犬の殺処分、ゼロを達成 神奈川の保護センター
2014年4月19日 朝日新聞
横浜、川崎、横須賀の3市以外で捨てられたり逃げたりした動物を預かっている神奈川県動物保護センター(平塚市)で昨年度、殺処分された犬がゼロだった。
1972年のセンター開設以来、初めてのことだ。
川崎市内の動物を預かる市動物愛護センター(高津区)でも、昨年度の犬の殺処分数が初めてゼロになった。
いずれも病死など収容中の死亡を除く。県内にセンターは四つあり、横浜市動物愛護センター(神奈川区)と横須賀市動物愛護センターは昨年度の殺処分数を集計中だが、ともにゼロではないという。
動物愛護の観点などから、殺処分の数が年々減っているのは全国的な傾向だ。
環境省の統計によると、40年前の殺処分数(収容中の死亡を含む)は年間115万9千匹以上だったが、2012年度は30分の1の約3万8千匹に。
県内でも1992年度には約6300匹だったのが、2012年度は217匹まで減っていた。
県動物保護センターはゼロ達成に向けて、様々な取り組みを進めてきた。
手っ取り早い方法は、センターに来る犬を減らすことだ。
飼い主が高齢化や転居などの事情で「もう飼えない」と持ち込んできても、しつけ方をアドバイスしたり新しい飼い主を探すよう促したりして、簡単には引き取らない。
また、迷い犬を確実に飼い主に返すため、狂犬病予防法で義務づけられた鑑札(登録証)の装着も推進してきた。
保護した子犬は避妊去勢手術をした上で、月1回の「譲渡会」で新しい飼い主を探す。
成犬の引き取りは主にボランティアが担う。
30を超えるNPOなどの団体・個人が登録し、犬を引き取って世話をしたり、新しい飼い主を見つけたりしている。
センターから譲り受ける際、1匹当たり1220円かかっていたのを昨年9月に無料化。
ボランティアが協力しやすくした。
センターの秋山雅彦業務課長は「センターばかりが頑張ってもゼロにはできない。ボランティアの協力や、飼い主の意識も大切。ゼロを続けられるよう取り組んでいく」と話す。
猫の殺処分数も、1989年度には全国で約32万8千匹だったのが、2012年度は約12万3千匹に減っている。
県内でも1992年度に約2万匹だったのが、2012年度は2600匹余に減少した。
ただ、県によると、猫は繁殖しやすく、親猫がいないと子猫を育てるのが難しいことなどから、一定数は殺処分せざるを得ないという。
(神宮桃子)