ゾウの嗅覚は犬より鋭い 森で16日間行方不明だった男性をゾウが発見(タイ)
2021年8月7日(土) TechinsightJapan
捜索活動に加わったゾウが行方不明者を察知(画像は『Chiang Rai Times 2021年7月29日付「Elephant Helps Find Man Missing for 16 Days in Northern Thailand Forest」』のスクリーンショット)
人間よりも鋭い嗅覚を持つ動物が、行方不明者の捜索にあたることはめずらしくないだろう。
もっともよく知られているのは警察犬の存在だが、このたびタイ北部で16日間も森の中をさまよっていた男性がゾウの助けにより奇跡的に発見されたというニュースが届いた。
『Chiang Rai Times』『sanook.com』などが伝えている。
去る7月28日、16日間も行方不明だったタイのチェンマイ県サンサーイ地区に住むアーモンさん(Amorn Wongsurit、58)がバーンポン地区の森にある竹林で発見され、保護された。
ハングドン警察によると、7月13日にバーンポン地区バンメイカニン村の住民が森のそばにバイクが放置されていることを村長に報告したのがはじまりだったという。
当初、村人たちは森の中で食べ物を探していた人のものだと思っていたが、16日になってもバイクは同じ場所に放置されたまま横転していたため村長が警察に通報した。
警察の調べにより、バイクはパタマさん(Pattama)という女性のものであること判明した。
彼女は警察から連絡を受けた日にバイクを引き取りに来たが、アーモンさんについては何も語らなかったそうで、アーモンさんとは無関係だったと見られている。
それから1週間ほど経った7月24日、アーモンさんの親族からハングドン警察に「アーモンが失踪して家に帰らない」との連絡が入った。
彼は7月12日にバイクに乗って家を出て、食材を探しに近くの森に向かったことが分かった。
アーモンさんは健忘症だったため、森の中で迷っているのではないかと心配されていたのだ。
連絡を受けた警察は地元の救助隊や村人と合流しすぐに捜索を開始したが、彼を見つけることができないまま3日が過ぎた。
そして7月27日の捜索で、アーモンさんのものと思われる青いシャツが木の枝に引っかかっているのが発見された。
警察は「タイ・エレファント・アライアンス協会(Thai Elephant Alliance Association)」に協力を仰ぎ、近くの「パタラ・エレファント・ファーム(Patara Elephant Farm)」の象使いとゾウが捜索活動に加わった。
翌28日の午後遅く、ゾウは森の中を1時間ほど歩いた後それ以上進むことを拒否した。
そして耳を広げてその場を歩き回り、地面に鼻を何度も叩きつけたのだ。
これはゾウが何か問題を見つけた時の合図だという。
警察や救助隊がその周辺を捜索すると、竹やぶに横たわっているアーモンさんが発見された。
ゾウが立ち止まった場所からわずか10メートルほど離れたところだった。
アーモンさんは16日間何も食べておらず、立つことができないほど衰弱していたが、水場を探して過ごしていたため生き延びることができた。
彼を見つけた救助隊はすぐに水と食べ物を差し出し、その後ハングドン病院に搬送した。
パタラ・エレファント・ファームのオーナーであるテーラパットさん(Theerappat Trangprakarn)は、アーモンさんが発見された時の状況についてこのように明かしている。
「発見されたのは、バイクが放置されていた場所から3キロほどしか離れていませんでした。そこは誰もが捜索していた場所です。でも見つけられず、何かが私たちの目を覆っているようでした。今回ゾウが見つけることができたのは、彼らは匂いに敏感だからです。ゾウは犬のようなコミュニケーションを取ることはできませんが、犬より鋭い嗅覚を持っていると思われます。」
(TechinsightJapan編集部 上川華子)