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犬の楽園コスタリカ

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「犬の楽園」へようこそ、約1000頭が暮らす野良犬の保護施設、コスタリカ

2017年11月9日(木) ナショナル ジオグラフィック日本版


コスタリカ出身のボランティア、ホセ氏と、ニカラグア出身の上級管理人、ダーリン氏。犬の散歩をしている。(PHOTOGRAPH BY DAN GIANNOPOULOS)

中米コスタリカにある「Territorio de Zaguates」という犬の保護施設。
施設名は「野良犬たちの場所」という意味だ。
現在、ここでは約970頭の犬が暮らしており、そのすべてに名前がつけられている。
この施設を訪問した英国人の写真家ダン・ジャイナプロス氏は、そこで暮らす犬たちとその世話をする人々の姿を写真に収めた。

約1.5平方キロメートルの広さを持つ施設は、首都サンホセの繁華街から約1時間の熱帯山地にある。
そこでは、訪れた人々、施設の職員、そしてボランティアたちの横で、たくさんの犬が歩いたり、走ったり、遊びまわったりしている。
多くの犬は引き取ることができ、訪問者が自分の犬を連れてきて施設の犬と遊ばせることもできる。
現在はニカラグアを本拠地としているジャイナプロス氏は、愛犬家を自称している。
「何百頭という犬が走りまわっている姿には、思わず息をのんでしまいます。こんな景色は見たことがありません」
ジャイナプロス氏は、ここ数年にわたって英国のオルタナティブ・カルチャーを撮影してきた。
そのため、人ではなく犬を題材にした写真を撮るのは難しいのではないかと思っていた。
しかし、犬たちは友好的であるだけでなく、好奇心旺盛で行儀もよかった。
片足が麻痺したラブラドールは1日中あとをついてきて、ジャイナプロス氏が写真を撮るために群れを離れてもずっと待っていた。
施設を去る日になると、門までずっとついてきて車に乗るのを見送ってくれた。
「きっと好きになってしまう犬がたくさんいますよ」とジャイナプロス氏は語る。
施設の創設者であるリア・バトル氏と夫のアルバロ・サウメット氏は、13年ほど前、サンホセの路上にいる野良犬を引き取る活動を始めた。
そして、小さな裏庭で飼う犬が100頭を超えたとき、非公式だった保護施設をバトル氏の祖父が所有する農園に移す手続きを開始した。
施設の運営は決して楽ではない。
コスタリカで正式な非営利団体を立ち上げるための面倒な手続きは終わりに近づいているが、増え続ける犬たちの食費という現実に直面している。
犬たちが1日に消費する食事の費用は600ドルにのぼるのだ。
さらに、少し前には11頭の犬が死んでいるのが見つかった。
一家から土地を買おうとたくらむ隣人たちが、施設をつぶそうと卑劣な手段に出たのではないかとも心配している。
しかし、捨てられた犬たちにとって、そこは楽園以外の何ものでもない。
施設の従業員であるホセ氏が、ひざの上に乗せた犬の背中に手を置く様子が写っている写真がある。
背後には雨雲がかかった山の尾根が見え、足下に広がる緑の大地には、茶色や黒、白などのさまざまな犬がいる。
「この写真こそ、この場所の象徴です」とジャイナプロス氏は話す。
「彼らの写真を撮り、それを伝えることが何かの役に立つなら、ぜひそうしたいのです。それが私にとって何より重要なことです」

文=Sarah Stacke/訳=鈴木和博

【ギャラリー】コスタリカ「犬の楽園」の写真15点


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