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県庁に集まる猫にTNR、山梨の民間団体

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県庁に集まる猫にTNR
 野良猫を不妊去勢して元に戻す 山梨の民間団体

2017年8月6日(日) sippo(朝日新聞)


体調回復まで一時保護している猫を抱く益田代表

今年1月、甲府市の県議会議事堂前駐車場の脇などに、金属網の捕獲器を設置する人たちがいた。
しばらくして、茂みから出てきたのは野良猫たち。
捕獲器の餌に興味を示し、おそるおそる中に入る。
踏み板をふみ、入り口がガシャンと音を立てて閉まると、暴れ出す猫。すかさず笛吹市のボランティアグループ「NO MORE ALLEY CATS」のメンバーたちが走り寄り、毛布で捕獲器をくるんだ。
猫の興奮が収まるのを待ち、車で動物病院へ。不妊・去勢手術を受けるためだ。

団体が取り組むのは「TNR活動」。
TNRは〈TRAP=捕獲し、NEUTER=不妊・去勢手術し、RETURN=元の場所に戻す〉の頭文字で、野良猫の殺処分を避け、寿命を全うさせつつ数を減らすことが目的だ。
「全てを保護することができないからこそ、次の不幸な命を増やさないようにし、地域が見守る『地域猫』として管理する新しい動物愛護の形」と代表の益田陽子さん。


捕獲された県庁の野良猫=1月

団体から県に対策を打診
県庁の野良猫は昨年4月の敷地の一般開放以来、目立つようになり、近隣から汚物などの苦情が寄せられていた。
それを知った団体が県に協力を打診。
地元自治会の協力もあり、今月までに26匹全ての不妊・去勢手術を終え、元の場所に戻した。
このうち報道で活動を知った人たちが、5匹を引き取った。
結成は一昨年7月。
益田さんが店長を務める店に「引き取ってもらいたい」と子猫5匹が持ち込まれたことがきっかけだ。
店は、処分される動物の引き取り手を探すボランティア団体を手伝っていた。
しかしボランティア団体に伝えると、「全てを保護すると破綻(はたん)してしまう。皆さんも何か協力できることを考えて」と問いかけられた。
それまで猫は触ったこともなかったが、車にひかれたりカラスに襲われたりする猫の姿を見て心を痛めてきたこともあった。
「私も何かできないか」。
調べる中で、TNRの活動を知り、職場の同僚の塩島亜貴さんら3人で会を立ち上げた。

野良猫が集まる場に出動
活動は休日をフル活用する。
野良猫が集まっている公園などの情報や依頼が寄せられると出向く。
月に10件ぐらいはあるという。
手術費用は市町村の助成金や寄付などを使うが、移動手段など手弁当の部分も多い。
「戻さないで保護しろ」と言われることもしばしば。
しかし連れて行って別のところで放すのは、動物愛護法の遺棄罪にあたるので、近隣の人や自治会に粘り強く理解を求める。
「やはり住民、特に行政の理解と力が必要」という。
それだけに、益田さんは「人間によって、全うできる命が遮断されないように、次の世代には、猫と人間の共生が浸透している山梨にしていければ」と思いを話す。




野良猫、にゃんとかしよう ボランティア団体ら捕獲大作戦 里親探しも

2017年7月17日 朝日新聞


山梨県庁構内の野良猫


山梨県庁構内に仕掛けられたわなをうかがう猫=甲府市丸の内1丁目

山梨県庁では、昨年4月の敷地の一般開放以来、のんびり歩く野良猫の姿が目立つようになった。
餌をやる人もいて、西門付近に猫が集まるようになり、近隣から汚物などの苦情も寄せられていた。
これ以上の繁殖を防ごうと、13日、ボランティア団体や地元自治会が立ち上がり、猫を一時捕獲して避妊・去勢手術を行う取り組みが始まった。
この日午前9時から、笛吹市のボランティア団体「NO MORE ALLEY CATS」などのメンバーらが、県庁西門付近や近くの商業施設など4カ所にわなを設置。
1日で13匹を捕獲した。
手術後は元の場所に戻すが、里親も募る。
同団体は「TNR活動」を続けていて、TNRは〈TRAP=捕獲、NEUTER=不妊・去勢手術、RETURN=元の場所に戻す〉の頭文字。殺処分を避けて、猫の寿命を全うさせつつ、数を減らす活動だ。
代表代行の塩島亜貴さん(41)は「春先の繁殖期で数が急増する前に何とかしなくてはと思った」。
約20万円の費用は団体側が負担。
寄付金などを活用するという。
「里親に引き取られるのが猫にとって一番良いが、元の場所に戻しても、地域猫として周辺の理解を得られるように、サポートしていきたい」
県財産管理課によると、元々県庁周辺には野良猫がいたが、付近の空き地が開発されたことや、県庁敷地の一般開放に伴う敷地整備で、猫が目立つようになり、汚物などの苦情も寄せられていた。
昨年秋に実態調査したところ、猫は十数匹おり、飼い主はいなかった。
敷地外で猫に定期的に餌を与えている人がいたほか、通行人らが西門付近で餌を与えていたため、集まってきたことがわかった。
県は餌を与えないように求める注意看板を出したが、実質手立てがないままだった。
そんな時、状況をニュースで知ったボランティア団体が県に協力を打診。
今回、地元自治会とも協力してTNR活動に取り組むことになった。
自治会長の宮坂孝一さん(69)も「付近では10年ほど前から猫が目立っていて、飲食店が多いため衛生面や環境面で心配する声が出ていたので、ありがたいこと」。
県財産管理課は「県も、サイトなどを活用して猫の里親探しに協力したい。これを第一歩として、猫にとっても、地域にとっても良い方向に進んでいけば」と話している。
里親希望など問い合わせは同課(055・223・1391)まで。
(中沢滋人)


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