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ペット高騰、さらに続く? コロナ禍、需要が増加

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ペット高騰、さらに続く? コロナ禍、需要が増加

2021年5月19日(水) 中日新聞

ペットの値段が高騰している。
以前は20万円ほどだった犬や猫が今や40万円超。
コロナ禍の巣ごもり需要でペット業界はほくほくなのかと思いきや、多くの業者が戦々恐々としている。
規制強化の動きがあり、猛反発しているのだ。
一方で、大枚はたいて迎えたペットを捨てる人が相次いでいる。ペット商戦異状あり。
割を食うのが物言わぬ犬、猫でいいのか。
(大平樹、榊原崇仁)


ペットショップの店員に抱かれる犬と猫

◆コロナ禍 需要が増加
コロナ禍で思うように外出できない日々も、新たな家族がいれば豊かなものになるかもしれない−。
そう思い、神奈川県内のペットショップを回った。
ケージの中ですやすやと昼寝をしたり、じゃれ合ったりする子犬たち。
かわいらしさににやけながら、値札に視線を移し、思わず固まった。
生後3カ月のチワワに約40万円の値が付いていた。
人気のトイプードルは80万円を超えた。
では、猫はというと、こちらも高い。
垂れた耳が愛らしいスコティッシュフォールドが約50万円、人懐こいとされるアメリカンショートヘアは約40万円だった。
さらに、ワクチン接種、保険、ケージなどなどといろいろ金がかかる。
とても手が出ない。
20年ほど前は、高くて20万円に届くかどうかだったような記憶がある。
首をかしげていると、男性店員が「20万円で犬や猫を買える時代はかなり前に終わりました。ペット人気が長年続く間、値段も上がり続けています」と苦笑交じりに教えてくれた。
ペットオークション業者でつくる一般社団法人ペットパーク流通協会の上原勝三会長によると、子犬と子猫の取引価格はこの20年間、おおむね上がり続けている。
3万円ほどだったのが今は約10倍の30万円になっている。
最大の要因は取引数の減少だ。
国の基準変更で一定数以上の繁殖に届け出が必要になり、素人が繁殖させられなくなった。
そこに来て、このコロナ禍だ。
家で過ごす時間が増え、ペットを飼おうという人が増えた。
上原さんは「新たに飼う人だけでなく、すでに飼っている人がつがいにしたり、犬と猫の両方を飼ったり、という人も増えている」と話す。
一般社団法人ペットフード協会の推計によると、昨年10月時点で新たに飼われた犬は5万8千匹、猫は6万7千匹増え、過去5年間で最も多かった。
仕入れ段階で値段が上がっているのだから、ペットショップでの販売価格が上がるのも当然だ。
ある店では、成約したペットの写真と価格が張られていた。
幼いほど人気があり、価格も高い。
中には100万円を超える例もあった。
そんな値段でも、店頭に出したその日に買い手が付くことは珍しくないという。
ペットを飼うには、死ぬまで面倒を見る覚悟が必要なことは分かっていた。
だが、この値段となると、家計の方でも覚悟を決めなければならない。
悩んでいると、店員が気になることを言ってきた。
「この値段で買えるのも、最後かもしれません」
動物愛護法によって、さらなる値上がりが予想されているのだという。
どういうことなのか。

◆愛護法、飼育数に上限規制、業者 客離れに戦々恐々
動物愛護法は2019年に改正された。
その柱の一つが飼育数上限の新設だ。
環境省が昨年7月に示した案では、繁殖業者の場合、従業員一人当たりの犬の飼育数は15匹、猫は25匹まで。販売業者は一人当たり犬20匹、猫30匹を上限とした。
背景には悪徳業者の存在がある。
狭いケージで大量飼育して売りさばくケースがあるためだ。


福井県の販売業者が過密飼育していた犬 =2017年12月ごろ(日本動物福祉協会提供)

そこで環境省は、従業員一人が1匹を世話するのに必要な作業時間を試算した上、8時間労働の中で丁寧に飼育できる上限数を導いた。
同省動物愛護管理室の担当者は「基準に従わない業者には改善の勧告や命令などを出した上、飼育業登録を取り消すことも考えている」と語る。
だが業者から悲鳴が上がった。
規制が始まると多くの業者で扱える頭数が減る。
減らさないためには、従業員や飼育施設を増やすしかなく、利益が出にくくなるのだ。
流通する犬、猫の数が減り、コストがかさむから、売値はさらに上がる可能性が高い。
すると、飼いたくても、あきらめる人が増えるかもしれない。
業者にしてみれば、客も減りかねないということになる。
昨秋のパブリックコメント(意見公募)では「飼育スタッフの新規採用や設備投資には時間と財源が必要」「ブリーダーやペットショップのみならず、トリマーや動物病院、ペット用品の製造販売に関わる従業員や家族の生活にも影響する」と声が寄せられた。
反発を受け、環境省は昨年12月に方針を変更した。
飼育数上限の導入は当初予定の今年6月から1年先送りし、「繁殖業者は一人当たり犬25匹、猫35匹、販売業者は犬30匹、猫40匹が上限」でスタート。
1年ごとに一律5匹ずつ減らし、24年6月に当初の基準案通りに施行することにした。

◆多頭飼育崩壊、悪質業者対応は待ったなし
ただ、悪質な業者への対応は待ったなしだ。
飼育数を増やし、手が回らなくなる多頭飼育崩壊で警察沙汰になるケースが相次いでいるのだ。
今月11日には、劣悪な環境で小型犬85匹を衰弱させたなどとして、静岡県富士市の元飼育・販売業者が逮捕された。
一方で、飼い主の飼育放棄も相変わらず多い。
環境省によれば、自治体の動物愛護センターや保健所などが引き取った飼い犬や飼い猫は2019年度の1年間で計1万4千匹に上った。
コロナ禍で事態はいっそう深刻になっている。
犬の引き取りや譲渡を担う民間団体「ケンの家」(横浜市)の浅川晶枝さんは「従来は高齢の方が『面倒を見切れない』と相談を持ちかけてきた。コロナ禍では30〜40代の方でも『自身の生活が苦しく、犬を飼い続ける余裕がない』と引き取りを求めてくるようになった」と明かす。
犬猫の殺処分ゼロを目指す公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県芦屋市)の佐上邦久理事長は「昨年来、家計に余裕のある人が『旅行や飲食などでお金を使う機会が減った』『浮いたお金でペットでも』と飼い始めているように思う。安易な考えが根本にあると、安易に飼育放棄へ走りかねない」と語る。
より心配なのはコロナ禍の後のこと。
「『仕事が忙しくなった』『家でペットと過ごす時間がほとんどない』と飼育を投げ出す人が続出しないだろうか」と気をもむ。
浅川さんは「ペットの命も人間の命と同じように大切。飼い始めようと思っている人は、自分で世話できるのかをよく考えるべきだし、売る側も買う人に問いかける必要がある」と呼び掛ける。

【解説】なぜ?新型コロナ禍で高騰する「子犬の販売価格」 その課題と懸念 岡山 - YouTube


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