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ペット飼育放棄の現実、どうすれば身に付く?

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飼育放棄の現実…ペットを「一生大事にする覚悟」、どうすれば身に付く?

2020年10月12日(月 オトナンサー

◆ペットを飼う覚悟とは?
コロナ禍による自粛生活で、犬や猫をペットとして新たに飼う人が増えたそうです。
ただ、こうした動きを一過性のブームと捉え、近い将来、ペットである犬や猫の飼育放棄が増えることを危惧する声が少なくありません。
環境省によると、2018年度の犬・猫の殺処分数は犬が7687匹、猫が3万757匹で、以前よりかなり少なくなったとはいえ、まだ一定数の殺処分は行われています。
ペットを飼うときに言われることが「一生大事にする覚悟を持て」ということですが、責任を持ってペットを飼う覚悟はどのようにすれば身に付くのでしょうか。
獣医師の増田国充さんに聞きました。

◆家庭環境の変化や経済的理由で…
Q.ペットの犬や猫が飼育放棄されてしまうのは、どのような要因が多いのでしょうか。
増田さん「犬や猫の飼育放棄は減少してはいるものの、現状ではゼロではありません。その理由はさまざまです。主な理由として、家庭環境の変化が挙げられます。例えば、転居や飼育者の病気、高齢になったことなどにより、やむを得ず手放す場合がありますが、犬・猫の病気や鳴き声、かみつくといった習性や行動に由来する問題もあります。 さらには、飼い主の失業や飼育頭数過多といった経済的な事情によるもの、実際に飼ってみたら理想と違った…といったものまであります」

Q.ペットを飼う前と飼い始めた後で、飼い主が抱くギャップの大きさも飼育放棄がなくならない要因なのですね。
増田さん「残念ながら、実際に飼ってみたら理想と現実が大きく異なっていたことが理由で手放すことがあるようです。例えば、ラブラドール・レトリバーは大型犬です。たくさんの散歩が必要でその分、食事の量も多いですし、非常に力強いです。このように犬種によって習性や性質に特徴があり、それらを考慮せず、単に見た目だけで気に入って購入してしまい、実情と合わなくなってしまうのは大変残念で悲しいことです。 また、同じ犬種であっても個性はそれぞれ異なりますので、個々の犬種の特徴を必ずしも兼ね備えているわけではありません。生命のあるものなので病気やけがをすることもあり、想定外の経済的な支出や餌やりなどの世話で生活面に制限を受け、不自由さを感じることもあります。このような『こんなはずではなかった』という不幸はなくしていく必要があります」

Q.現状、ペットショップでお金を支払えば、誰でも犬や猫をペットとして購入することが可能です。簡単に購入できることに問題はないのでしょうか。
増田さん「比較的、気軽に購入できることで起こるペットの衝動買いが要注意だと思います。『犬や猫を家族に迎え入れたい』と思ったとき、検討しなければいけないことはたくさんあります。検討する前に『かわいい』が先走ってしまい、迎え入れた後の現実を十分に想定していないケースがたくさんあるのではないでしょうか。 たまたま、子犬を見ていたところ、抱っこをして目が合ったことで一目ぼれし、衝動的にスイッチが入ってしまう人が一定数いると聞きます。それ自体を全て否定するわけではありませんが、家族を迎え入れるための十分すぎるほどの覚悟と決断が必要と思います。 また、動物を家に迎え入れる方法として、保護犬や保護猫という選択肢もあります。もちろん、こちらに関しても安易な気持ちで迎え入れるのではなく、迎え入れたい人と対象となる犬や猫とのマッチングがカギを握ります。多くの保護団体などでは、面談や一定期間のトライアルを経て正式に家族として迎え入れる方法をとっています」

Q.ペットショップでは飼い主に対して、事前に飼育をシミュレーションする機会やペット飼育のお試し期間などを設けることはできないのでしょうか。
増田さん「ペットショップでは、事前に飼育をシミュレーションする機会やペット飼育のお試し期間というのは設けられていないことが多いようです。そのため、犬や猫を迎え入れる前から、購入者自身が一緒に生活している状態を事前にシミュレーションしておくことが何より重要です。 確かに、そこに犬や猫がいないので実感が湧きにくいですが、すでに犬や猫を家族として迎え入れている人に様子を尋ねてみたり、メリットやデメリットなどの経験をした人からのフィードバックを得たりすることは非常に有意義です。 また、犬や猫は生きているので当然、病気やけがをしますし、そうした場合は治療のための医療費がかかります。食費やトイレシーツといった消耗品など、生活する上でのコストは想像以上であることが多いのです。このような飼育にかかる細かな年間コストの目安もネットを使って調べることができるので、ペットを購入する前に目を通してほしいです」

Q.責任を持ってペットを飼う覚悟は、どのようにすれば身に付くのでしょうか。
増田さん「ペットを飼うとどれくらいコストがかかるのか、どれくらい生活面で不自由さを感じるのかなどを調べるというように、ペットと生活するための事前の準備を徹底的にすることです。犬や猫、あるいはその他の動物と生活しようと考えたとき、彼らの命に責任を持つ覚悟ができていなければ、本来は飼ってはいけません。 そのためには、その動物の習性をきちんと理解し、自分の生活環境や経済力としっかり向き合わなければならないと考えます。大型犬であれば、生活するための十分なスペースと運動するための時間、そして、栄養状態を維持するための食費など、その動物に対し適正な環境を確保できるかどうかを見極めましょう。 また、転居や家族の増減といった人間側の条件にも柔軟に対応できるかも考えておく必要があります。何より、終生、迎え入れた動物への愛情を注ぐこと、その情熱を維持していれば、必ずその気持ちは相手の動物にも伝わるものと確信しています」

オトナンサー編集部


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