絶滅危惧のフクロウ「トラフズク」たこ糸が絡まり死ぬ 京都・桂川で
2019年1月24日(木) 毎日新聞
京都市右京区の桂川の河川敷で22日、京都、大阪、奈良などの各府県で絶滅危惧種に指定されているフクロウ「トラフズク」1羽が、たこ糸が羽に絡まって死んでいるのを住民が見つけた。
たこ揚げで使われた糸とみられ、専門家は「ごみの放置は貴重な野生動物の命を奪う」と訴える。
たこ糸が絡まり、木からぶら下がった状態で死んでいたトラフズク=京都市右京区で2019年1月22日午後0時17分ごろ、田子稔さん撮影
トラフズクは体長約40センチの中型フクロウで、褐色と黒褐色の模様が特徴。
桂川左岸で植物の観察をしていた地元市民団体「桂川クラブ」会長の田子稔さん(71)が22日昼前、右羽にたこ糸が絡まり、柳の木の枝に逆さまにぶら下がって死んでいるトラフズクを発見した。
飛べずに衰弱したとみられる。
京都市動物園によると、同園では2017年の1年間で羽に釣り糸が絡まったり、ネズミ捕り用の粘着シートが付いたりした鳥4羽を救護した。
担当者は「ごみを残さないよう注意してほしい」と話す。
田子さんは「初めてトラフズクを見たが、こんな形で非常に残念。マナーの向上につながれば」と語った。
【大東祐紀】
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
トラフズク
とらふずく / 虎斑木菟
long-eared owl
[学]Asio otus
鳥綱フクロウ目フクロウ科の鳥。全長約38センチメートルの中形のフクロウで、全身褐色地に濃褐色の斑(はん)がある。羽角は長く、よく発達した顔盤の目の上には、黒と淡褐色のV字形の模様がある。目は赤褐色。ユーラシア中部、北アメリカ中部に広く分布するほか、アトラス山脈、アビシニア高原、ヒマラヤ山脈、イギリス、樺太(からふと)(サハリン)、日本にも分布する。雪の深い地方のものは、冬は南に移る。日本では北海道の平地、本州中部地方以北の山地の林で、カラス類やタカ類の樹上の古巣を利用して、4~6個の卵を産む。夜間、おもにネズミ類などを捕食するほか、小鳥や大形の昆虫もとる。冬は都会の公園や神社などの茂った木を、数羽以上のねぐらとすることがある。[竹下信雄]