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「猫の預け先ない」入院拒否、自宅療養中の50代男性死亡 

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自宅療養中の50代男性死亡 「猫の預け先ない」入院拒否

2021年8月20日(金) 西日本新聞


熊本市役所

熊本市は20日、新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中だった50代の男性会社員が死亡したと発表した。
基礎疾患があることなどから保健所が入院を勧めたが本人が拒否。
軽症だったこともあり、保健所の判断で自宅療養を認めていた。
自宅療養中の死亡例は熊本県内では初めて。
市によると、男性は1人暮らし。
13日に陽性と確認され、保健所が健康観察していた。
16日午後、血中酸素濃度が低下していたことなどから保健所が男性に入院を勧めたが、「ペットの猫の預け先がなく入院したくない」「入院は最後の手段。具合が悪いときは連絡する」と拒否していたという。
保健所は男性と協議し、19日以降に外来を受診して必要と判断されれば入院すると合意。
だが、19日朝以降、男性と連絡がつかなくなり、同日夜、保健所の連絡を受けた警察官が室内で倒れている男性を発見した。
市は「大変重く受け止めている。連絡が途絶えてから訪問までの時間を短縮するなどの方策を考えたい」としている。
(古川努)


「預け先ない」自宅療養で死亡の男性…猫は無事保護 ペットの“その後”に残る壁

2021年8月26日(木) 西日本新聞

新型コロナウイルスに感染した男性が「猫の預け先がない」と入院をためらい、自宅療養中に死亡した熊本市の事例が、インターネット上で「人ごとじゃない」と注目を集めた。
気になるのは猫の「その後」。
市によると、所在不明だったが無事発見され、今後新しい飼い主を探す手続きに入る。
ペットの預け先となるのは動物病院や家族、知人だが、費用負担の大きさや二次感染への恐怖心から、二の足を踏むケースも少なくないようだ。
「自分が同じ状況になったら、きっと同じ選択をする」「明日はわが身」。
男性の事例が報道されると、ツイッターにはこんなコメントやリツイート(転載)が相次いだ。
「猫ちゃんが心配」との声も多かった。
市などによると、男性は1人暮らし。
13日に陽性と確認され、保健所は入院を勧めたが、男性は「猫の預け先がない」と拒否。
19日になって連絡が途絶えた。
猫は室内で飼われていたとみられるが、19日に警察や消防が駆け付けた際には目撃されていない。
市担当者が室内にえさを置くなどして探したところ、25日に発見。
幸い、飼育希望の申し出が複数あるという。
「相談があれば救えたかもしれないのに…」。
竜之介動物病院(熊本市中央区)の徳田竜之介院長は男性の死を悔やむ。


新型コロナウイルス患者のペット専用の部屋で、預かった犬の様子を見る徳田竜之介院長

同病院はペットホテルも運営し、コロナ感染者の依頼で犬や猫、ウサギなど約30匹を受け入れてきた実績がある。
預かる際にはワクチン接種済みの職員が防護服を着て動物を送迎。
隔離室で健康チェック後、専用の部屋に移す。
最大50匹受け入れ可能で、料金は小型犬や猫が1日3200円、最も高い40キロ以上の大型犬で同4850円。
検査費用が別途必要となる。
同病院には感染「第5波」で問い合わせが急増しているが、ネックは1カ月で10万円前後の費用。
徳田院長によると「退院時期が見通しにくく、長引けば費用はかさむ。実際に預かるのは一握り」。
24日時点では犬4匹を預かっている。
また、徳田院長は「ペットから人に感染するという誤解が、預け先探しを難しくしている」と指摘。
厚生労働省も、人から動物への感染例はあるが、ペットから人への感染報告はないとしている。
2016年の熊本地震でペット同伴避難所を開設した経験もある徳田院長は「ペットは家族であり、社会の一員」と強調。
「コロナ禍は災害級。人命を救うためにペットを保護する必要があるならば、公的な救済の仕組みがあってもいいのでは」と提案する。
(古川努)


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