80歳から飼い始めた犬のキョンちゃん
きっかけは認知症の夫の言葉〈週刊朝日〉
2021年5月3日(月) AERA dot.
ペットはもはや大事な家族。
読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。
今回の主役は、犬のキョンちゃん(3歳)です。
キョンちゃん(提供)
* * *
うちの犬はヨークシャーテリアの雄(写真、3歳)、3年前、80歳の時から飼い始めました。
認知症の主人が「今年は戌(いぬ)年だから犬を飼ってもいいんだよなあ」と言い出したのがきっかけです。
言い出したことなどすぐ忘れるでしょうし、基本、あまり犬好きではない主人。
何とか可愛がってもらいたくて、命名は主人に頼みました。
悩んだ末、主人が考えた名前は「キン」。
私の名前「京子」からきているとのこと。
私に対する愛情、感謝の気持ちから出てきたようです。
じゃ、お父さん、せめて「キョン」はどう? ということで、わが家の愛犬はキョンと申します。
飼い始めた時、近所の方に「大丈夫、私90歳までは元気でいるから」と強がりを言って、「でも、犬は15歳以上生きるでしょう」と呆れられたりしました。
でも、私にも成算があったのです。
職場が遠かった独身の長男が、将来の親の世話を理由に、その数年前、近くの支店に異動させてもらっていたのです。
私が面倒見られなくなったら、きっと犬好きなお兄ちゃんが見てくれるはず。
ところが、飼い始めた翌年、私が主人の介護に手を焼いているのを見かねた息子が、同居してくれるようになりました。
そしてその年の終わり、思いがけなく主人が天に召されました。
今は、二人と一匹の生活。
昼間一人きりでもキョンが主人のいない心の隙間を埋めてくれます。
夕方、大好きなお兄ちゃんが帰宅すると、お兄ちゃんの部屋に入りっきり。
良かったね、キョン! いつかお母さんがお父さんに呼ばれてあちらに行っちゃっても、お兄ちゃんと二人で15歳でも20歳でも幸せに長生きして、天寿を全うしてね!
(千葉県千葉市/82歳/主婦)
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※週刊朝日 2021年5月7-14日合併号