猫50匹惨殺52才男、「窃盗罪」で扱われ不起訴の可能性も
2019年6月21日(金) NEWSポストセブン
ここ数年、日本は猫ブーム。
ネコノミクスなんて造語も生まれた。
そんな中、おぞましい事件が起きた。
6月13日、富山県富山市で「50匹の猫を殺した」などと告白し逮捕されたのが、新村健治容疑者(52才)だった。
Aさんに問い詰められ、返答に窮する新村容疑者(愛護団体提供)
被害にあった猫・モコオ(雄のアメリカンカール)の飼い主・Aさんが憤る。
「モコオが自宅前の路上で、自動車に乗った新村に連れ去られたのが5月19日。すぐに警察に通報しましたが、取り合ってくれない。何度か訴えたところ一度は動いてくれたのですが、“本人が否定している”“猫もいなかったし、これで気持ちを収めてほしい”と言うだけでした」
到底納得できないAさんは地域の動物愛護団体と共に、新村の自宅に乗り込んだ。
「20分ほど新村に詰め寄ると、モコオの殺害を認めました…それだけでなく、“50匹から100匹ぐらい殺した”と嘯き、“せっかく苦労して捕まえたのに、すぐに死んでしまったら面白くないから”と水しか与えず、“ニャンニャン鳴いているのを聞いて楽しんだ”と残酷な殺し方もしゃべり始めたのです」(Aさん)
新村のスマホには「猫を殴る」「猫蹴る」などの検索履歴があったといい、暴行の痕も見て取れたという。
Aさんの怒りが沸点に達したのは、その直後。新村の“猫の遺体は漁港に捨てた”の告白通り、モコオの死骸を漁港で発見した時だった。
「連れ去られてからすでに1か月近く経っていたので頭部は白骨化し、胴体は剥製のようになっていました…。翌朝、警察に通報しましたが、夕方までモコオの遺体は放置されたまま。結局、私が遺体を回収しました」(Aさん)
近隣では、数年にわたって飼い猫が行方不明になる事案が増えていたという。
大事な“家族”を無残に殺されたAさんだが、今後、彼に追い打ちをかけるような展開になるかもしれない。
新村に厳罰を求めることは難しいからだ。
渋谷共同法律事務所の萩尾健太弁護士は言う。
「盗んだ猫を殺した場合に問うことができる罪は、『窃盗罪』『器物損壊罪』『動物愛護法違反』の3つ。今回の逮捕容疑である窃盗罪は懲役10年以下と、その中で最も重い刑ですが、初犯だし転売目的でもなければ起訴されない可能性もある。6月に改正案が可決された動物愛護法は、殺傷が5年以下の懲役または500万円以下の罰金。改正前は2年以下の懲役または200万円以下の罰金だったので、これでも重くなりました。器物損壊罪なら3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です」
日本では、2人以上殺害すると死刑が待っているというが、猫の場合、法律上は「物」であり、何匹殺害しようと、罰則は変わらないという。
「警察にとっては大きな罪に問えない事件だから、捜査に乗り気じゃなかったのかもしれない。新村は独身のひとり暮らし。家には女子学生が着るようなセーラー服が飾ってあった。本人に聞いたら“趣味だ”とか。彼の家の前には児童公園があります。あの残虐性が猫だけで終わらなかったら? そう思うと、新村だけでなく警察や司法に対しても、やるせない怒りがこみ上げてきます」(Aさん)
新村は自宅の風呂場で猫を虐待しており、猫の糞尿のにおいが充満していたという。
仮に50匹から100匹もの猫が本当に殺されているのなら、県警はもっと本腰を入れて捜査をするべきだろう。
※女性セブン2019年7月4日号