「ボロボロの猫を助けて!」
薬品かけられた地域猫を保護、「この子を二度と不幸にはしない」
2020年9月12日(土) ORICON NEWS
猫の殺処分ゼロを目指し、日々活動を続けるNPO法人『ねこけん』。
『ねこけん』のブログでは、猫を保護した際のリアルな状況、悲惨な姿まで隠すことなく伝えており、多くの読者に動物愛護の必要性を問いかけている。
ブログで語られた猫たちの様子を、あらためて代表理事・溝上奈緒子氏に取材。当時の様子とともに、その後の猫たちについて聞いた。
薬品をかけられボロボロになった地域猫(写真:ねこけんブログより)
■全身真っ白の粉まみれ、薬品をかけられた地域猫
「ひどい状態の猫を助けてもらえませんか?」
そんな相談が、ある日『ねこけん』にメールで寄せられた。
ボランティアメンバーが早速、現場へ赴くと、その猫はどうやら地域猫のようだった。
毎日ご飯をあげていた家の人によると、1ヵ月ほど前に2~3日姿を見せない日があり、再び現れたときには全身真っ白の粉にまみれ、皮膚がただれた状態になっていたという。
その人の協力のもと、「猫が来た」との連絡が入ってすぐに保護。
「何かの薬品をかけられて、ボロボロでかわいそうな状態。猫ちゃんを連れて帰る車の中は、薬品の匂いでこちらも具合が悪くなりそうなほどでした」と溝上氏は振り返る。
ボロボロの猫は身体中の毛がゴツゴツと固まり、まぶたの皮膚は溶けかかっていた。
『ねこけん』に到着後、すぐに猫をお風呂に入れて洗浄。
だが、その後血液検査をすると、かけられた薬品のせいで急性腎不全と急性肝不全になっていたという。
そんな猫を前にした心境が、ブログではこう綴られている。
「猫が好きとか嫌いとか。糞をしたとかしないとか。鳴き声がうるさいとかうるさくないとか。どんなに理由を付けても、猫に薬品をかけたり、暴力を振るうのは虐待です。強烈な薬品を漂わせ、ボロボロの猫を前に改めて、動物虐待の撲滅を強く願うのであります」。
■「一度不幸になった子を、再び不幸にはできません」
今では猫の容態も安定したが、「一度不幸になった子を、再び不幸にはできません。だから、地域猫だったこの子も、もう一度外に戻すつもりはありません」と溝上氏は力強く語る。
とはいえ、外で生きてきた野良猫を、家猫として迎え入れることは簡単なことではない。
「まだ幼ければすぐ人に慣れるんですけど、大きくなると慣れるまでに時間がかかります。平均で3年くらい、猫によっても変わりますが年単位で時間がかかることは確実です」とのこと。
「野良猫は、自分の子どもに“人間は怖いものだ”と教えます。逆に、母猫自身が人に慣れていると、子どもも怖がることがなくて。お母さんが人を警戒していると、子どもも絶対に人を警戒する猫に育ちます」。
ボロボロだった猫は今、『ねこけん』によって安全な室内で保護されている。
しかし、外で生き、しかも人間から虐待された猫の心の傷が癒えるのは、まだ先のこと。
新たな家族に出会い、幸せな暮らしができるまで。『ねこけん』によるケアは、続いていく。
【写真】あまりの姿に「思わず二度見」、誰にも助けてもらえなかった地域猫の実態
(文:今 泉)
【関連記事】
【写真】「涙腺崩壊!」傷つき人を信じられなくなった猫、心を開いた奇跡の瞬間
【猫と子ども】保育園まで迎えに来てほしくて…“道を教える息子”と“真剣に聞く猫”が「どっちもかわいい」