いまだに飼い主が見つからない「被災ペット」がいることを知っていますか?
2018年4月17日(火) BuzzFeed News
Kota Hatachi 籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan
Nozomi Shiya 志谷 のぞみ Illustrator, Japan
熊本地震から2年。
いまだに帰ることのできていない、犬や猫がいる。
もし災害が起きたとき、ペットはどうなってしまうのか。
地震の混乱のさなか、飼い主とはぐれたり、パニックになって逃げ出してしまったりするペットは少なくない。
2年前の熊本地震では、約2500頭が「被災ペット」に。
飼い主が見つかっていない犬が11頭、いまも県に保護されたままになっている。
飼い主とはぐれたまま・・・
熊本市にある竜之介動物病院の掲示板
「地震で行方不明になりました」「地震後、自宅からいなくなりました」
熊本市内の動物病院には、いまだに迷子犬・猫を探すポスターがずらりと並んでいる。
環境省が2017年3月にまとめた報告によると、震災後に熊本県と熊本市が保護収容した「被災ペット」の数は、犬1094頭、猫1405頭にのぼる。
このうち、元の飼い主が見つかり返還できた頭数は犬400頭。猫に至ってはたった11頭にすぎなかった。
迷子札やマイクロチップなど、所有者がわかるようなものを装着していたのが犬368頭、猫13頭にすぎなかったことも、こうした現状を招いているとみられる。
震災後、ペットたちに起きたこと
県動物愛護センターにいる被災ペット
県健康危機管理課によると、被災ペットの定義は震災後から同年10月末までに保護したものだ。
「被災ペット」には地域の限定や通常の収容活動との違いを設けておらず、野犬や野良猫も含まれている可能性もあることには留意が必要だ。
ただ、震災後は保健所への「飼い犬猫がいなくなった、迷い犬猫を保護したという問い合わせ等はかなり多かった」(県動物愛護担当者)という。
混乱のさなかにパニックになって逃げ出してしまったり、飼い主が避難をする際に放してしまったりしたケースが考えられるが、それだけではない。
県の担当者は、長引く避難生活や仮設住宅への入居などを理由に、捨てられてしまったペットも少なくないとみる。
飼い主が見つからなかった「被災ペット」はその後、愛護団体や譲渡会を通じて引き取り手を探してきた。
県では犬495頭、猫773頭の譲渡先が見つかった。
それでも、全てではない。
県の動物愛護センターには、いまだ「被災犬」11匹が残されたままになっている。多くは大型犬など、譲渡が難しい犬だという。
避難は同行が原則
県動物愛護センターにいる被災ペット
東日本大震災の被災地でも同様に、飼い主とペットがはぐれてしまったケースが相次いだ。
これを受け、環境省は2013年、震災時にペットともに避難する「同行避難」を推進する「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定した。
災害が起きた時、ペットもともに避難先に連れていくことを原則とする呼びかけだ。
熊本地震ではこうした「同行避難」の認知はある程度されていたものの、避難所で飼い主とペットが同じスペースにいられる「同伴避難」ができず、壊れた家に戻らざるを得なかったり、車中泊を選んだりする人が多かった。
さらにこの情報がSNSで拡散し、そもそも「同行避難」すらできないという誤解が広がってしまったという。
飼い主にできること
災害時にペットを守るためのものチェックリスト
そもそも、災害時のペットの避難は「自助」が基本だ。
飼い主には普段から、イラストに描かれているような災害時の備えが求められる。
まず、1週間程度の食糧や水、医療品などの物資を揃えておくこと。
また、避難先で落ち着いて行動できるよう、普段から吠えなかったり、ケージにきちんと入ったりさせるよう、しつけることが大切だ。
動物の種類に応じて、飼い主がわかる迷子札や鑑札、マイクロチップなどを普段からつけておくことも重要だ。
はぐれてしまっても、再び戻れる確率が高くなる。
また、猫の場合は、災害後に放浪し、一気に繁殖するケースもみられる。
「家猫だから」と安心せず、避妊や去勢をしっかりとすることも必要という。
環境省動物愛護管理室の担当者は「災害が起こった際は必ず連れて逃げてください。そのとき、どう避難したらよいのかなど、もしものことを普段から考えておく必要がある」と強調する。