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飼育員死なせたホワイトタイガー公開再開

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「殺処分」か「展示」か 飼育員死なせたホワイトタイガー公開再開

2018年12月20日(木) 産経新聞

動物園で飼育員を襲い、死傷させた動物は、その後どうなるのだろうか。
全国の動物園で共通ルールはないが、過去に起きた死傷事故で殺処分されたケースはゼロという。
今年10月に飼育員がホワイトタイガーに襲われて死亡した鹿児島市平川動物公園も殺処分しない意向を表明し、展示を再開した。
(森西勇太)

      

■展示再開に賛否
展示再開から約1カ月半が過ぎ、以前のにぎわいを取り戻しつつある平川動物公園の「世界のイヌ・ネコゾーン」。
ライオンやジャガーとともに、ホワイトタイガーの「リク」も来園者の前に姿を見せている。
リクは10月8日、獣舎で飼育員を襲い、死亡させた。
飼育員は1人で作業中だったとみられ、リクと同じおりの中で、首から血を流して倒れているのが見つかった。
「殺処分が妥当」「一般公開は避けるべきだ」。
園が事故後に展示を中止すると、インターネット上ではさまざまな意見が出た。
同園によると、園にも同様の批判的な意見が寄せられた一方、展示の継続を求める声や「動物に罪はない。これからもかわいがって」と書かれた手紙も届いた。
動物園で飼育員が動物に襲われ死亡した事故は過去にも起きている。
平成20年にアムールトラによる飼育員死亡事故があった京都市動物園でも事故後、殺処分に関して賛否の声が寄せられたが、展示を継続。
17年にヒグマ、24年にはアジアゾウに飼育員が襲われて死亡する事故があった富士サファリパーク(静岡県裾野市)も展示を続けた。
 
■遺族の思い
日本動物園水族館協会(東京)によると、戦時中に空襲被害で獣舎が壊れるなどして動物が逃げ出すことを懸念し、各地で殺処分が行われた。
その後、国内の動物園で殺処分されたケースは「ゼロとみられる」(担当者)という。
動物が獣舎から逃走し来園者に被害が出たり、感染症になり園内で被害が拡大したりする場合には殺処分の可能性もある。
こうした例外を除いて、国内計91カ所の動物園に共通した運用上の規定はなく、各園の判断に委ねられているのが現状だ。
平川動物公園は、10月27日にリクの展示を再開。
飼育員の遺族は「(飼育員)本人がリクを大切にしていた」と話し、飼育を続けてほしいという意向が同園に寄せられていた。
同園担当者は「人が管理するエリアで起きた事故。殺処分の選択肢はなかった」と明かす。

■「動物に非なし」
殺処分しない背景には、園内事故の大半は人的ミスで発生している可能性が高く、動物に責任を問えないという共通した認識があるためだ。
アムールトラがからむ事故があった京都市動物園の坂本英房副園長(58)は当時、原因が飼育管理上のミスとみられたことを踏まえ、「他の飼育員らも動物を恨んではおらず、復讐(ふくしゅう)的な殺処分は意味がない」と説明。
死亡事故は起きていない天王寺動物園(大阪市)も「事故が起きたとしても動物に責任は問えない」と強調する。
旭山動物園(北海道旭川市)の元園長で、札幌市円山動物園の小菅正夫アドバイザー(70)は「動物を人間の管理下に置いている以上、動物に非はない。事故防止には飼育員の教育を徹底する以外に方法はない」と指摘。
その上で、動物園の運営や管理に関する法律がないことを問題点として挙げ、「飼育方法に関する規定や事故の際に原因を調べる外部機関が必要だ」と話している。


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