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ペットの病気、病院違うと支払い10倍!?

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ペットの病気、病院違うと支払い10倍!?「獣医が価格決められる」

WITHNEWS

梅山たら子さんのツイッター投稿漫画
出典: 梅山さんのツイート

ペットのウサギが体調を崩し、2件の動物病院に見てもらったら、会計が10倍も違っていた・・・。
そんな体験を漫画にまとめた梅山たら子さんのツイートが9月中旬、話題になりました。
ツイートの返信には「びっくりしました」「私もぼられたことがある」など、驚きや似た経験の報告がたくさん寄せられています。
どうしてこうなるの?
そして思わぬ出費を避けるには?
国民生活センターのペット担当者に伺いました。

5万3千円と5500円
梅山さんは関東住まいの漫画家さんで、体調を崩したのはウサギのモフちゃん。
夏ごろからくしゃみが続くようになったので、近所の動物病院に連れて行くと、レントゲン4枚撮影、血液検査と総合化学検査などをされましたが、「原因は分かりません」と言われました。
支払いは5万3千円。

梅山たら子さん(漫画の中の自画像)
出典:梅山さんのツイート

原因不明では困るので、別の動物病院を訪ねると、今度は触診のみでしたが原因を推定してくれ、薬も出してくれました。
ここの支払いは5500円。
なお、薬のおかげか、モフちゃんの体調も良くなったそうです。
最初の病院の費用は、レントゲンや血液・化学検査の部分だけで4万3900円。
2件目ではこの部分はなく、費用の大きな違いになっています。
ですが、診察料自体も3300円と1400円で、大きく違います。
梅山さん自身は「最初の病院を批判する気はありません。あのやり方で大きな病気が見つかって助かった動物もいるんだろうなとは思います」とおっしゃっています。ですが、「大掛かりすぎる気はしてます・・・」とも。
釈然としない気持ちはおありのようです。



梅山さんの漫画1ページ目
出典:梅山さんのツイート

国民生活センターに聞くと・・・

どうしてこんなことが起こるのか。
そして、どう気をつければいいのか?
国民生活センターに伺い、過去の消費者からの相談内容をもとに、ご説明を伺いました。
対応してくださったのは、相談情報部の稲垣利彦さんと大槻祐子さん。
全国の消費生活センターに寄せられる相談内容を分析し、国民に向けた情報提供や各地の消費生活相談員にアドバイスをするのがお仕事の部署で、ペット関連の相談も担当しておられます。

「動物の医療費、獣医が決められる」

―こういうことって、よくあることなのでしょうか?
稲垣:動物病院の診療費について消費者からの相談は、昔からコンスタントに続いている相談のひとつですね。例えば、夜にネコの具合が悪くなり、病院に連れて行ったら入院を勧められたが、一晩入院で8万円は高すぎないか、など、いろいろあります。ただ、「治療費が妥当かどうか」という観点で言えば、何も言えないのです。

―どうしてですか?
大槻:公的保険制度がある人間の医療と違い、動物の医療は、獣医師側が自由に価格を決めることができるからですね。あと、獣医師が必要と思ったら、検査や薬が増えて、結果として高くなることもあります。これは人間でもありえることです。


梅山さんの漫画2ページ目
出典:梅山さんのツイート

―とはいえ、想像もしないような高額の請求を受けると、困ります。
稲垣:やはりそこは、獣医師さんとよくコミュニケーションをとることが重要ではないかと思います。診療の前に、どのような検査をするのか、何のためにその検査が必要なのか、それがいくらかかるのか。きちんと質問し、納得した上で治療を受ければ、思った以上に高額な治療費を請求されるトラブルも避けられるしょう。最近は、そのあたりを最初から説明してくれる動物病院も多いようです。

初診料は1386円が平均

―ただ、聞いてもそれが高いのか安いのか、分かりません。
稲垣:確かに、業界団体が定価のようなものを決めると、独占禁止法に抵触する恐れもあり、定まった価格というのはあり得ないのです。ただ、日本獣医師会が2014年、動物病院に犬猫の診療料金をアンケートした結果が公表されています。たとえば初診料だと1386円が平均で、輸血なら10542円だと分かります。参考になるのではないでしょうか。

―きちんと診療前に料金を聞いていたのに、それでも避けられなかったトラブルというのはありますか?
稲垣:治療計画を事前に教えてもらったにもかかわらず、そのとき示されたのよりも高い料金を請求された、という事例もあります。獣医師側が「診察を続ける中で、新たに必要な処置が出てきた」と判断し、実施したという例でした。こういった場合に動物病院側に非があるかどうかの判断は難しいケースも多くありますので、困ったと思ったら、まずは局番なしの「188」に電話し、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

「ペット医療保険もトラブル」

梅山さんの漫画3ページ目
出典:梅山さんのツイート

―いくら事前に説明を聞いても、どうしても医療費が高くなる病気もあるかと思います。そういう時のためにペットの医療保険もありますが、トラブル例はありますか?
大槻:これも毎年、一定数の相談がある分野ですね。典型的なのは、ペットが病院にかかり、保険金を請求したものの、支払われない、というものです。
稲垣:たとえば、ペットが手術をして60万円支払ったが、保険会社から15万円しか支払われず、少なすぎないか、という相談が寄せられたことがありました。そこで、詳しく保険契約の約款を見てもらったところ、そもそも保険会社の契約で15万円が給付の限度額になっており、消費者も納得したという事例もあります。

「病院限定の保険も」

―契約時によく調べておけば誤解は無かった、ということですね。ほかに、契約時に注意すべき点はあるでしょうか?
稲垣:ペットがかかる病院を指定している保険、というのもありますね。こういう保険の場合、近所に保険が使える動物病院があるかどうか、きちんとチェックしておく必要があるでしょう。あと、先天性の疾患は保険対象外など、対象の疾病を限定している保険もあります。
大槻:ペットに限った話ではありませんが、保険契約では約款を確認することが重要です。値段だけを気にするのではなく、補償の内容までゆっくり比較検討して選んで欲しいですね。


梅山さんの漫画4ページ目(完)
出典:梅山さんのツイート

火葬中に高額請求の例も

―動物病院以外で、ペットのお金に関わるトラブルでは、どんなものがありますか?悪質な業者などはいませんか?
大槻:いろいろありますが、悪質だったものでは移動火葬業者の問題がありましたね。10年ほど前、一時期寄せられたトラブルです。

―どのようなものですか?
稲垣:ペットが亡くなった際の火葬サービスですが、業者は自宅近くに設備を持ち込み、火葬にします。この際、火葬が始まってから広告とは異なる高い料金を請求され、抗議すると、火葬を中断して生焼けの状態で置いていく、と言って居直られた、という相談が寄せられた時期もありました。

―それはひどいですね。
大槻:この事例は最近ではないですが、やはり、どのようなサービスでも事前にきちんと料金を確認することが大切です。納得したサービスに納得できる料金を払う、というためには、相手方としっかりコミュニケーションをとることが必要だ、ということですね。

国民生活センターの稲垣さん(左)と大槻さん。ありがとうございました。

お互い、気をつけて参りましょう
と、いうわけで、当たり前といえば当たり前な対策しかない結果になりましたが、ペットを飼う皆さまにはご参考になりましたでしょうか?
ウチも犬を飼っていますが、大事な家族ですので、いざというときにお金をケチりたくはありません。
でも、思わぬ巨額の出費がつらいのも正直なところです。
動物病院も保険会社も、その他のサービスも、きちんと話を伺ってからお世話になろう、と改めて感じる取材になりました。


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