多頭飼育崩壊はなぜ起きてしまうの?原因と対策
2018年9月8日(土) わんちゃんホンポ
多頭飼育からの破たんする流れ
犬や猫を飼育している人は一頭しか飼育しない人もいれば、一度に複数頭飼育する人もいます。
複数頭飼育すること自体、経済的に可能であればペットたちのためにも仲間を増やしたいという方も多く、問題視することもありません。
しかし複数の犬、または猫を同時に飼育する際には「自由な繁殖を行わせない」ことが鉄則です。
・頭数が増える
避妊去勢の処置を行わないまま複数頭を飼育し自由に繁殖できてしまう状態が続いてしまうと、貰い手探しも大変です。
都度、貰い手をきちんと見つけてあげられたら良いのですが、「かわいい」「手放せない」などの気持ちから手元に置いておく数がどんどん増えていきます。
そしてその生まれた子どもたちにも避妊去勢の処置を行わないため、更に頭数が増える結果となるのです。
・生活が苦しくなる
通常、頭数が増えても飼育するスペースは広がりません。
徐々に衛生的な環境ではなくなり、目が届かなくなるので健康管理もままならなくなっていきます。
病院代や食事代がかさんで経済的に苦しくなっていくと、その環境を改善することが出来ない飼い主は生活が苦しくなった原因の犬猫たちを放置したり、そのままの状態で引っ越したりしてしまいます。
これが多頭飼育崩壊の大まかな流れです。
多頭飼育崩壊の原因
多頭飼育をしている人全員が飼育崩壊をするわけではありません。
しかし高齢化や災害などの事情が発生した場合、適切に動物を管理することが出来なくなってしまうことで飼育崩壊につながってしまうこともあります。
一般的に飼育崩壊につながりやすいパターンは大きく分けると3つです。
✔アニマルホーダー
✔飼育ボランティア
✔ブリーダーやショップ等の施設
アニマルホーダー(動物を多数抱え込んでしまう人)
アニマルホーダーとは異常な数の動物を自宅などに抱え込んで飼育してしまう人です。
適切に飼育管理ができる人なら良いのですが、多くの場合は「動物がかわいそう」という気持ちで引き取り続け、適切な処置をしないまま自宅で繁殖していくうちに経済的に苦しくなり自分の手に負えなくなってしまうのです。
その結果、動物たちを劣悪な環境に放置したままの「飼育崩壊」が起こります。
このような状態に陥る人は自身が普通ではないということを知りません。
自分が多頭飼育をしている意識もなく、動物の環境が悪いことも理解していない場合がほとんどです。
むしろかわいそうな動物を引き取っているんだという、愛護精神を掲げている場合が多く他者の援助を拒否する傾向があります。
ごみを集め続けて自宅をごみ屋敷にしてしまう人のメンタルとよく似ていますね。
社会から孤立した人が動物への依存を高め、その結果「とにかく集める」という行動に走ってしまうのです。
飼育ボランティア
犬猫を保護して里親を見つけるまで飼育するボランティアも、実は多頭飼育崩壊に陥りやすい傾向があります。
施設やアニマルホーダーの多頭飼育崩壊から動物を引き取って、一時的に預かったり新しい里親探しをしている飼育ボランティアは、一時的または常時多数の動物を手元に保護しています。
本人は熱心にボランティア活動をしていたとしても、何らかのトラブルが起こって動物の世話が出来なくなってしまうとこれも「飼育崩壊」となります。
トラブルの多くは自然災害や交通事故、病気です。
また本人の加齢によって動物の世話が十分に行えなくなる可能性もあります。
個人で活動している場合は特に、本人にトラブルが起こってしまうとどうしても手が回らなくなって崩壊につながりやすくなってしまうのです。
ブリーダーやショップなどの施設
犬猫を多く飼育しているブリーダーやペットショップなども多頭飼育崩壊が起こります。
このパターンの場合、経営難などの経済的な理由が一番大きいのではないでしょうか。
利益追求をしすぎて子犬、子猫をたくさん産ませたけれど売れ残ってしまった場合や、経営者にトラブルが起こって債務を負ってしまった場合など、動物の世話を放棄して劣悪な環境のままに人が逃げてしまうことがあります。
ブリーダーだけでなく近年増加してきた猫カフェや、その他の動物を用いた「○○カフェ」など、動物が多くいる施設はどこでもこの多頭飼育崩壊が起こる可能性があります。
多頭飼育崩壊の対策
個人の場合は何よりも「避妊・去勢の処置」が一番の対策です。
多頭飼育崩壊に陥るのは動物たちが無秩序に増えてしまうことから始まります。
そのためにはまず増やさないことが重要です。
しかしアニマルホーダーなどの場合はこの処置の重要性に無頓着です。
たとえ自治体が不妊手術を無料で行えるようにしたとしても、面倒くさいからといって予約をキャンセルしたりそもそも必要ないといってしまったりと、増やさないことに対して非協力的な場合が多く徹底は難しいと思われます。
また飼育ボランティアの場合も個人で活動している場合、引き受けたすべての犬猫に不妊手術を行うのは経済的にとても厳しいことです。
これに対して一部の愛護センターでは動物の譲渡の際、あらかじめ不妊手術をしてから引き渡すようにしているそうです。
これによって里親の元で無秩序に繁殖することがなくなるため、多頭飼育崩壊の防止につながると期待されています。
まとめ
飼育崩壊を起こさせない一番の対策は「増やさないこと」です。
しかしブリーダーなどの業者にはそれが出来ません。
ブリーダーやショップなどの施設に対しては、動物の愛護および管理に関する法律に則った適切な飼養管理を行っていない場合は行政処分が入ります。
特定の犬種・猫種の乱繁殖による飼育崩壊を引き起こさないためにも、犬猫を飼う際は「かわいいから」という一時の流行に乗るのではなく、特性や飼い方などをよくよく考えてから飼うようにしていけたらよいなと思います。