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外猫の不妊・去勢手術を専門にする病院

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外猫の不妊・去勢手術を専門にする病院
 目標は年1000件、そして閉院

2018年9月1日(土) sippo(朝日新聞)

「飼い主のいない猫」に去勢・不妊手術を行って、元の場所に戻す活動「TNR」(Trap:捕獲/Neuter:不妊・去勢手術/Return:元の場所に戻す)が全国的に広がっている。
だが、その手術に協力的な獣医師の存在が十分ではないという現実もある。
その中、そうした手術を専門的に行う病院が新潟市にできた。


「そとねこ病院」の黒澤理紗院長

外で生まれた子猫の8割は死ぬ現実
新潟市の「そとねこ病院」が開設されたのは昨年末。
この病院では、もっぱら飼い主のいない猫の不妊・去勢手術を行い、一般の飼い犬や飼い猫の診療は受けつけていない。
院長の黒澤理紗獣医師は、子どものころから猫が好きで、特に外で暮らす猫が気になっていたという。
「私たちの想像以上に、外で暮らす猫たちの一生は悲惨です。車に轢かれたり、感染症にかかったりなどで、およそ8割の子猫はおとなになることなく命を落とします。自治体のセンターに引き取られて処分される子猫も少なくありません」
中学生くらいの時から、病気やけがした猫を見つけると、獣医さんのところに連れて行っていた。
動物のお医者さんになりたいと、猛勉強の末、難関の北海道大学獣医学部に入った。
獣医学部で6年間を過ごし、進路に迷った時期もあったが、こんな結論に至ったという。
「獣医師として、外の猫たちを救うことを仕事にしたい」


去勢手術を受けるオス猫

手術で繁殖を減らす
自治体の動物愛護センターで殺処分となる猫の65パーセントは、生まれて間もない子猫だ。
猫は年2、3回、一度に5、6頭の子猫を産む。
子猫は生後半年くらいで妊娠が可能になり、また年2、3回、5、6頭ずつ子猫を産む。
子猫たちが次々と繁殖するのと並行して、最初に子猫を産んだ母猫もその次の世代も子猫を産み続ける。
悲惨な運命をたどる猫を減らすカギになるのは、不妊・去勢手術だ。
そうした思いから「そとねこ病院」を開業した。
病院といっても、施設は6畳半のアパートの一室。
「家賃の安い部屋を借り、診療を不妊・去勢手術のみに限定することで必要最小限の設備にして、すべての作業をひとりで行うことでコストを抑えています」
コストカットの甲斐あって、ノミ・ダニの駆虫を含む手術代は極めて低価格だ。
猫風邪などの治療やワクチン接種も原価プラスアルファの代金で行っている。
黒澤獣医師の手術に立ち会わせてもらった。
この日、不妊・去勢手術をしたのは、捕獲器やキャリーバッグに入った猫10頭。
地域で捕獲された飼い主のいない猫のほか、多頭飼育の家屋から連れて来られた猫たちもいた。
あらかじめ消毒した器具や薬品等をすぐ手に取れるようにして並べておく。
1頭ずつ麻酔をかけ、手術台に紐で保定。
患部の消毒、メスであれば開腹、オスであれば睾丸を切開し、最後の縫合まで、すべての作業をひとりで行う。
手順は流れるようだ。


アパートの一室にある「そとねこ病院」

「ゴールは閉院」
新潟では、行政、獣医師会、動物愛護団体との連携・協力関係が強い。
そとねこ病院も獣医師会の会員であり、行政とも連携・協力し、新潟県を中心に活動するボランティア団体「新潟動物ネットワーク」が連れて来る猫たちの手術を行うことが多い。
「めざすは年間1000頭の手術。これだけ手術を行えば収容数と殺処分数が減るという目に見える成果を上げたい」
そとねこ病院の必要がなくなり、閉院するのが、最終的なゴールだと黒澤獣医師は話している。


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