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野良犬のいない国オランダ

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野良犬のいない国と認定されているオランダ、この国が取った対策とは? 

2019年11月     3日(日) わんちゃんホンポ

犬に関する外国の情報は色々と入ってきますが、オランダという国で犬がどんな風に扱われているのかはあまり情報を目にしませんね。
実はオランダは世界で初めての「野良犬のいない国」として認定されているのだそうです。
しかも、ヨーロッパの他の国と違って野良犬の殺処分は行われていません。
国際的な非営利動物福祉団体であるワールドアニマルプロテクションも、オランダの野良犬対策を「最も人道的で効果的」だとしています。
オランダも19世紀には路上に捨てられた犬が野良犬となり社会全体を悩ませていました。
20世紀に動物保護法が施行され、人間と犬、社会と犬の関係も少しずつ変化して行き、21世紀になって、野良犬のいない国となったということです。
具体的にどのような対策が取られて、このようなことが達成されたのでしょうか。 

功を奏したのは政府主導の避妊去勢とワクチン接種
 

オランダが取った効果的な野良犬対策は、政府が資金を出して全国規模で行なったCNVRプログラムと呼ばれるものでした。
Collect 犬を集め
Neuter 避妊去勢処置を施し
Vaccinate ワクチン接種をして
Return 元いた場所に戻す というものです。
日本でもボランティアのレスキューグループが猫に対して行なっているTNRと似た手法ですが、政府主導の豊富な資金と、全国規模で行なったため、効果が明確に表れたようです。
野良犬が増えるスピードが緩和され、次に路上の犬の姿が減り始めました。
元いた場所に戻すだけでなく、犬の気質や人馴れの程度によっては動物保護団体が保護して譲渡するという活動も並行して行われました。
オランダではペットショップで犬や猫を購入した場合は税率が高く設定されており、人々が保護団体やアニマルシェルターを訪れることを促進しているそうです。

社会が動物をどのように扱うかは、人々への扱いと相関する
 

上記のような、野良犬に対する避妊去勢処置とワクチン接種を中心としたプログラムの他にも、様々な対策が取られています。
オランダには動物専門の警察が設置されています。
動物に対する犯罪に対応しレスキュー活動の支援を行います。
野良犬に対する暴力行為ももちろん犯罪となります。
これは非常に重要な点で、人々から残酷な扱いを受けていない野良犬は攻撃的になりにくく、保護された後の人馴れも容易になります。
オランダは世界でも珍しい、動物に関する政策を党としての第一義とする政党が議席を持っている国です。
動物党という名の、その政党の党首は「社会が動物をどのように扱うのかは、その社会が民間人をどのように扱うかと相関関係がある。また動物に対する暴力と人間に対する暴力の間には直接的なつながりがある」と述べています。
オランダでは野良犬を人間の健康と安全を脅かす危険な存在としてだけでなく、社会が抱えている倫理的な問題としても捉えているそうです。
犬が残酷な扱いを受けたり、飢えたり、傷ついたり、命を落としたりするのを目にすることは、人間の感情にとって有害であると認めているのだそうです。
人間中心の視点ですが、「野良犬も大切な命。命を大切に。」というような抽象的な表現よりも、なぜ野良犬に残酷なことをしてはいけないか、放置してはいけないかが明確に分かるなと感じました。

まとめ
 

21世紀に入って「野良犬のいない国」と認定されたオランダが取った野良犬対策をご紹介しました。
具体的な対策は国の法律によってできること、できないことがあるので、この通り真似をすれば良い!と言っている訳ではありません。
しかし他の国が実際にどのような対応をしているかを知ることは、自分の国の問題を考える時の大切な手がかりにもなります。
また、国によって視点が変わることも、時には新たな気づきをもたらしてくれます。
オランダの野良犬対策から、社会と犬の関係について考えるきっかけにしていただければ幸いです。


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