犬猫に迫る餓死や殺処分の危機 住民避難で置き去り、感染不安も 中国
2020年3月16日(月) CNN.CO.JP
河南省の建設現場から保護された捨て犬
新型コロナウイルス流行の発生源となった中国湖北省武漢市で、住民が避難した家に取り残されて死んだり、死の危険にさらされるペットが続出している。
「特に武漢市では、住民が避難した際にたくさんの犬や猫が集合住宅に置き去りにされた」。
動物保護団体ヒューメーン・ソサエティ・インターナショナル広報のウェンディー・ヒギンズ氏はそう語り、北京や大連、西安などでもそうしたペットが取り残されていると指摘した。
活動家らがペットを助けた住宅は、武漢市内だけでも1000戸を超すといい、中国全土では相当数に上ると推測している。
取り残されたペットのほとんどは飢えにさらされている。
やむなくペットを置き去りにしなければならなかった飼い主は、大抵がすぐに戻れると思って数日分の餌や水しか残して行かなかったという。
ところが1カ月近くたった今も、多くの住民が帰宅できずにいる。
ヒューメーン・ソサエティと連携する中国の保護団体の推計では、湖北省内の集合住宅に取り残された犬や猫は数万匹に上る。
「もし流行が制御できないままの状態が続けば、事態はさらに悪化する」と同団体のデン・ファン氏は危惧する。
同団体には心配した飼い主から、自分のペットの様子を確認してほしいという依頼が相次ぐ。
依頼の電話は大連市だけでも400件以上に上り、取り残されていた犬や猫少なくとも380匹を救出した。
2月下旬には香港の当局が、犬の鼻と口から採取した検体を検査した結果、新型コロナウイルスの「弱陽性」反応が出たと発表した。
専門家は、ペットが人に新型ウイルスを感染させることはまずないと指摘する。
しかしヒギンズ氏やファン氏によると、不安の矛先が動物に向けられて、飼い主に対してペットを外へ出さないよう呼びかけた自治体もある。
ファン氏によると、感染拡大を防ぐため、業者が家の外にいる猫や犬の殺処分に乗り出すという通知も出回った。
湖北省洪江市は、公共の場にいるペットや、飼い主が一緒にいないペットは例外なく殺処分にすると通告した。
ロイター通信によると、湖北省に次いで感染者が多い浙江省では、公共の場で犬が見つかれば駆除すると当局が通告した。
中には不安に駆られて愛犬のために紙コップで手作りしたマスクを着けさせた飼い主もいると、ロイター通信は伝えている。