日本古来の「紀州犬」“絶滅の危機”のワケ
2018年9月19日(水) 日テレNEWS24
国の天然記念物にも指定されている犬が、今、数を減らしている。
その“かわいさ”で人気を集める一方で、何が起きているのか。
現地を取材すると、深刻な状況が見えてきた。
◆海外でも注目!日本古来の犬に“危機”?
フィギュアスケートのオリンピック金メダリスト、ザギトワ選手に贈られ話題沸騰となった秋田犬。
ザギトワ選手のインスタグラムには、贈られたメスの「マサル」が立派に育っている様子が投稿されていた。
海外でも注目されるようになった日本古来の犬。
そんな日本の犬に、今、危機が訪れているという。
◆日本の犬を「展示」なぜ?
和歌山市の和歌山公園動物園で、これから展示される予定なのは、藤田大介キャスターに飛びついた、現在、生後4か月の真っ白な犬。
2か月前の映像には、仲のよいメスの姉妹の様子が映っている。
ピンと立った耳とつぶらな真っ黒の瞳を持つこの犬は、「紀州犬」。
和歌山公園動物園・飼育員 木村明日香さん「猟犬としても昔から使われていたワンちゃんです」「とっても人が好きなんですよ」
国の天然記念物にも指定されている紀州犬は、古くから紀伊半島一帯で狩猟用に飼われていた中型犬だ。
実は、動物園での展示が決まった背景には、ある理由があるという。
和歌山公園動物園・飼育員 木村明日香さん「洋犬に比べると、紀州犬は少なくなっていますので、多くの方々に見ていただく、知っていただくっていう形で、動物園に来た」
紀州犬の数が減っているため、飼う人を増やしたいと展示を始めるという。
◆なぜ紀州犬は減っている?
なぜ、紀州犬が減っているのだろうか。
紀州犬保存会の林剛司会長は──
林剛司会長「今飼っている人っていうのが高齢化してきてるっていうことと、住む所が大きい犬が飼えない場所が多くなって。マンション住まいが多くなっているってことで、飼う方が少なくなってきたということですね。絶滅の危機を感じまして」
住環境の変化などから、紀州犬よりも小さな洋犬の人気が高まっていて、紀州犬は、今、“絶滅の危機”にあると話す。
◆紀州犬の魅力とは
紀州犬を飼う魅力とは。
50年以上前から紀州犬を飼う榎本政和さんを訪ねると、4頭の紀州犬を飼育していた。
榎本政和さん「向こうがおばあさんで、これが娘。娘の息子がオスで、親子3代です」
一番若い、5歳のコロの散歩を一緒にさせてもらうと、元気いっぱいに走り回る。
榎本政和さん「(Q:散歩は4頭一緒ではない?)はい。力あるんでどうしても。事故起こしたら悪いんで、引っ張られると」
4頭を1頭ずつ散歩させるのに、2時間かかることもあるという。
榎本政和さん「体調が悪い時はやっぱり、しんどいなと思う時もありますけどね」
大変なところもある一方、紀州犬ならではのよさもあるという。
榎本政和さん「かわいいし、飼い主にものすごく忠実なので」
◆減少傾向の日本古来の犬。絶滅防ぐ鍵は
忠実さが魅力だという紀州犬。
日本犬保存会によると、20年前は全国で1450頭の紀州犬の血統書を発行したが、去年は372頭と、4分の1ほどに減っているという。
さらに、秋田犬や、北海道原産の北海道犬も、ピーク時に比べると、国内での飼育頭数が減少傾向にあるという。
国内で飼う人が少なくなっている日本古来の犬。
その魅力を広く知ってもらい、後世に伝えていくことが、絶滅を防ぐ鍵となりそうだ。
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