映画「駅までの道をおしえて」
© 2019映画「駅までの道をおしえて」production committee
◆ストーリー
サヤカ(新津ちせ)は、赤い電車が通る湾岸の街に両親(坂井真紀、滝藤賢一)と暮らす8歳の少女。
臨海学校に出かけた数日の間に愛犬のルーがいなくなったことが受け入れられず、ルーと一緒に過ごした場所を訪れては、その姿を探している。
ある日、サヤカはかつてルーに導かれて見つけた、線路の跡が残る原っぱで一匹の犬と出会う。
犬はすぐに姿を消すが、数日後、近所の喫茶店の前につながれていた。
サヤカは、見るからに頑固そうなマスターのフセ老人(笈田ヨシ)に、犬の名前はルースで、ルースの方から店にやってきたのだと聞かされる。
時の止まったようなジャズ喫茶を営むフセ老人もまた、数十年前に幼くして亡くなった息子の死を受け入れられずにいた。
やがてサヤカは喫茶店に通うようになり、ルーの思い出話をしたり、フセ老人の息子コウイチローの話を聞いたりするうちに、フセ老人と打ち解けていく。
サヤカは、フセ老人が待っているという大切な「何か」を、ただ待ち続けるのではなく、一緒に探しに行こうと提案する。
週末。サヤカとフセ老人とルースは海に向かった。「何か」とは一体なんなのか?そして二人は「何か」を見つけることができるのだろうか?
ルー(Lou)
2016年12月23日生まれ、柴犬(白)、メス 。体重8キロ 。本名ルー。白の柴犬を探していたところ、生後3ヶ月の子犬がいるとの情報があり出会う。撮影現場でルース役の犬ととても仲良くなり、現在は、同じ里親の元、二匹仲良く暮らしている。撮影期間は主演のちせ宅で生活を共にしていた。食いしんぼうで何事にも動じない性格。可愛い声がチャームポイント。
ルース(Ruth)
2016年12月12日生まれ(推定)、雑種(茶色黒マズル)、メス。体重13キロ。本名ミノルカ。動物愛護団体ARKで保護された元保護犬で、1度里子に出たが出戻り、今の里親に譲渡される。ミノルカのフォスター(預かり)でドッグトレーナーの西岡裕記を通じて本作の出演が決定。公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの2018年の啓発ポスターに杉本彩さんと出演した。慎重派で少し怖がり。特技はおんぶとハイスピードダッシュ。
◆ルーとルースの名演技
動物が出てくる映画では、1つの役に見た目が似た2匹をダブルスタンバイするケースが多い。
しかし本作では、新津ちせとルーが撮影前から一対一で築いてきた関係性を重視し、ルーもルースもそれぞれ1匹で出演している。
実際のルーはとても人好きな犬で現場に入るとすぐに尻尾を振ってスタッフに近づいて行った。
ルーの特徴としては、全くと言って良いほど吠えない犬で、声を聞いた者はいなかった。
ただ、現場で唯一声を出したのが、臨海学校に行くサヤカとの別れのシーンの本番で、寂しそうに小さく鳴き、スタッフが驚いたという。
サヤカと落ち葉で遊んでいるシーンは、落ち葉で興奮しているルーを監督が見て、急遽作ったシーンである。
ルース役を演じたミノルカは、保護された元野犬ということもあり、最初は飼い主以外の人に慣れるかが心配であったが、全く心配は要らず、ルー同様とても人好きであった。
また、撮影現場で会うルーとはとても仲がよく、いつも戯れあっていた。
今は、ルーとルースは仲良く一緒に暮らしている。
◆コメント
・伊集院静さん(原作者)
人はこの世に生まれた時から、別離をくり返してしまう運命にあるものです。
別離と書くと、悲しいもののように思えますが、悲しみ、哀しみは人が生きて行く上で逃がれようのないものです。
この物語は、もう二十年近く前に書いたものです。
私はまだ若く、小説の中に自分の生きて来た軌跡(経験と言ってもいいでしょう)がどこかに影を落としていたように思えます。
そんな中で、若い編集者と、次はどんな小説を書こうか、という機会がありました。
その時、その若い編集者は、彼の大切な人を亡くし、ひどく落ち込んでいました。
「どうだろう?人と人の別離を書いてみたら?」すると彼は少し顔を曇らせました。
私は言いました。
「別離がテーマなのだけど、最後は何かまぶしい光が見えるような、希望が見えたのではないか、というような小説はどうだろう?」
彼の顔がかがやきました。
(中略)
私は少年の頃、野球に出逢って、家へ帰ると勉強もそっちのけで、原っぱへ走り出す少年でした。
そんな時、家にいた何匹かの犬のうち、私と仲の良かった犬が必ず野球をする原っぱについて来ました。
“シロ”と言う名前で、とても忠実と言うか、少年の私をずっと見守ってくれているようなところがありました。
その“シロ”の思い出を小説の中に込められればと思いました。
さて物語の中で、もう一人の主人公であるフセ老人が最愛の息子さんを海難事故で亡くしています。
実は、私も若い時に、たった一人の弟を海難事故で亡くしました。
(中略)
この物語を書いた時に、大切なことは、自分のもとから、誰かのもとからいなくなった人やペットは、その人が忘れないでいれば、ずっと生きているということです。
映画作品の試写を見て、ルーという犬がどこか“シロ”に似ているのに驚きました。
サヤカちゃんのルーへ向ける目や、表情が何だか遠い日の自分を思い出しました。
こうして文章を書いてみると「駅までの道をおしえて」は、私にとって大切な作品のひとつだったのだとあらためて思いました。
「駅までって、どこの駅ですか?」と問われたことがあります。
それはあなたが出発し、帰る場所なのではとも思っています。
・クミコさん(歌手)
最後のシーンで、伊集院さんの哀しみが心に迫った。
そうなのだ、これは「去る者」と「残る者」がじっと見つめ合う映画なのだ。
・長友心平さん(画家)
これほど「色」に包まれた映画は見たことがない。
かすかな色の少女と犬が出会い、四季折々の色や叙情的な色が生まれ深まっていく。
どこまでも透明に。別れすら美しい色に。
・渡邊真人さん(枻出版社『RETRIEVER』編集長)
自らの死すら愛する誰かのために捧げることで、
自らの存在を愛する誰かにつないでいく……。
原作にはない最後の台詞に、大切な何かを想像せずにいられない。
・浅田美代子さん(女優)
少女と犬、少女と老人の友情。
それは誰も入り込むことの出来ない強い強い絆。
温かな感情と共に涙が溢れる...
ルーと保護犬だったというルースの笑顔が幸せを語っている。
・杉本彩さん(女優、公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva 理事長)
不思議な時空の中で鮮明に描かれる少女の心に引き込まれた。
愛犬ルーとの絆と、二人を取り巻く人々のやさしさが心に沁みる。
切なくて、温かくて、深い愛を感じる素敵な物語。
※順不同
・とても素敵な映画でした。開始3秒ぐらいから涙、涙でした。家にいるワンコに今すぐに会いたい。
帰ってから思いっきりハグしてあげたい。いろんな人達の心にひびく作品だと思います。 40代 女性
・大切なものを失くした時のかなしさと、それをのりこえるためのヒントができました。 40代 女性
・多くの人と共生していく事のすばらしさ。生きるっていいですね。明日からも楽しく行きます。 20代 女性
・ 久しぶりに心揺さぶられる映画を観ました。身近な人々を大切に思いながら生活していきたいと心しました。 40代 女性
・大切な人、生き物との別れはつらいですが、それを乗り越えるのもその人なのだと思いました。
始終、涙と鼻水が止まらなかったです。 20代 女性
・大切な愛しいものを失う事のさびしさ…胸が熱くなりました。
私は緩和ケア病棟に勤務していた頃の沢山の旅立ちの場に居させていただき、いろいろな学びを得た事を思い出しました。 50代 女性
・流れる時間がとても穏やかで映画を見ているのにその場に一緒にいるような感覚を味わうことができました。
大切な人と一緒に見たい映画の1つになりました。 30代 女性
・嗚咽を抑えるのが大変でした。
少女が少しずつ成長していく様子がたくましく、切なかった。
久しぶりに素敵な映画に出会いました。 40代 女性
・あっという間の125分でした。サヤカ役の自然な演技とルー達犬の作り物じゃない演技が心に染みました。
誰もが大切な人たち最愛の人と別れる辛さを味わう。
誰もがめぐりあい別れることを乗り越えなくてはいけないことを改めて感じた。 50代 女性
・涙なしでは見れない映画でした。
映画の物語にどんどん飲み込まれていき、とても感動しました。
生と死、愛する、愛しい人、犬との生活を経験した人たちにはとても共感できる場面が沢山ありました。 30代 男性
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=Sdn-44culaw
https://www.youtube.com/watch?v=AJUq-rjeHiI