保健所で殺処分が決まっていたおばあちゃんチワワに考えさせられる
2017年9月8日(金) わんちゃんホンポ
【わんにゃんレスキューはぴねす】
処分が決まった老犬
人間の身勝手で消されていく、小さな命を助けたい。
ただ、その思いで私たちは手をとり、それぞれが自分に出来ることをして、何とか命を繋いでいます。
一人では救えない命も、皆の力が集まれば救える。
(わんにゃんレスキュー はぴねすのブログより)
福岡県を拠点として犬と猫の救済活動をされているわんにゃんレスキューはぴねすさんのブログトップにはそう書かれています。
わんにゃんレスキューはぴねすさんは、福岡県内の動物愛護センターに収容されている命の期限が切れた犬たちを引き出して、メンバーの自宅で保護し、ネットで里親探しを行っている動物ボランティア団体です。
猫に関しては、保護するキャパが殆どないため、保健所からの引き出しはしていませんが、地域猫のTNR(避妊・去勢)をしているとのことでした。
今回は、彼女たちが保護した『カコちゃん』と名付けられたスチームチワワについてのお話です。
保健所から引き出したチワワ
「右目は 真っ白になってるから もう、見えてないかもだけど、左目は見えてるから生活に支障はなし。お腹には傷跡が、でも、臍ヘルニアがあり、かなり大きいから、それを手術してもらうついでに、避妊してるか、確認してもらおう」、とブログに書かれていました。
このブログを見て、筆者もそしてブログ主も、もしかしたら”繁殖業者が遺棄した犬”ではないかと感じました。
ペットショップなどに子犬たちを卸している繁殖業者たちの多くは、子犬を生めなくなった老犬は殺すか遺棄しているということをご存知の方もいらっしゃるかと思います。
それがペット業界の闇と言われている部分です。
小さな小さな おばあちゃん 寂しがりやさんで 人恋しくて ヒューヒューって泣いてる。
他の犬ともケンカもしない ただ ただ 人が恋しくてたまらない子、「イイコだね~ ヨシヨシ(^^)」って撫でると 小さなシッポをピコピコ振って 笑顔を振り撒く。
(ブログより)
それがカコちゃんでした。
カコちゃんのお腹
繁殖業者が遺棄した繁殖のための親犬ではないかと思ったのは、カコちゃんのお腹の傷跡です。
お腹には 傷跡が・・・何度も 何度も 産まされた跡が、その傷跡が 果たして帝王切開なのか 子宮摘出されてるのか 切り開いてみないと分からないから 生理がくるのか様子を見ていた。
オシッコに血が混ざったのを確認してから 数日後・・・
預かりをしてくれてる、エダママから「今度は緑色の ドロッとしたのが混ざってる 」と・・・
子宮蓄膿症だ・・・そう思い すぐに 病院に運んだ。
(ブログより)
診断
カコちゃんが抱えていた問題は、想像以上に大変なものでした。
エコーの結果、やはり子宮が膨張し 膿か水が溜まり 画像が白く濁っていた。
そして 更に問題が・・・
血液検査の結果 腎臓の数値が 跳ね上がりおそらく、腎臓の1/3は機能していないだろう。
【腎不全】です、と・・・。
(ブログより)
獣医さんの診断は思いもよらぬものでした。
苦渋の決断
腎臓は一度悪くなると、治療しても良くなることはなく猫の腎不全よりも、犬の腎不全の方が悪くなるのが早い。
子宮摘出は手術可能で 蓄膿症は手術すれば 治せるけど腎不全を持ってることで 麻酔のリスクが上がること。
子宮摘出術が成功しても 腎不全が治るわけではなく最悪の場合は、3か月後に亡くなるというケースもある。
腎臓については療養食と、薬で悪化しないように見ていくしかない。
子宮蓄膿症は手術をしないならば、薬で子宮口を開き、中に溜まった膿を全部出してやり 、飲み薬で様子を見る。
しかし、子宮が残るとまた、膿がたまるかもしれないから そのときは、また 薬で膿を出してやる、それを可能な限り繰り返しながらいよいよ 薬では膿が出せない場合は手術をする。
どうしますか? と・・・
今はまだ、肝機能の数値が正常で元気も食欲もある。
もしも、手術をせずに 薬で様子を見ているうちに 肝機能の数値が上がり、麻酔がかけられなくなったら、この子は確実に助からない。
それなら、「手術をお願いします。全てのリスクを 承知の上でお願いします」決心した。
(ブログより)。
使われて捨てられて死んでいく
先生は この子を見て「ブリーダーから 持ってきたんですか?!」と言った。
小さな体で 何度も 【商品】を 作らされたんだろう。
足の関節は 無理な出産を繰り返されたせいで弱くなったのか抱くと 固まり 震えていた。
目が見えなくても 産めさえすればよかったんだろう。
そして、使えなくなった 小さな老犬は、産業廃棄物のように捨てられた。
(ブログより)。
やはりカコちゃんの状態は、あまりに酷く、ペットとして飼われていたというよりも、繁殖業者によって、ただ子犬を産ませるだけの物扱いをされていたのではないかというものでした。
ペットショップに商品として並べられているかわいい子犬たちからは想像もつかないほど、繁殖業者の親犬達に対する扱いは、本当に酷いものなのです。
これは大変難しい決断だったと思います。
カコちゃんの命がかかった決断でした。
このブログにつけられたタイトルは[使われて捨てられて死んでいく]でした。
とても強烈なタイトルですが・・・このタイトルが筆者の目に止まりました。
繁殖業者の廃棄犬たち
筆者は、過去に記事にした滋賀県の「ぼくらはみんないきている」のchinatsuさんのフェイスブックで、その後さんざん繁殖業者(ブリーダーともよぶ)がペットショップに卸す子犬を産ませるためだけに飼育されていた親犬たちの廃棄犬を見てきました。
だからカコちゃんのことをわんにゃんレスキューはぴねすさんのブログで知った時、「ああ、ブリーダーが遺棄した廃棄犬が福岡にもいるんだなぁ」と直感的に思ったのです。
信じがたいかもしれませんが、全国各地で繁殖業者たちが子犬を産めなくなった親犬を殺したり何処かに廃棄しているというのが、今ある現状です。
もちろん、最後まで親犬たちの面倒を看るブリーダーもいますが、その数は本当に少ないでしょう。
廃棄犬たちは、交通事故に遭ったり、誰にも発見されず餓死したり、たとえ発見されて動物愛護センターに収容されても、たいていが老犬もしくは体に何がしかの問題を抱えているということで譲渡対象にもならず、殺処分が決定してしまいます。
そんな犬達のほんの一部がラッキーにも、こうして愛あるボランティアの方達の目に触れ、助け出されます。
しかし、このように運よく助け出される親犬は、ほんのわずかで、それは氷山の一角にすぎません。
殆どの親犬たちが辛くて報われない犬生を送り、残酷な最期を迎えているのです。
見えていた左目も 最近はほとんど見えてないようで・・・
そばに 落ちた オヤツも 見えなくて必死で探してたり、半開きのドアにぶつかったり、耳も遠くて呼んでも反応しなかったり、トイレも 失敗が多くなっちゃったから たまに、ベッドでも オシッコしちゃったりするけど。
小さな おばあちゃんがたまらなく、愛しい。
(ブログより)
カコちゃん、しっかりと愛されて幸せな時間を、わんにゃんレスキューはぴねすさんの元で送れています。
良かったね!本当に良い人たちに見つけてもらって、助けてもらって・・・カコちゃん!
腎不全のカコちゃんは、今は症状は落ち着き療養食での様子見で、薬も点滴も必要ないのですが、もしもこれ以上腎不全が酷くなれば毎日皮下点滴が必要になるそうで、「里親として名乗り出てくれる人はいないかもしれない」と、クリさんはおっしゃっています。
けれどカコちゃんは「生きているから」とクリさん。現在は、預かりのエダママさんの元で静かに療養生活をしながら、のんびりと里親様とのご縁を待っているということでした。
カコちゃんの事は今後もわんにゃんレスキューはぴねすさんのブログで更新されますので、気になる方はそちらをご覧ください。
わんにゃんレスキューはぴねすさんのブログ:https://ameblo.jp/happines-rescue/entry-12300398606.htm
最後に
このような犬猫の保護活動を行っているボランティアの人たちは、日本ではまだほんの僅かしかいません。
それなのに、犬猫たちを遺棄する人たちは絶えません。
繁殖業者だけならず、一般の人たちも最初は自分が望んで飼っていたペットを、途中で遺棄してしまう無責任な人が大変多いのです。
その証拠に全国の動物愛護センターで収容される犬猫達がいつも溢れかえっています。
また避妊・去勢も徹底されておらず、産んだら捨てればいいという安易な考え方をしている人もまだまだこの日本にはとても沢山いて、毎年出産ラッシュの春と秋には、収容数も増え、ボランティアの人たちも悲鳴をあげていらっしゃいます。
動物愛護センターでは、場所にもよりますが、自分で食事がとれない子犬や子猫たちは即日殺処分されているのが通常です。
何故なら、生きものを収容している場所であるにも関わらず、宿直制度がないため、そのような子たちはお世話ができないからです。
ボランティアの人たちにできることは、みなさんにもできること。
一人一人が気を付ければカコちゃんのような可哀想な運命を背負わせてしまう犬猫達はいなくなるはずです。
命を買うより命を助ける選択を。
増えたら飼えないのであれば、避妊・去勢する選択を。
そして何よりも一緒に暮らす犬猫達は”家族の一員”であるという自覚をちゃんと持ちましょう。