被災保護犬、飼い主に会わせたい 南三陸で写真展へ
2018年10月1日(月) 京都新聞
2011年3月の東日本大震災後、宮城県内で保護された犬を引き取った男性(67)が「犬の寿命が尽きる前に元の飼い主に会わせられないか」と、飼い主を探している。
相談を受けた大津市社会福祉協議会が、友好関係にある同県南三陸町の社協に協力を依頼。
10月に写真パネル展を開くことになった。
サンをわが子のようにかわいがってきた佐藤さん。
「元の飼い主も会いたがっているのでは」と気に掛ける(京都市中京区)
京都市中京区で貸自転車業を営む佐藤研二さん。
震災後、飼い主の被災や避難などで行き場をなくした動物の存在を知り、11年10月に宮城県富谷市にあった県被災動物保護センター(当時)でオスの雑種犬(推定7歳)を引き取った。
中型で茶色い毛は長め。
センターでの登録番号「33」と、太陽や息子を意味する英語から、「サン」と名付けた。
「おとなしくて人なつこい。お手もおかわりもできて、しっかり育てられたんだろうと思った」
近所の住民にもかわいがられて推定14歳になり、不自由な目や耳に加え、足腰も弱ってきた。
「あと1年くらいの命か」。
佐藤さんは元の飼い主が会いたがっているのではと思い、関係施設に問い合わせたり、動画投稿サイトにサンの映像をアップしたりしてみたが、手がかりは得られなかった。
大津市社協に相談したのは、南三陸町社協との交流を8月25日付の京都新聞で読んだのがきっかけ。
放浪していたサンが保護された登米市は、南三陸町と20キロ程度しか離れていない。
佐藤さんは、祖母が残した町家でサンと暮らしてきた7年間を写真パネルにまとめ、大津市社協の原田清文主任に託した。
原田さんは南三陸町にパネルを送り、約1カ月間展示してもらう予定。
復興商店街で知られる「南三陸さんさん商店街」での展示計画もある。
佐藤さんは「被災地ではペットどころではない厳しい生活を強いられてきたと思う。元の飼い主に京都で元気に暮らしてきた事をお伝えし、できればサンの生い立ちを聞きたい」と、期待を寄せている。