「ひどい」下半身埋められた犬、懸命の治療も結局・・・
2018年12月11日(火)updated ©株式会社全国新聞ネット
太田清
47NEWS編集長
共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。イトマン事件、阪神大震災、コソボ紛争、ユーゴ空爆、モスクワ劇場占拠、アフガン紛争、ギリシャ財政危機、東日本大震災などを取材。
筆者は犬が好きで、現在も小型犬のトイプードルを飼っている。
かつて赴任していたローマにも連れて行ったし、モスクワでもペキニーズを飼っていた(その後、不慮の事故で亡くしてしまったが)。
正確な統計があるわけではないが、両市とも犬や猫などのコンパニオンアニマルを飼う人は日本より多いと思う。
たいていのマンションやアパートが室内でのペット飼育に文句を言わないからだ。
日本では逆にマンションの管理規約や賃貸住宅の決まりで飼いたくても飼えない人が多数いる。
ペットを飼育したいがために戸建て住宅に移る人も多いと聞く。
そんなロシアでショッキングなニュースを耳にした。
モスクワ郊外のムィティシで17日、生きたまま下半身を土に埋められたジャーマン・シェパードが見つかった。
生きたまま埋められた犬。アフチャルコのサイトから
体中傷だらけで明らかに虐待の跡があった。
コムソモリスカヤ・プラウダ紙(電子版)などが伝えた。
ベンデッタ。アフチャルコのSNSから
近くを通りかかったドライバーが小用を足しに森に入ったところ、鳴き声を聞き近づくと埋められた犬を発見。
体の上にはなぜかトラックのタイヤが無造作に置かれていたという。
ドライバーは急いで犬を掘り出し、知人を通じて捨て犬などのボランティア団体「アフチャルコ」に預けた。
犬は雌で年齢は8歳ぐらい。
顔面にナイフで付けられたような傷があった。
体中にも傷や傷痕があり長期間にわたって虐待されていたものとみられる。
発見時には片目が見えなかった。
これだけの仕打ちにもかかわらず、アフチャルコのボランティアがさすると手をなめるなど人間になれた様子を見せた。
ボランティアは「ベンデッタ」と名付けた。
診察を受けるベンデッタ。アフチャルコのSNSから
腹部に大きな腫瘍があり、獣医師の判断ですぐ手術へ。
費用は募金で賄われた。
腫瘍を摘出したが容態が悪化し危篤状態に。
何度か持ち直したものの、最終的に死んだ。
同団体のSNSには「胸が張り裂けそう」「天国で安らかに」などの書き込みのほか「(犬を虐待した)2本足の生き物も、ゆっくりと苦しみながらくたばればいい」などの声もあった。
地元警察が動物虐待容疑で捜査を始めた。
筆者の電話取材に、同団体のボランティア、タマラさんは「病気の犬をこんなふうに扱うのは許せない。犯人を見つけて裁いてほしいが、何の手がかりもなく難しいだろう」と語っている。
(共同通信=太田清)