救われた命、セラピー犬へ 49匹お年寄りに「癒やし」
2019年9月12日(木) 徳島新聞
徳島県動物愛護管理センター(神山町)が保護した犬を訓練し、福祉施設や学校を慰問するセラピー犬(ふれあい活動犬)に育てる制度を始めて4年が過ぎた。
これまでに49匹を認定。高齢者や子どもらにぬくもりや命の大切さを伝えている。
訓練を希望する飼い主が少ないのが課題で、センターは利用を呼び掛けている。
慰問したセラピー犬と触れ合う高齢者=徳島市中昭和町2の林内科
センターによると、制度を始めた2015年度は6匹、16~18年度は43匹を認定した。
セラピー犬が参加したセンター主催のイベント・慰問活動は、15年度の6回から18年度は18回に増えた。独自に慰問活動をする飼い主も多い。
吉野川市の女性会社員(58)は、昨年6月に1歳半の犬を譲り受けた。
犬は9回の訓練を受け、今年3月にセラピー犬に認定された。
現在、知人が実施している福祉施設の慰問に月1回参加している。
「お年寄りに喜ばれるし、愛犬と一緒にボランティアができるのは楽しい」と話す。
課題は、センターがセラピー犬への訓練を勧めても、訓練所に通う負担などから敬遠する飼い主が多いことだ。
適性のある犬のうち、訓練につながるのは1割程度という。
センターの矢野さやか課長は「殺処分を減らすだけでなく、しつけ方を学ぶ良い機会になる。できるだけ多くの人に利用してほしい」と話している。
セラピー犬育成制度
保護犬が社会の役に立つことを知ってもらい、殺処分の減少などにつなげようと、県動物愛護管理センターが2015年に都道府県で初めて設けた。
センターで適性があると判断した犬を譲渡会で引き渡す際、飼い主に訓練を勧める。
了承されれば、保護犬と飼い主は県が指定した訓練所で一定期間、訓練を受ける。
保護犬は県の認定試験を受け、センターが開く行事に参加する。訓練費用は県が負担する。