早いもので1年の半分が過ぎもう7月。
今年も毎年恒例の「みんなで学ぼう!動物あいご」を開催します。
学童たちの夏休み期間中7~8月に、敦賀市内9ヶ所の児童クラブで開催を予定しています。
児童クラブの先生方との打ち合わせはほぼ完了しました。
後は資料づくり、これが一番時間を要します。
紙芝居、○×クイズ、など今年も刷新した内容で行います。
その中での紙芝居についてご紹介します。
今年の紙芝居は「いのちをいただく」。
命を「解く」ということばを、ご存知ですか。
食肉解体業に携わる人々が、牛や豚を殺す、という意味で実際に使っている言葉です。
これは、食肉センターに勤めて実際に命を解くことを仕事にされている、坂本義喜さんのおはなしです。
牛の命を解いて、お肉にする。坂本さんはこの仕事がずっといやでした。
世の中の人々にとって大切な仕事だということはわかっていても、牛と目が合うたびに、仕事がいやになるのです。
心のどこかに、いつか辞めたい、という思いを抱えていました。
あるとき、こんな坂本さんの気持ちを変える出来事があったのです。
小学校三年生の息子のしのぶくんの参観日。食肉解体の仕事をかっこ悪いと思っていたしのぶくんですが、仕事の大切さについて教えてくれた先生の言葉を受け、お父さんの仕事の偉大さを理解していきます。
息子の理解に励まされ、仕事を続けようと決意したある日、目の前に現れたのは一匹の牛と女の子でした。
「みいちゃん、ごめんねぇ。」謝り続けながら牛のお腹をにさする女の子。
生まれた時から一緒に育ってきた牛のみいちゃんとの別れを悲しむその姿に、気持ちが揺らぐ坂本さんは、解体の仕事を休むとしのぶくんに打ち明けます。
「この仕事はやめよう。もうできん」そんな坂本さんに、しのぶくんがかけたことばは・・・。
講演で坂本さんが語るエピソードに感銘を受けた助産師・内田美智子さんが、本として綴った「いのちをいただく」。
10万部を超えるヒット作となった単行本は、その後漫画家の魚戸おさむさんがイラストを担当されて紙芝居に、そして今回絵本となって私たちのもとに届きました。
語る人、綴る人、描く人、作品として世に送り出す人。
それを子どもたちに読み継いでいく人。
様々な立場の人たちの想いがつながり絵本となった作品、こうして紹介する文章を打つ指も、自然に重たくなっていきます。
それほどに「命の重み」を強く問いかけられるのは、命を解かれている坂本さんご本人の声に基づいたおはなしだからでしょう。
生きるために食べること、食べるために働くこと、そして命を解くこと。
全てはこのサイクルの上に成り立っている。
多くの生き物たちの命と人々の葛藤に支えられながら、私たちは今日も「いただく」ことができるのですね。
8歳になる息子、お肉を食べることが大好きです。
その笑顔が見たくて、食卓に出してきました。
いつこの絵本を息子に読もうか、少し悩んでいます。
でも必ず、一緒に読みたいと思います。
読んだ後は、きっとこの言葉の意味をかみ締めながら、感謝して食事に向かい合えるはず。
「いただきます」。
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
地球上の生き物は生き物を食べて生きています。
食べなければ生きていけません。
命の重みというものを常に持ち、生き物に感謝する心、私たち人間すべてががこのように感謝の心を持つことによって不幸な動物たちは無くなるのではないでしょうか・・・
子供の時に命の尊さというものを理解することはとっても大切なことだと思い、今年はこの紙芝居を取り上げました。
来年はまだ明確ではありませんが、「ブタのPちゃんと32人の小学生」(映画での題名は「ブタがいた教室」)を紙芝居にしたいと考えています。
(Fujita)
「ブタのPちゃんと32人の小学生」
著者:黒田恭史
出版社:ミネルヴァ書房
出版年月日: 2003年6月15日
価格:2,160(税込)
映画「ブタがいた教室」
解説
ドキュメンタリーとしてテレビ放映され話題を呼んだ、大阪の小学校の新任教師による実践教育を基に映画化した感動作。
1年間大切に育ててきたブタを食べるかどうかで大論争を巻き起こす子どもたちの、うそ偽りのない表情にカメラが肉迫する。
『涙そうそう』の妻夫木聡が教師役に初挑戦し、子どもたちと素晴らしいコラボレーションをみせる。
大切な命をどうするかという結論を自らの力で出そうとする生徒たちの姿勢が、痛いほどダイレクトに伝わり心打たれる。(シネマトゥデイ)
あらすじ
6年2組を担任することになった新米教師の星(妻夫木聡)は、食べることを前提として子ブタを飼うことをクラスの生徒たちに提案する。
校長先生(原田美枝子)にも相談し、卒業までの1年間26人の生徒が子ブタの面倒を交代でみることになる。
最初は戸惑っていた子どもたちも、“Pちゃん”と名付けた子ブタを次第にかわいがるようになり……。(シネマトゥデイ)
(C) 2008「ブタがいた教室」製作委員会
「ブタがいた教室」子どもたちの本音を引き出した即興演出が奏功
まず何よりも6年2組の小学生が小鳥や兎や山羊ではなく、ブタを飼育した実話に意外性がある。
物語は担任が「大きくなったらみんなで食べよう」と教室に子ブタを連れてくるところから始まり、子どもたち26名が“Pちゃん”と名付けて世話をしながらペットとして愛情を抱く展開は予想通り。
実話の映画化だから奇想天外な事件は起こらないが、家庭環境の違う子どもたち一人一人の表情が生き生きしている。
卒業式を控えた子どもたちがPちゃんを「食べるか、食べないか」でディベートするクライマックスでは、27人目の生徒になった気分でドキドキした。
教育映画的なうさん臭さをまったく感じないのは「命の大切さ」や「食」についての考え方を押しつけないで、子どもたちの本音を引き出しているからだろう。
主役の子どもたちをサポートする担任役の妻夫木聡が自然体で好感を持てるし、出番は少ないが校庭でブタの飼育を認める校長を演じる原田美枝子の包容力も印象に残る。
前田哲監督は、子どもたちにセリフ部分や結末が白紙のままの脚本を渡したという。
ドキュメンタリーに近い即興演出は、ドラマを凝縮したセリフになりにくいのだが、周到な準備のおかげで奇跡的に成功している。
子どもだけでなく誰にとっても「食」の問題は無関心ではいられない時代である。
この映画を見たことで、殺生と「いただきます」の意味を再認識した。
(垣井道弘)(映画.COM)