動物看護師として働いていて嬉しいこと~小さな幸せのおすそわけ~
2017年9月15日(金) わんちゃんホンポ
幸せのおすそわけ
私は動物看護師として何年も働いています。
この年齢まで頑張ってこれたのも、犬と飼い主さんからもらえる小さな幸せを間近でみせてもらえます。
当たり前の光景なのに、何故かその後幸せな気持ちになれる。この仕事の醍醐味です。
子犬の成長にほっこり
初めてのワクチンにやってきた子犬が、2回目3回目のワクチンの時には倍ぐらいの大きさになっています。
小さなしっぽをフリフリしていた子犬が、次の診察の時には少し大きくなってしっぽの振り方も痛いぐらい激しくなります。
特に大型犬の成長はあっという間です。
診察の時に「大きくなりましたね。」と言うと「そうなんです!やんちゃで大変で!」飼い主さんは嬉しそうに笑って答えてくれます。
子犬もたくさんの愛情をもらって幸せな笑顔をみせてくれます。
その瞬間私達は幸せな気持ちにさせてもらえます。
ペットホテルでお迎えの時にほっこり
飼い主さんが旅行や急な用事がある場合、動物病院によってはペットホテルでお預かりする場合があります。
お泊りに慣れている子だと、全く気にせず甘えてくれますが、初めてのお預かりの場合や慣れていない子だと飼い主さんと離れてしまう不安と慣れない場所にいる不安で、ずっと吠えたりクーンクーンと悲しそうに鳴いたり全く動けず震えていたりと、見ていてかわいそうになります。
ご飯食べない子もいますし、おしっこやうんちもなかなかしない子もいます。
少しずつ慣れてご飯も散歩も出来るようになりますが、やっぱり1人で寂しそうにしています。
そんな時は「早くお迎え来てくれたらいいのにね。」と話しかけます。
そんな数日を過ごしていたので、お迎えの時は喜びが爆発するかのように飛び回ります。
受付で飼い主さんのところに連れて行くと、姿をみた瞬間目の輝きが変わり全身で喜びを表し、顔中舐めたりずっと鳴きながら飛び回ったり。
もう嬉しくてじっとしていられない感じです。
嬉しそうに帰る後ろ姿をみると幸せな気持ちにさせてくれます。
元気な姿にほっこり
いつも元気な愛犬が突然の病で、長期の治療や入院になることがあります。
特に入院になる場合は重症なので、元気になることなく最後を迎える子が多くいます。
そんな中辛い治療に耐え退院できた子が次の診察に来た時、元気な姿をみるとそれだけで嬉しくなります。
入院前はぐったりと診察台の上で動けなかった子が、元気になり退院後次の診察に来た時には台から落ちそうなぐらい動き回る姿や飼い主さんに甘える姿をみると心から嬉しく思います。
「よく頑張ったね。」そう声をかけずにはいられません。
新しい家族にほっこり
どんなに頑張ってもいつかは必ず愛犬の最後を看取らなければなりません。
頑張って看病していた愛犬を亡くした飼い主さんにとって、動物病院はつらい場所になってしまう事もあります。
毎日治療に来ていた飼い主さんが、愛犬を連れず1人で挨拶に来られた時、ぐっとこらえ亡くなった事を先生に伝える瞬間をみるのはとてもつらいです。
「お世話になりました。」「ありがとうございました。」飼い主さんに声を掛けてもらえますが、今だに声を掛けると泣きそうになり言葉をうまく伝えられません。
「〇〇ちゃんよく頑張ってくれましたね。」そう伝える事が精一杯です。
もうこの飼い主さんに会えなくなるかと思うと余計涙が出そうになります。
でも少しずつ愛犬を失ったショックから立ち直り、次新しい家族を迎えその愛犬を連れて病院にまた来てくれる事があります。
その瞬間が私にとって1番嬉しい瞬間です。
また病院に来てくれたというと事と、また新しい家族を迎える気持ちになってくれた事に嬉しく思います。
愛犬を失うという事は、私も経験がありますが悲しみと後悔が残り「こんな悲しい気持ちになるなら犬はもう飼いたくない。」そう思ってしまいます。
それでも時間と共に愛犬との思い出が楽しかった事ばかり思い出され、悲しかった事よりも楽しかった事を思い出します。
その時また運命の出会いがあり、新しい家族を迎えられまた新しい思い出をつくっていく。
そのお手伝いがまた出来ることに看護師として嬉しく思います。
最後に
私は動物看護師は子供の頃からなりたかった職業でした。
でも、実際になってみると現実は厳しく、何度も辞めたいと思い何度かこの仕事から離れて別の仕事をした事があります。
それでも、やっぱりこの小さな幸せを思い出し、またこの仕事を選んでしまいます。
自分の無力さや無知に思い知らされ、怒られ泣いて、でも今も続けてきています。
愛犬と飼い主さんの当たり前の日常をみる事で嬉しくなれる。
そんな幸せのおすそわけをみる為に、私は動物看護師という仕事をしています。