土佐犬どこへ 盗難?逃走?・・・住民は警戒態勢
2016年5月26日(木) 河北新報
男性が飼う別の土佐犬は体重が約60キロでも迫力がある=青森県六ケ所村
青森県六ケ所村尾駮で、闘犬用の土佐犬が22日から行方不明になっている。
警察や役場職員らが捜索しているが、3日たった25日も見つかっていない。
飼い主の無職の男性(72)が「連れ去られたかもしれない」と気をもむ一方、村は逃げ出した可能性を想定し、小中学校に注意を促すなど警戒態勢を取っている。
行方が分からなくなったのは4歳の雄「高潮」。
闘犬の大会に何度か出場し、相撲に例えた番付は前頭。
体長約130センチ、体重約80キロと、土佐犬の中では珍しいほどの大きさだという。
男性は9頭の土佐犬を飼っており、自宅敷地にある犬舎内の鉄格子のおりに1頭ずつ入れていた。
22日夕、高潮がいないのに気付いた。
おりには長さ約50センチの棒を抜き差しするかんぬきが付いているが、開いていた。
男性は「犬が自分で開けられるわけがない。50年間土佐犬を育てているが、これまでで一番の大きさ。誘拐されたみたいなものだ」と話す。
高潮は静かで人懐こい性格。
体が大きいため走るのは苦手だという。
男性によると、闘犬用の土佐犬は愛好家の間で嫌がらせをしたり、盗んだりすることがあるといい、繁殖用に連れ去られた疑いも拭えない。
男性は過去に2度、子犬を盗まれたという。
付近では連日、野辺地署や村役場、県動物愛護センターなどが捜索しているが目撃情報はなく、同署は盗まれた可能性もあるとみる。
村は防災無線で注意を呼び掛け、小中学校では保護者が送り迎えを続けている。
孫を迎えに来た横浜町の主婦(67)は「大きい犬なので何かあったらと思うと怖い。早く見つかってほしい」と心配そうに話した。
【写真特集】体重60キロでもこの迫力・・・男性が飼う別の土佐犬
不明5日、土佐犬の死骸発見 青森、連れ去り殺害か
2016年5月28日 朝日新聞
土佐犬が飼われていた犬舎=青森県六ケ所村尾駮
27日午前8時45分ごろ、青森県おいらせ町の百石海岸沿いの防風林で、近くの漁業の男性(78)が土佐犬1頭が死んでいるのを見つけた。県警地域課によると、六ケ所村で行方不明になっていた土佐犬と確認された。
発見場所と飼育場所は直線距離で約40キロ離れていることから、野辺地署は何者かが土佐犬を連れ去って殺した可能性が高いとみて、死因などを調べている。
この土佐犬は、体長約1・3メートル、体重約80キロのオスで、闘犬用。死体に目立った外傷はないという。
六ケ所村尾駮の無職男性(72)が自宅敷地内の犬舎で飼っていたが、23日朝にいなくなっているのに気付き、警察に届け出ていた。
野辺地署などが捜していたが、目撃情報がなく、ふんや足跡なども見つからなかったため、同署は連れ去られた可能性が高いとみていた。
飼い主の知人で、NPO法人「全土佐犬友好連合会」(北九州市)の本部長を務める今井勝男さん(78)は「小屋もおりもしっかりしていて、逃げられるような状況ではない」と話す。
青森は闘犬が盛んで、六ケ所村によると、村内でも13人が34頭を飼育している。
今井さんによると、成犬は20万~30万円で取引されている。
土佐犬は専用の引き綱を見せれば、運動できると思って喜んでおりから出て行くという。
今井さんは「ただ、80キロとなると1人で運ぶのは無理。途中で手に負えなくなって殺したのでは」と話す。
飼い主は「残念だけどしょうがない。覚悟はしていた」と話した。