高校生が保護犬譲渡活動
散歩やトイレしつけ、愛情たっぷり
2021年5月17日(月) 岐阜新聞Web
岐阜県養老郡養老町祖父江の大垣養老高校の部活動「犬クラブ」が、動物保護団体から譲渡された保護犬に散歩やトイレなどのしつけをして、飼い主を見つける活動を始めた。
今月には、2匹のトイプードルをそれぞれ新しい家族に引き渡した。
同校では、虐待などさまざまな事情で保護される犬がいる現状を発信し、保護犬の譲渡に取り組んでいくという。
保護犬は、迷い犬や野犬、飼い主が手放したなどさまざまな事情で保護された犬。
悪質なブリーダーから保護される場合もあり、狭く不潔なケージで飼育され、人間に恐怖心を感じる犬も多いという。
クラブは昨年発足し、所属する12人は犬の飼育を学びながら学校で飼う美濃柴犬とラブラドルレトリバーの計3匹を世話する。
昨年12月に初めて保護犬を受け入れ、これまでに1匹を譲渡した。
今回譲渡した2匹はいずれも雌で、ブリーダーが繁殖のため飼っていたとみられる推定7歳の愛三(あいみ)と同5歳の二瑚(にこ)。
3月に同校に来た当時は毛が抜けて食欲もなく、人にも慣れていなかったという。
生徒は約2カ月間、根気よく散歩やトイレを覚えさせ、人に慣れさせた。
2匹はその後、新しい飼い主の家で1週間過ごし様子を見て譲渡が決まった。
譲渡を前に15日、同校で飼い主を対象にしつけ教室を開き、生徒がトイレや歯磨きなど世話の方法を教えた。
新しい飼い主にブラッシングの仕方を指導する生徒
「ブラッシングは嫌がるが『いい子だね』と声を掛けてして」などと説明し、飼い主も熱心に質問し学んでいた。
2年の伊藤眞鈴さんは「愛三は最初は怖がって近づいてこなかったが、今は甘えん坊」と目を細める。
愛三は心臓に持病がある可能性があるが、揖斐郡揖斐川町の女性(48)が引き取りを申し出た。
女性は「新しい環境が心臓に負担にならないか心配したが、家では慣れた様子で安心した。トイレも失敗せず、生徒たちがしっかりしつけてくれたと感じた。最期まで世話したい」と語った。
伊藤さんは「これからも悲しい環境にいた犬を救ってあげたい」と話し、2匹を見送っていた。