家崩壊・・・犬60頭超“多頭飼育”の壮絶現場
2020年1月10日(金) 日テレNEWS24
家の中を埋め尽くす60頭以上の犬。10日に取材した多頭飼育の現場は、すさまじい光景となっていた。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20200110-00000373-nnn-soci
◆埋め尽くす多くの犬…家はぼろぼろ、臭いも
動物愛護団体の職員と訪れたのは、埼玉県内の住宅。庭で大きな鳴き声をあげる何匹もの犬。
さらに家の中は、すさまじい光景が広がっていた。
玄関からリビングまで、家の中を埋め尽くす多くの犬。犬たちが遊び回ったため、床や壁はぼろぼろ。
さらに、息ができないほどの臭いが…。
この家に住んでいるのは、66歳の男性。
──いま何匹いるんですか?
男性(66)「全部で…60…70何匹になるかな。多くても70何匹」
正確な犬の数は把握できていないという。
──(臭いで)苦しかったんですけど、息とかは?
男性(66)「別になんともない。慣れなんじゃないですかね」
◆今年の元日に妻が他界「今はもう結構きつい」
男性は10年ほど前に近所でオス犬を拾い、その後、メス犬を引き取ったところ、次々と子犬が誕生。
その後も去勢手術を一切行わなかったため、一時は100頭以上まで増えたという。
以前にもこの家を取材した時は、男性は妻と2人で犬の世話をしていた。
しかし、今年の元日、妻が心筋梗塞で他界。
男性(66)「これまで(犬の世話を妻と)2人でやっていたからなんとかなっていたけど、今はもう…結構きつい」
現在は、動物愛護団体の職員が週に3度訪れ、えさやり、散歩、掃除などの世話を行っている。
NPO法人にゃいるどはーと 東江ルミ子代表「私は(去年)2月の下旬にここに来て、まず衝撃。飢えているし、犬が。どうしょうもないレベルだと。頭数をみて、まずあ然」
当時は、えさやりなど犬の世話が全く行き届いていなかったという。
◆住民の苦情…全国でも相次ぐ
周辺住民からも苦情の声があがっていた。
周辺の住民「朝夕に犬の鳴き声。それはなかなか厳しい。(逃げ出した犬が)庭とかにウンチしちゃうんですよね。それは困っていた」
実は、こうした苦情は、全国各地で相次いでいる。
環境省の調査によると、全国で多頭飼育に関する苦情が寄せられた世帯は2064件(自治体全体で 120自治体が回答 環境省調査:2018年度)。
その世帯のペットの飼育頭数を調べたところ、10頭未満だったのが1033世帯。
10~30頭未満は543世帯。
そして、30頭以上を飼育する世帯は134世帯だったという。
こうした事態をうけ、環境省は新年度にも自治体向けの対策の方針をまとめるという。
◆始まりは1頭、どんどん増えて手がつけられない
埼玉で60頭以上の犬と暮らす男性は、現在は動物愛護団体にすべての犬の所有権を譲り渡したという。
NPO法人にゃいるどはーと 東江ルミ子代表「そもそもは1頭から始まり、どんどん増えていった。(去勢手術を)やればよかったんだけど、1~2頭で。少ない金額で済んだが、60頭になったらもう誰も手がつけられない」
今後、犬たちを別の場所に移し、新たな飼い主を探していくという。