ペットの同行避難と同伴避難の違いについて
相次ぐ自然災害で甚大な被害が発生、多くの混乱が生じていますが、ペットの避難においても大きな課題が発生しています。
混乱した状態だから・・・では済まされない。
ニュースで取り上げられている内容を見ても、同行避難と同伴避難がどうも混乱していて違いが曖昧な点が見受けられるようです。
自治体の適正な対応不十分もしかりですが、当然飼い主においても違いが解っていない人が多いのでは・・・
今一度、同行避難と同伴避難の違いを認識する必要があるのではないでしょうか・・・
(byぬくもり)
ペット同行での避難は? 禁止の自治体も・・・
2019年10月16日(水) 日テレNEWS24
台風19号による水害で、自宅が大きな被害を受けた方の避難生活が続いている。
避難所で指摘されている問題のひとつが、ペット。
ペットを連れての避難を禁止している自治体もあるなど、鳴き声や動物アレルギーなどもあって、難しい問題となっている。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20191016-00000396-nnn-soci
◇
川の氾濫により、冠水した埼玉県川越市。
「大丈夫、大丈夫、大丈夫だよ」
1階部分が浸水した住宅から救出されたのは1匹の犬。隊員に抱えられたまま、救難ボートに乗り込み助け出された。
大きな爪痕を残した台風19号。多くの避難所が開設され、台風に備えた人がいた一方で、“避難所”と“ペット”を巡り、ある問題も起きていた。
◆SNS上では…
台風の上陸した今月12日。
「避難場所確認したら、全てペット同伴不可でした。避難できない」
「避難所は全てペット同伴不可なので、お家にいます」
SNS上には、“避難所にペットを連れて行けなくて、避難ができない”という内容が書かれていた。
中には、ペット同伴の部屋が設けられ、避難できた人もいたが、「避難所へ行くことを諦めた」という投稿が多く見られた。
◆“一緒に避難できないと困る”
川越市で救出された犬は避難所へ行くことができなかったわけではなかったが、ペットを飼う人にとっては重要な“避難所問題”。
以前ペットを飼っていた女性「避難所がダメなら、自分の車で生活するしかない。置いていくという選択肢はないです」
犬を飼っている女性「(避難)しないと思います。ペットを連れて行けないなら」
ペットを飼ったことがある人からは、やはり一緒に避難ができないと困るという声が上がった。
◆否定的な声
一方で、避難所にペットがいることについて、否定的な声もあった。
ペットを飼っていない女性「非常事態だから仕方ないかなと思いますけど。走り回られたりしたら気にはなるかな」
ペットを飼っていない女性「鳴き声とかそういうのが問題になるかと思います。においとか」
◆自治体の対応は…
避難所のペット受け入れについて、環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」で、「災害が起こったときに飼い主はペットと同行避難することが基本」としている。
各自治体はどのように対応しているのだろうか。
多くの避難者が利用した東京・墨田区や中野区では、リードやケージなどを持参すれば、全ての避難所でペットの受け入れが可能だという。
一方で、3か所に避難所を開設した中央区では、動物アレルギーなどに配慮し、ペットの同行を禁止していたという。
中央区・危機管理課長「(ペットを連れて行けるか)問い合わせ等、基本、何件かあったんですけど、申し訳ないですけど、ご自宅の方にペットはいさせてくださいと。ペットがお嫌いな方、それからアレルギーの方がいらっしゃる。(配慮の結果)そういう対応を我々は図らせていただいた」
他にも、葛飾区などでも、最終的には避難所の判断に任せていたものの、ペットの同行は禁止となっていた。
◇
自治体・避難所によっても異なるペットの受け入れ。飼い主とペットが安心して避難ができる仕組みづくりが急がれる。
ニュースは以上です。
ここで「同行避難」と「同伴避難」の違いを再確認しましょう・・・
◆同行避難とは
災害が起きた時に、飼い主とペットが同行し、安全な避難所まで避難することを言います。
この場合、あくまで避難所までペットと同行して避難することを指し、避難所で同室内で過ごすことができるかどうかはまた別の話となります。
あくまで、ペットと一緒に安全に避難することを提示しています。
◆同伴避難とは
同行避難と違い、災害時にペットと飼い主が同行し、尚且つ、避難所でも一緒の空間で過ごすことができる避難のことを意味しています。
例にすると、被災時にいち早くペットと飼い主さんのために避難所として開放していた「竜之介動物病院」が挙げられます。
この竜之介動物病院では、院内の一室を飼い主さんとペット達が常に一緒に居られて安心して過ごせるように、「同伴避難所」として提供してくれていました。
このような場所の場合、「同伴避難」が可能である状態と言えます。
環境省では同行避難を推奨しています。
環境省のペットとの避難についてのガイドラインには「同行避難」であって「同伴避難」ではないということを挙げておりその背景は下記のとおりです。
・災害が起こった時に飼い主はペットと同行避難することが基本である
・過去の災害において、ペットと飼い主が離れ離れになってしまう事例が多発。このような動物を保護することは多大な労力と時間を要するだけでなく、その間にペットが負傷したり、衰弱したり死亡するおそれもある
・同行避難を推奨することは、動物愛護の視点のみならず、放浪動物による人への危害防止や生活環境保全の観点からも、必要な措置である
・避難所や仮設住宅では、様々な人が集まり共同生活をするため、動物との暮らしが苦手な方やアレルギーの方もいることを認識しなければならない
出典:http://www.env.go.jp
また環境省では、東日本大震災時にペットと人との避難生活で問題視された事柄も報告しています。
・犬のにおいや鳴き声
・避難所内で犬を放し飼いにしていた。
・ペットが子供に危害を加えるのではないかという心配
・普段からペットに対しノミの駆虫をしていなかったためにノミが発生してしまった。
・自分のペット可愛さに過度の要望をし、他の避難者への迷惑を考慮しなかった。
このような実際の報告で分かるように、ペットを飼養する側のマナーの悪さが懸念されました。
上記のような人々がいることによって、普段からきちんとしつけや予防接種、駆虫薬投与をしている飼い主まで阻害される恐れがあります。
普段の生活でのマナーを考えることと、ペットへの予防接種やノミダニ、フィラリアなどの駆虫をしっかりしなければなりません。
また、SNS拡散者や飼い主が「同行避難」と「同伴避難」の違いをしっかり把握しておらず、不正確な情報が混在するという事態に陥っていたのです。
これらが改善されないから「同行避難」という形を取らざるを得ない状況なのです。
日本はまだまだ課題が山積しています。