「すべての犬や猫を救いたい」 それが出来ていない「現実」
2016年4月18日(月) sippo(朝日新聞)
緊急院内集会で、「蛇口を閉めていただかないと」と発言した保護猫カフェ「ねこかつ」店長の梅田達也さん
Facebookをわりと熱心にやり始めてから2年程が経ったでしょうか。
先日、私の投稿を見てくれている知人から、「犬のことが多いよね?」という指摘を受けました。
確かにそのとおりです。
でも、その「犬」とは、愛犬のココやハンターのことではなくて、動物愛護の活動をしている方の投稿をシェアしているからです。
仕事の合間や移動中、スマホでFacebookをのぞいたとき、そうした投稿を見つけると、次から次へとシェアしている私。
保健所にいて「命の期限」を決められてしまったわんこの情報から、迷子犬を保護しているという情報や、愛犬がいなくなってしまった・・・などなど。
なかには「悪徳」ともいうべき業者の告発や、殺処分されてしまったわんこたちの画像がアップされているときもあります。
本当にいたたまれない気持ちになるし、そうした投稿をシェアすることぐらいしか協力できない自分を情けなく思います。
ですが、以前、「シェアしていただけるだけでも助かる」とコメントを返してくださった方がいらして・・・。
それを信じて、できる限り、フォローしたりシェアしたりしているので、結果、「犬のことが多い」こととなっているのです。
私とハンターを出会わせてくれた「the VOICE」さんもFacebookをやっていて、今年になってからは、ほぼ毎日曜日、譲渡会をしてくださっています。
それも、犬の殺処分ゼロを達成している川崎市の譲渡会に参加したり、千葉にある動物病院の協力で譲渡会をしたり・・・と、わんこをたくさん連れて他県へ移動するのはどれほどタイヘンだろうかと、考えるだけでも頭が下がります。
昨年末、北海道で急逝された飼い主さん(お住まいは千葉県)の元からジャーマン・ピンシャーを保護し、都内の預かりボランティアさんを経て、静岡にお住まいの新たな飼い主さんにつないでくださった「福光の家」の平山ガンマンさんは、長文の投稿や、人間のエゴによってつらい目に遭っているわんこの画像を一日に何度もアップしてくださいます。
ガンマンさんの「福光の家」は、東日本大震災で被災した福島県の動物を主に保護なさっていますが、それ以外にも、毎日毎日、不幸なわんこの実態に決して目を背けることなく、活動なさっていらっしゃいます。
保護犬5頭と暮らしている浅田美代子さんや、「TOKYO ZEROキャンペーン」代表理事で元衆院議員の藤野真紀子さんは、犬猫にまつわるニュースにコメントを付けてシェア。
そこには、保護団体の方が保健所から引き出してくれたわんこの詳細なども記されていて、「ハンターがもうちょっとだけ落ち着いたら、あと一匹、保護したいね」と夫と会話するきっかけになっています。
それにしても、こうした投稿の多いことと言ったら・・・。
多くの人たちが動物愛護に関心を寄せ、2020年の「殺処分ゼロ」に向けて懸命に活動をなさっているのは間違いありません。
なのに、なぜ、悲しい思いをしているわんこが「減っている」と「実感」できないのでしょうか。
「とても追いつかない」
その答えを2月19日、衆議院第2議員会館で行われた緊急院内集会で聞いた気がします。
本サイトでも既報どおり、この集会は、札幌市動物愛護管理条例の「生後8週間は親子を共に飼養する」条項を「全国へ」というスローガンのもと、「幼い犬猫を守る札幌市条例を応援する有志」の皆さんが主催してくれた会でした。
国会議員や獣医師、法律家のほかに多くの動物愛護団体の代表が出席し、有意義なお話をたくさん聞かせていただきました。
議論が白熱し、時間がなくなってしまったラスト、埼玉県川越市にある保護猫カフェ「ねこかつ」店長の梅田達也さんが発した短い短いコメントが忘れられません。
正確ではありませんが・・・梅田さんのコメントを紹介します。
梅田さんは、自身や協力スタッフがギリギリの経費で運営していること、オーバーワークになっていること、いわゆる「持ち出し」になっていることなどを早口で訴え、「蛇口を閉めていただかないと・・・」とおっしゃいました。
ラフなスタイルの梅田さんからは、この会に参加する時間を捻出するのもひと苦労だったという雰囲気が伝わってきました。
ある団体の方から、「犬や猫をすべて引き出してあげたいという思いは常に持っています。でも、それは無理。とてもじゃないけれど、追いつかないんです」と聞いたことがあります。
「現場」に足を運べば、聞くに耐えない、見るに耐えない「現実」がわかることでしょう。
動物愛護団体の皆さんは本当に頑張ってくれています。
なのに、蛇口からジャージャーと水が出っぱなしのような状態では・・・。
新年度となり、参加している団体や委員会での活動の中で、もっともっと頑張らなければと決意をしているところです。
(コラムニスト・山田美保子)
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すべての犬や猫を救いたい
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