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人とペットの終活

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飼い主が亡くなっても困らないように…
元気なうちに考えておきたい人とペットの終活 

2019年5月13日(月) ディリー

人も長寿になったが、犬や猫も十数年、二十年と生きるようになり、飼い主が先立ってしまったり、老人ホームに入所したり、入院したりするケースもある。残されたペットにとって死活問題である。 


老人ホームで飼っていた猫と面会して喜ぶ人。わんにゃお信託利用者

■ペットを遺棄する人の半数以上がシニア層
空前の猫ブーム。
犬を飼う人も猫を飼う人と同じくらい多い。
ペットを飼う前提として、犬や猫を終生飼養することが義務付けられているが、手放す人は後を絶たない。
日本でペットを遺棄する人の年齢の割合を見てみると、60代以上の人が56%、じつに半数以上を占めている(第34回動物臨床医学会「犬の飼育問題に関する調査から考察した飼育放棄の背景と対策」2013より)。

遺棄の理由は、
・ペットの飼育疲れ
・認知症や病気による飼育放棄
・独居老人の突然死、老人ホームへの入居など社会的な要因による。
などである。

こうして遺棄されたペットは、家族や親戚、友人、近所の人が引き取ってくれる場合もあるが、誰も引き取らない場合もあり、愛護団体が引き取った犬や猫のうち32%は、高齢者が要因である。
・飼い主に管理が必要になり、世話ができなくなった
・長期入院するから
・老人ホームに入るから
・独居老人がペットを残して死んだ
など、理由は社会的背景と密接にからむ。

東京都では、ペットを飼っているシニア世代に、万が一の時に備えるよう啓発用パンフレットを発行していて、ペットのために遺言を残すこと、ペット信託に加入することも勧めている。

■子供や親戚、知人がペットを引き取ってくれると思わない
アイペット損害保険会社が、2016年、50歳以上のペット飼育者534人を対象に、「自分に万が一のことが起こった場合に備えて、ペットの引き取り先や相談相手を想定していますか」という調査をしたところ、66・9%の人が「想定している」と答え、33・1%の人が「想定していない」と回答した。
「想定している」と答えた人のうち、86・3%もの人が「家族や親戚」と答えているのだが、「たぶん引き取ってくれるだろう」と思ってはいても、口約束では、実際に困った時に引き取ってくれるという保障はない。
「家族や親戚、友人、近所の人が引き取ってくれなかった場合、ペットの行先は、愛護団体しかない」と、NPO法人ペットライフネット(以下、ペットライフネット)の理事、吉本由美子さんは言う。
弁護士の檜山洋子さんによると、「遺されたペットは、相続人の意志ひとつで処分される可能性もあります。遺言書がない場合、遺産分割協議をすることになりますが、遺産は、法定相続人だけが相続できます。ペットは相続できませんし、ペットの世話をしてくれそうな人や近くの他人も相続できません。そのため、飼い主亡き後のペットの世話については、生前に遺言書に明示しておく必要があるのです」

■将来、ペットが困らないようにしておきたいこと
ペットに遺産を遺しておきたいと思う人もいるだろう。
結論から言うと、ペットに遺産は遺せない。
弁護士の檜山洋子さんは、「残念ながら民法では、動物は動産、所有されるものなので、ペット自身は相続できないのです。ペットは、相続するのではなく相続される方なのです」
「ペットに財産を遺すことそのものではなく、ペットが終生幸せに暮らせること、そのために必要なお金を残してあげることが大事です。そのためには、まず、信頼してペットを託せる人を探し、ペットの飼育をしてもらうための財産を遺贈する(負担付遺贈)遺言を作成しておくという方法もあります。負担とは、ペットの世話という意味です」
「遺言は早々と用意する気にはなれない」とためらってしまう人は、エンディングノートを作っておいてはどうだろう。
ペットライフネットでは、「ペットを愛する方ためのエンディングノート・ペットの終活×人の終活」を発行している。
表表紙から開くと、ペットの基本情報や健康状態、一日の過ごし方、トイレはどうしているか、かかりつけの病院など、詳しい情報を書けるようになっている。
裏表紙から開くと、人のエンディングノートになっていて葬儀に関することや資産状況について記入できる。
ペットライフネットでは、4種類のわんにゃお信託の運用もしているが、そうしたペット信託の利用についても積極的に考えたい。

【写真】飼い主亡き後、ペット信託のおかげで元気に暮らす猫

(まいどなニュース特約・渡辺陽)


▼檜山洋子弁護士プロフィール
米国ニューヨーク州弁護士。ヒヤマ・クボタ法律事務所代表。大阪弁護士会 公害対策・環境保全委員会、子どもの権利委員会、神戸CSR研究会・事務局長


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