虐待や飼育放棄は防げるのか
犬猫のマイクロチップ義務化 装着に関しては賛否両論
2019年8月10日(土) 中京テレビNEWS
保護された犬
犬や猫に埋める、飼い主の情報が記録された「マイクロチップ」。
今後、ペットにはマイクロチップの装着が義務化されるんですが、有効性の一方で、装着に対しては賛否両論あるようです。
保護された犬
愛知県半田市にある愛知県動物保護管理センター知多支所。
訪ねてみると、この日は8匹の犬と7匹の猫が保護されていました。
その中にぐったりとした犬の姿が。
皮膚にも病気がみられる状態で爪は伸び放題、目は目やにでふさがっていました。
この犬は、愛知県常滑市の路上で赤い首輪をつけ歩いていたところ、通報を受け駆け付けた警察に保護されました。
ドッグレスキュー ハグ 塚本恵 代表
そして、ひとりの女性がこの犬を引き取りにやってきました。
「カレンちゃん」
犬をカレンちゃんと名前をつけて呼ぶ女性は、愛知県で飼育放棄や虐待された犬たちの命を守ろうと活動している団体「ドッグレスキュー ハグ」の代表の塚本恵さん。
「状態があまりよくないので、適正な飼育がされてなく、飼い主が困って捨ててしまったのかなというのがあります」(ドッグレスキュー ハグ 塚本恵 代表)
ライオン動物病院 呉俊熙 院長
塚本さんがカレンちゃんを連れて向かったのは、愛知県岡崎市にある「ライオン動物病院」。
塚本さんはこの犬は捨てられた可能性が高いと考えていますが、獣医は…。
「今のこの状況から判断すると、飼育放棄があったのかなと」(ライオン動物病院 呉俊熙 院長)
動物虐待事犯の検挙事件数(警察庁データ)
飼育放棄。ネグレクトともいわれ、虐待のひとつにあたります。
虐待や飼育放棄など動物愛護法違反の疑いで逮捕・書類送検された件数は、2018年は84件と過去最多となりました。
愛知・豊橋市で保護された重度の腎臓病の犬
こちらの動物病院には、愛知県豊橋市で保護され塚本さんたちが引き取った犬が入院していました。
重度の腎臓病です。
「ネグレクト(飼育放棄)だと思います。なんでこんなシニアになってから、こんな状態になってから捨てることができるのか…」(ドッグレスキュー ハグ 塚本恵 代表)
マイクロチップ
相次ぐ飼育放棄。
厳罰化の動きも出ています。
2019年6月成立した、改正動物愛護法では、動物虐待罪を厳罰化。
動物を殺傷した場合、罰則は現行の「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられます。
さらに、捨て犬や捨て猫を防ぐ狙いで、犬や猫の販売業者に対して、マイクロチップの装着と所有者の情報登録を義務づけています。
一方、すでに飼い主に飼われている犬や猫への装着は努力義務とされています。
今後、3年以内に施行される見通しです。
「マイクロチップを入れることによって、飼い主さんが飼育放棄した場合でも、(飼い主が分かるので) 抑制の効果になると思う」(ライオン動物病院 呉俊熙 院長)
直径2ミリ、長さ12ミリ程度の円筒形のマイクロチップ。
獣医師が注射器で犬や猫に埋め込みます。
マイクロチップ装着に対しては、街の人たちは、
「生まれた子に埋め込むのは虐待じゃないけど、違和感は感じる」(50代男性)
「なんか痛そう。なんかかわいそう」(子ども)
「私はいいんじゃないかなと思うんですけどね。管理はやっぱり、必要なんじゃないかと思います」(60女性)
「(動物を)捨てたりとかが、減っていって、結局、その動物のためになるのだったらっていう気もしますけど」(20代女性)
ドッグレスキュー ハグ 塚本恵 代表
保護を続ける塚本さんも一定の効果はあるというものの、それだけではないといいます。
「飼い主さんを探すツールとして、とても有効なものだと思うが、逆に捨てないで飼い殺しのような状態の子たちも増えると思うので」(ドッグレスキュー ハグ 塚本恵 代表)
動物愛護の意識の向上、そして適正な飼育を広めていくことが求められています。