国道付近で捨て犬が繁殖 10年以上で30匹超に 北海道滝上
2020年6月6日(土) 北海道新聞
北海道オホーツク管内滝上町の山間部を通る国道付近で長年捨て犬が繁殖しており、町が保護活動に乗り出した。
道路上をうろつく犬は交通事故の原因にもなるなどとして、町内外から苦情が寄せられていた。
町内山間部を通る国道273号上をうろつく犬
5月中旬には、犬や猫の保護活動を行う団体と協力し、15匹を捕獲した。
町中心部から旭川方面へ約30キロにある国道273号。
5月28日午後に訪れると、犬7匹以上が闊歩(かっぽ)し、大胆に寝転がっていた。
走ってくる車に近づき犬が餌を求めると、速度を緩めて食べ物を与える運転手もいた。
町住民生活課によると、同地区では30匹超の犬が繁殖しており、その状態が10年以上続いていたという。
同課は「犬がたくさんいるので『捨て場』と認識され、さらに犬が遺棄されるという負の連鎖が起きている」と分析する。
町役場には同地区を通った人から「危ない」と苦情が入っているほか、今年5月には犬猫の保護・譲渡活動を行う「認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会」(空知管内長沼町)からも指摘を受けた。
これを受け町は、しっぽの会のメンバーとともに保護活動を開始。
5月13日から犬がすみつく廃虚となった建物付近に犬を傷つけない箱わなを設置し、子犬は手でつかまえた。
町は「対策が遅れたことは反省している」とした上で、「犬を捨てたり、餌をやることは絶対にやめてほしい」と呼び掛ける。
しっぽの会の上杉由希子代表は「自治体だけでは犬の保護活動は難しい。保健所や住民が連携することも大切」と話す。
今回保護した15匹の犬は、しっぽの会が11匹、北見と紋別保健所が2匹ずつ預かった。
町は今後、動物を捨てないように啓発活動を行うほか、犬の捕獲を続ける方針。
保護した犬は、町のホームページで引き取り手を探すことにしている。