<出版>「甲斐犬の神髄」満載 飼育70年経験まとめ 甲府
2017年9月26日(火) 毎日新聞
甲斐犬(左)の魅力や特徴などを本にまとめた雨宮精二さん=甲府市上阿原町で、松本光樹撮影
国の天然記念物にも指定されている「甲斐犬」の飼育に70年以上携わってきた甲府市上阿原町の雨宮精二さん(79)が、甲斐犬の特徴や魅力、自らの経験をまとめた「甲斐犬の神髄、ここにあり。」(和器出版)を出版した。
通販サイト「犬」分野で1位を獲得するなど好評だ。
甲斐犬は1934年に国の天然記念物に指定された中型犬。
日本犬では秋田犬に続き2番目の登録だった。
「赤虎毛」や「黒虎毛」、中間色の「中虎毛」など、虎模様の毛が特徴。野性味があふれ、「一世一主」と言われるほど飼い主に忠実な特徴がある。
雨宮さんいわく「ひとさまにはしっぽを振らない野武士のような性格。自分と通ずるところがある」。
雨宮さんによると、甲斐犬のルーツは甲府盆地などで猟犬として飼われてきた「ブチ毛」で、昭和初期には甲府市内の旧甲州街道沿いで番犬としての役割も果たしていたという。
雨宮さんは物心がつくころから甲斐犬が身近にいる環境で育ち、塗装業を営む傍ら、「師匠」と呼ぶ祖父の久雄さんとともに、飼育や交配の研究に取り組んできた。
これまで350頭以上を手掛け、甲斐犬愛護会の展覧会でも多くの受賞歴を持つ。
今回、30年以上前から書きためてきたという研究成果をまとめ、出版した。
「とても全てを収めきれなかった」が、子どもから大人まで読める平易な内容で「甲斐犬とはどういう犬なのか多くの人に知ってもらいたい」と話す。
飼育では「甲斐犬らしさ」を大切にしている。
子犬のうちは体を大きくするためにたくさんの餌を与えるが、甲斐犬本来の性質を引き出すため、成犬になる2歳からは餌を与える頻度を減らす。
著書では「愛情をかけることと、甲斐犬独特の気質を育てることを取り違えないことが大事」と指摘している。
理想の甲斐犬を育てたいと、現在も3匹の甲斐犬と生活している。
「甲斐犬たる甲斐犬を将来に残し、増やしていきたい」。
雨宮さんの挑戦は続く。
【松本光樹】
『甲斐犬の神髄、ここにあり。』
みなさま、いつも格別のご愛顧を賜り、ありがとうございます!
この度、待望の新刊!『甲斐犬の神髄、ここにあり。』が発売の運びとなりました。
甲斐犬とともに七十余年を歩み、甲斐犬に心血を注いだ雨宮精二氏〝甲斐犬飼い五代目〟のその実践の粋を集めた手記であります。
縄文の里〝甲斐の国〟が育んだ、古風一筋の日本犬。
その野山のありようを、まるで映したかのような独特の「ブチ毛」模様。
性質は、凛として勇猛果敢、一生一主の頑固一徹・・・。
自然、野生、森羅万象をまさに体現しているその姿は、日本の犬としての美質が凝縮されていると、専門家筋、一般の日本犬愛好家を問わず一目置かれた存在です。
はるか縄文の太古から脈々と連なり、日本人とともにDNAを同じく記憶して来た甲斐犬が、現代を生きる日本人が見失いがちな、自然との付き合い、神のハタラキに畏敬の念を持つという日本人のルーツを改めて教えてくれているようにも思います。
野生に見習うべきところが本書の端々に散りばめられております。
培って来た人と犬の永い付き合い、太古の叡智に今一度思いを馳せてみてください。
野生と呼吸するがごとく「ブチ毛」にともに歩んできた雨宮氏の、えも言われぬ結び付きが語る様々な示唆に気づかれることでしょう。
私ども和器出版にとって、「甲斐犬飼い」雨宮精二氏の手記が、ここにまとめられましたことは、何よりも誇らしく、そして心より悦ばしいことでございます。
発刊の充実感とともに、深くお祝い申し上げます。
なにとぞ、お手にとってご覧いただいて、雨宮氏とブチ毛を通じて、遥か縄文の息吹を感じていただけましたら、大変嬉しく存じます。
著者:雨宮精二
出版社:和器出版株式会社
出版年月 : 2017年7月
税込価格 : 1,620円
【電子版】『甲斐犬の神髄、ここにあり。』(電子書籍)を発行しました。
http://www.shinanobook.com/genre/book/3788