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「元祖・猫島」田代島 猫と一緒に震災からの復興・再生をめざす

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「元祖・猫島」田代島 猫と一緒に震災からの復興・再生をめざす 

2019年11月1日(金) sippo(朝日新聞)

宮城県石巻市。牡鹿半島の先端近くに浮かぶ周囲11.5kmの小さな島・田代島は、日本の「猫島」の元祖というべき存在です。
DVD『にゃんこTHEMOVIE』シリーズで人気を博し、猫目当ての観光客が国内外から多く訪れるようになりました。

 
田代島の猫たちは日本猫らしい丸顔の子が多い

2011年、東日本大震災。
田代島も津波に襲われ、港や漁船が被害に遭いました。
全国の愛猫家から支援金やキャットフードが届けられ、また、島の復興事業の一つとして、猫たちと共に復興と再生を目指す「田代島にゃんこ・ザ・プロジェクト」が発足。
猫島の復興の過程が日本中の猫好きの注目の的となりました。 

近くなった田代島
今年3 月、新高速旅客船「Se e Ca t(シーキャット)」の運航が開始されました。
S e e C a t …… 直訳すると「猫を見よ!」「猫に会おう!」といったところでしょうか。
こちらは今まで運航していたレトロ旅客船と比べて、石巻港から田代島まで10分以上の短縮となりました。
さらに、これまで本土から田代島に渡るにはJR石巻駅からタクシーなどを使って「石巻門脇発着所」に向かっていましたが、アクセス良好、駅から徒歩15分かからない場所に、昨年末「石巻中央発着所」が30年ぶりに復活。
ピカピカの待合所には、着替えやゆったり長時間滞在できるよう横になれるスペースもできました。
観光客には嬉しい心配りです。


猫の毒牙にかかってしまった田中さん

船に乗る前からモフモフ
早く猫に会いたい人にお勧めしたいのが「石巻門脇発着所」。
石巻駅から車で10分ほどかかりますが、ここには猫がいるんです。
ストーブの上で暖を取っていたり、陽だまりのテラスや目の前の草むらで遊ぶ猫5 匹、全員がキジトラです。
母猫「とと」とその子ども「ねね」「ここ」「のの」に、まだ名前のない新入りの男の子。
みんな懐っこくて可愛い! 猫たちは優しい高橋さん(46歳)に全信頼をおいている様子です。
働き始めて5ヶ月目の田中さん(30歳)は、ここで初めて猫と触れ合い、猫にすっかり魅了されたと教えてくれました。
船を運営する網地島ライン株式会社の社員は、船長さんも事務員さんもOBも、全員猫が好き。
猫を愛する本物の会社です。猫たちと遊んでいると、あっという間に時間が経ってしまうのでした。

今年は出産ラッシュ
被災した港は着々と整備が進み、分厚いコンクリートの防波堤が作られています。
4月下旬に訪れた時、猫の数が少ないように感じました。
毎年島に通っていると、猫が増えたな~、減ったな~と感じることがあります(勿論、気候や時間帯で出会える猫の数は変化しますが)。
田代島では、昔から「猫は大漁を招き、海難事故を防ぐ」と信じられ、島のほぼ中心に位置する「猫神社」に猫神様を祀るなどして大切にされてきました。
住民数を上回る猫たちは人懐っこく、自由に暮らす様子は田代島の昔ながらの姿。
私は「にゃんたま」(ふぐり)を撮る趣味があるので、今や貴重となった“自然のまま”の「にゃんたま」をこの島でたくさん撮影します。
隣の集落まで遠征して目当ての雌猫に恋のアピールをするにゃんたま、一匹の雌猫をめぐるにゃんたま同士の戦い……。
今年、田代島では出産ラッシュを迎えようとしているとの情報が入りました。
秋の頃には、やんちゃに走りまわる子猫たちの可愛い姿が多く見られるでしょう。

 
「オペラ座の怪人」略して「オペラ座」と呼ばれている。集落を股に掛け、行動範囲は広い

より充実の「島のえき」
「田代島にゃんこ・ザ・プロジェクト」のひとつ、小中学校の跡地を活用して3年前より運営を始めた「島のえき」。
ここには猫が20匹以上いて、島一番の猫ホットスポットとなっていました。
猫神社から約200mのところにあり、島を散策して一休みするのに最適です。
軽食の提供があり、飲食の持込もOK。
島の海産物やオリジナル猫グッズなどが充実し、もう田代島土産で困ることはありません。
ニャーニャー! と猫の鳴き声が。
かつて廊下だったスペースが、病気や弱った猫の療養治療、一時保護の猫の養生部屋になっていました。
目が悪く保護された長毛のすばる君は、暖かい日は外にお散歩に出ますが、経過観察が必要な子です。
みなしごだった黒猫のまつちゃんは、保護当時はミルクも飲みませんでしたが、すっかり元気に育ち、もうすぐ外猫修行開始。
どこで生まれたのか保護した時はまだ小さかった三姉妹、あみちゃん・しまちゃん・たまちゃん。
寒い冬、外に出ては風邪を引いて中に戻るを繰り返していましたが、今は逞しく成長して外に出ています。
震災の爪跡はまだ残るものの、猫たちとともに力強く歩みを進める田代島。
観光客にも嬉しい「島のえき」もでき、より一層身近な猫島になりました。
田代島の「今」と猫たちの様子を、今後もお伝えして参ります。
以上、田代島最新レポートでした!

(「猫びより」から/芳澤ルミ子)

【写真特集】猫好き注目の的、「元祖・猫島」の猫たち


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