保護犬、仮設の主人と再会
2013年3月7日 中国新聞
広島市安佐北区のNPO法人犬猫みなしご救援隊が6日、福島第1原発事故の被災地から連れ帰って保護している犬2匹を、福島市の仮設住宅などで暮らす飼い主と再会させた。
保護した被災地の犬と猫は計約1400匹。
4月6日には広島市中区で活動を紹介するイベントがある。
中谷百里理事長(50)は6日朝、雌の老犬ポチッ子を連れ仮設住宅を訪れた。
「元気だったか」。
満面の笑みで出迎えたのは菅野サツキさん(85)。
抱き寄せられたポチッ子は、懐かしい飼い主の顔をなめて喜んでいた。
菅野さんは福島県飯舘村から避難した。
仮設住宅では犬が飼えないため、2011年5月に救援隊へ預けた。
「一緒に村に戻れる日がくるのかな」と菅野さん。
夕方には中谷理事長がポチッ子を迎えに来て、再び離れ離れの生活に戻った。
この日は別の犬1匹も、飼い主の高齢男性と再会した。
救援隊はこれまで、保護した被災地の犬猫のうち約500匹を飼い主に戻し、900匹は安佐北区の保護施設や全国の里親の元で預かっている。
2、3カ月に1度、飼い主と会わせている。
中谷理事長は「ペットと離れた飼い主は、避難生活のストレスに加え、家族を失うような悲しさを感じている。世話を続けて安心させたい」と話す。
イベントは4月6日午後1時半から、広島市中区の中国新聞ホールである。
活動に共感した広島市内の有志が企画。
中谷理事長が小さな命の尊さについて講演し、演劇の上演もある。
【写真説明】中谷理事長(左)が連れてきたポチッ子を迎える菅野さん(撮影・桑田勇樹)