻度はその時によって違いますが、先週は約2件こうした連絡がありました。その子たちは健康診断後、施設で現在も保護中です」

■1羽3千円で買えるけど…「“お金”と“時間”の覚悟をもってから飼ってほしい」
インコや文鳥は、一般的にペットショップで1羽3千円程度から“安価”で買えるというのも、気軽に飼えてしまう理由の一つだろう。
しかし、病気になった際には治療に数万、数十万の費用が掛かる場合もある。
飼育を始める前に治療費を調べ、自分が本当にそこまで面倒を見れるのか考えることも必要だ。
「人間と同じで、鳥も年を取るとがんにもなるし、白内障、糖尿にもなります。『手術代に20万円掛かるなら、3千円で(新しく)セキセイインコを買った方が安いですね』と言った方もいました。いずれ、年をとって介護が必要になります」
「鳥に限らないですが、面倒を見切れないなら飼わないでもらいたい。そして、飼った鳥に何かしてあげられるとしたら“お金”か“時間”しかない、と覚悟をもった上で飼ってもらいたい」と飼い主が心がけるべきことについて、切実な思いを述べた。

■“巣=寝床”ではない、SNSで見かける光景に不安も 「安易に繁殖させ、手放す人がいる」
そして、SNSで見かけることも多い“巣”を巡る光景についても懸念を示す。
「鳥の巣を“ベッド”だと思っている方がとても多いです。ですが鳥にとって巣(壺巣)は、“寝床”ではなく子育てするための“保育器”のような場です。用意してしまうと、メスは卵を生むようになります。産卵は体に負担が掛かる行為のため、母鳥が衰弱したり、卵を産みすぎて低カルシウム血症になったりと、死亡リスクが高まります」
文鳥などの一部の鳥は、一般家庭でも容易に繁殖する。
「うちの可愛い子の子どもを見たい」という意図的なケースに加えて、飼育環境への知識不足から鳥かごに巣を用意したために、意図せず繁殖させてしまうケースが存在するという。
一般家庭で飼われる鳥は、親子や兄弟の関係性であることが多い。
こうした狭い関係性で繁殖を繰り返すと血が濃くなり、奇形の雛が生まれるリスクも高まる。
「片脚がない奇形で生まれた文鳥が、『止まり木に止まれないから飼育できない』と持ち込まれたケースもあります」
ほかにも鳥が日常的に巣を使うことは、健康面のリスクに繋がると指摘する。
「人間の感覚で、巣で寝た方が疲れないのではないかと思う方もいますが、鳥は片脚で寝ても疲れない身体の仕組みになっています。かえって巣で寝る事で(止まり木を使う鳥に比べて)足腰が弱まるのも早まり、健康上のリスクは高まります」
一見、気軽に飼育できると勘違いされやすい鳥。
しかし飼育を始める前に知識を身につけ、世話に掛かる費用と時間を真剣に考える人が増えれば、飼育途中で放棄するケースも減るだろう。
だが、3千円と値付けられた命だから、お金も購入価格と同程度しか掛けられない…という考え方があるのも事実。今後、ますます飼い主の覚悟が問われるべきだ。


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