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動物福祉とは

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動物福祉とは

【動物福祉】とは一言でいえば、「動物が精神的・肉体的に充分健康で、幸福であり、環境とも調和していること」です。
自分の気持ちの思うままに、気の向いたときだけかわいがることは、動物福祉が満たされているとは言えず、「かわいがっている=福祉に配慮している」とは言い切れないのです。
動物も人間も命あるものであり、感覚があります。
人間以外の動物の基本的ニーズ(生理的、環境的、行動的、心理的、社会的)は人間と共有しています。
飼育下あるいは人間によって制限された環境にいる動物たちは、これらのニーズを自身で充たすことは出来ません。
ですから、人間にはそのような動物ができる限り快適に、できる限り苦痛をうけずに生活できるようにする義務と責任があります。

◆国際的動物福祉の基本(5つの自由)
1960年代の英国で、家畜の劣悪な飼育管理を改善させ、家畜の福祉を確保させるために、その基本としてこの「5つの自由」が定められました。
現在では、家畜のみならず、ペット動物・実験動物等あらゆる人間の飼育 下にある動物の福祉の基本として世界中で認められ、EUではこれに基づい て指令が作成されています。
英国では動物福祉法2006の第9条「福祉を保障するための動物の責任者の 義務」としてこの「5つの自由」を「動物のニーズ」という形で条文に書 き込まれています。
また、世界獣医学協会(WVA)においてもその基本方針の中に謳いこまれております。

5つの自由(5フリーダム)福祉の基本
1.飢えと渇きからの自由
その動物にとって適切かつ栄養的に十分な食物が与えられていますか?
いつでもきれいな水が飲めるようになっていますか?
2.不快からの自由
その動物にとって適切な環境下で飼育されていますか?
その環境は清潔に維持されていますか?
その環境に風雪雨や炎天を避けられる快適な休息場所がありますか?
その環境に怪我をするような鋭利な突起物はないですか?
3.痛み・傷害・病気からの自由
病気にならないように普段から健康管理・予防はしていますか?
痛み、外傷あるいは疾病の兆候を示していませんか?
そうであれば、その状態が、診療され、治療されていますか?
4.恐怖や抑圧からの自由
動物は恐怖や精神的苦痛(不安)や多大なストレスがかかっている兆候を示していませんか?
そうであれば、原因を確認し、的確な対応が取れていますか?
5.正常な行動を表現する自由
動物が正常な行動を表現するための十分な空間・適切な環境が与えられていますか?
動物がその習性に応じて群れあるいは単独で飼育されていますか?
また、離すことが必要である場合には、そのように飼育されていますか?

以上、「日本動物福祉協会」さんのホームページより抜粋


動物の心を大切にする「動物福祉」

ハートネット

WebライターのKです。
目の見えない人のための盲導犬、耳の聞こえない人のための聴導犬、身体に不自由のある人のための介助犬、そしてアニマルセラピーなど、福祉分野では、動物たちが支援を必要とする人々を支える重要な役割を果たしています。
そして、福祉分野に限らず、私たち人間は、産業利用される家畜動物、動物園や水族館の展示動物、科学研究のための実験動物、一般家庭のペットなどさまざまな形で動物たちを活用しています。
そのような動物の活用を認めながらも、動物たちのストレスをできるだけ取り除き、動物の生命を尊重しようという考え方を「動物福祉animal welfare」と言います。
日本ではあまりなじみのない、この分野の専門家が、日本獣医生命科学大学の入交真巳(いりまじり・まみ)さんです。
人間と動物との関係をより良くするための「動物と人間の関係学」が専門で、動物たちの精神衛生を管理する「動物の心」のカウンセラーでもあります。


日本獣医生命科学大学講師の入交真巳さん。


大学キャンパスは東京都武蔵野市にあります。

幼い頃から動物好きな入交さんは、大学で獣医科学を学ぶようになって、医療の現場において「動物の心」への配慮が少ないことが気になっていました。
「動物好きだと獣医にはなれない」、そんなフレーズがまかり通ることにずっと反発を感じていました。
そして、1995年に渡米し、10年間動物行動学を学び、国際的な獣医師の資格を取得した入交さんは、欧米の「動物福祉」という考え方に大いに共感することになりました。
欧米諸国の「動物福祉法」は、人間が動物を利用する際に、劣悪な環境で飼育したり、動物に無用な恐怖や苦痛を与えたり、残虐な殺傷をすることを禁止しています。
獣医が動物の手術や治療を行う際には、できるだけ動物をリラックスさせ、ストレスを最小限度にとどめるやり方を選択します。
モルモットのような実験動物に対しても、同じような考え方で接します。
食肉として利用する家畜については、屠殺する最後まで苦痛など与えないようにし、動物を虐待するような扱いは行わないようにします。
動物園などの展示動物に対しては、動物としてストレスを感じない環境を確保し、心身ともに健康な状態を維持できるようにします。
「動物福祉」は単に動物を情緒的に愛するだけではなく、動物への理解を重んじる考え方です。
動物にも人間同様に基本的なニーズを満たしてもらうことによって、安心感を得たいという心は備わっています。
そのような「動物の心」を尊重するためには、各種の動物の習性や生態への理解を深めることが重要になります。
「“動物福祉”は“動物行動学”と表裏一体のものだ」と、入交さんは言います。
人間の福祉に貢献する動物についても、「動物福祉」の考え方は重視されます。
例えば、盲導犬については、厳しい訓練によって、大きなストレスを抱え、寿命も短いと誤解されることがありますが、日本盲導犬協会によれば、欧米から移入された教育法は、「動物福祉」の考え方に沿ったもので、決して犬に過剰なストレスは与えないと言います。
子犬の時代から愛情を注ぎ、各々の犬の性質を見極め、健康チェックも頻繁に行います。
そして、人の指示に従ったら「グッド」という褒め言葉でその行動を強化し、人と一緒に作業をすることに喜びを感じる犬に育て上げていきます。
「飼い主は犬のボスになることが不可欠で、叱責や体罰を与えて、厳しいしつけをしないと従順な犬は育たないと考える人が多いのですが、実は脅して犬の気持ちを押さえつけるのではなく、犬の習性を理解して豊かなコミュニケーションを取る方がずっと効果的なのです」と、入交さんは言います。


写真提供:公益財団法人・日本盲導犬協会

障害者を支援する補助犬事業、高齢者や病人を癒すアニマルセラピー、命の大切さを学ぶ学校の動物飼育など、人間の生活の向上に動物たちは大きな貢献をしています。
また、家族の間や地域でも、ペットを通じて会話が弾み、人間関係が良好になることが知られています。
動物の尊重は、人間の尊重にもつながります。
入交さんは、獣医をめざす学生たちには、「人間が自分たちの都合のために活用する動物であっても、動物を決してもの扱いしてはならない。最後まで、その動物らしく生きられるような配慮をすべきだ」と教えています。


写真提供:公益財団法人・日本盲導犬協会

【投稿】
・獣医師を目指している高校生です。この記事を読んで、自分のやりたいことのひとつが動物福祉であることに気づきました。友達や家族に接するのと同じように、動物に対しても相手を理解しようとする気持ちは不可欠だと思います。いつか、専門的な知識を持っている人も、そうでない人も、誰もが動物の行動や心理を理解し、命を尊重する社会が当たり前になったらいいなと思っています。

・素晴らしいです。娘も全盲肢体不自由です。お仕事をしている盲導犬介助犬聴導犬すごいです。育てた人もすごいです。頑張ってください。応援しています。 投稿:はるちゃん


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