杉本彩 動物愛護活動家として動物福祉の改革を訴える
2017年6月29日(木) NEWSポストセブン
熱心な動物愛護活動家としての顔を持つ杉本彩
日本は空前のペットブームである。
ペットフード協会の飼育実態調査では、2011~2016年で飼い猫は約25万頭増加。2016年の推計で犬猫それぞれ約990万頭という結果が出ている。
一方で問題になっているのが動物虐待だ。
例えば6月5日には、飼い猫を虐待し11匹の死骸を埋めたとして、埼玉県の女が逮捕された。虐待は減る気配がない。
こうした愛玩動物の現実を生々しく描いた漫画『しっぽの声』が話題だ(『ビッグコミックオリジナル』にて連載中)。
TVドラマ化された人気作『獣医ドリトル』を手がけた原作・夏緑、作画・ちくやまきよしのコンビが送る社会派作品である。
この作品に意外な人物が参加している。
女優・杉本彩(48)。
実は熱心な動物愛護活動家の顔を持ち、自らが代表理事を務める公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」では、動物福祉の改革を訴える活動を行なっている。
「作品参加のきっかけは、2年前にEvaが主催したイベントに愛犬家である『オリジナル』の編集長がいらして共鳴してくださったことでした。日本には動物愛護について目を覆いたくなる現実がある。それを親しみやすい漫画という形で取り上げてもらえるのは本当に素晴らしいことだと思います」(杉本)
ペット市場が拡大を続ける一方で、環境は整っているとはいえない。
例えば犬猫の収容・殺処分数は統計上減っているが、実際は何も解決されていないという。
「2013年に改正動物愛護管理法が施行され、無責任な飼育放棄の場合は収容を拒否できるようになったので、数字自体は減りました。しかしこれに含まれない、生産・流通の過程で死んでいく動物たちも多い。命を商品として扱い、軽視しているところが一番の問題です」(杉本)
『しっぽの声』第1話では、悪質なブリーダー問題を取り上げる。
子犬がカネになるからと自宅で繁殖させたが売れず、飼育放棄したブリーダー。
死骸や糞尿が放置された部屋には異臭が充満、道路にまで漂うように。
駆けつけた動物保護ボランティアが見た光景は、まさに地獄絵図だった──。
「作品には資料写真を提供したり、具体的事例を伝えたり、リアルさを追求するための協力をさせていただいています。中には残酷な描写もありますが、それが真実。ソフトにする必要はないと思っています。作品を通して動物たちの叫びを聞いてください」(杉本)
殺処分される犬猫の数は現在でも1日あたり225頭に上る(2015年度)。
それぞれが己の都合ばかりを優先する、現代日本の縮図といえるかもしれない。
※週刊ポスト2017年7月7日号
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杉本彩 動物愛護活動家として動物福祉の改革を訴える
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