フクロウ人気急上昇 カフェ盛況、自宅でも飼える?! 価格高騰も
2016年1月4日(月) sippo(朝日新聞)
オウル・ファミリー社長の丸岡由佳さん
猛禽類(もうきんるい)のフクロウが大阪府内で人気を集めている。
フクロウたちとふれ合える「フクロウカフェ」はここ2年で相次いでオープンし、行列ができるほど。ペットとして飼う人も増えている。
11月下旬、大阪府大阪市北区の天神橋筋商店街にある「フクロウのみせ 大阪店」を訪れると長蛇の列ができていた。
中に入ると、人の拳より小さいものから体長50センチ近い大型の種類まで約30羽のフクロウがお出迎え。
鋭い爪とくちばしで小動物を捕食する獰猛(どうもう)なイメージがあるが、丸い目をぱちくりさせたり、眠そうにあくびをしたり、のんびりとした空気が店内に漂う。
料金はドリンク付きで1時間1500円から。
客はスタッフから触り方や注意事項の説明を受けた後、フクロウをなでたり一緒に写真を撮ったりできる。
2013年6月にオープンして以来、来客数は右肩上がり。
カフェを運営するオウル・ファミリーの丸岡由佳社長は「フクロウは性格もおとなしく、しぐさもかわいい。見ているだけで癒やされるというお客様が多い」と話す。
大阪市健康局などによると、市内でのフクロウカフェの届け出は13年度の2軒から、2015年11月末現在で8軒に増えた。
13年に箕面市、14年には堺市でそれぞれ1軒の届け出があった。
フクロウに注目するのは日本人だけではない。
大阪市中央区のフクロウカフェ「LUCKY OWL(ラッキー アウル)」も休日には立ち見が出るほど混雑するが、4割がインターネットやガイドブックを見て訪れた外国人観光客だ。
藤永年秀店長(60)は「海外ではフクロウを飼うのに登録が必要な国もある。気軽にふれ合えるカフェは日本にしかないのでしょう」と理由を分析する。
ペットとして飼う人も増加
ペットとして自宅で飼う人も急増中だ。
丸岡社長によると、お面をかぶったような特徴的な顔で知られるメンフクロウの販売価格は13年に1羽約14万円だったのが、人気が出た現在は約25万円に高騰したという。
大阪府交野市の水原亜依子さん(21)は今年5月、モリフクロウの「まるちゃん」を飼い始めた。
これまでも犬や文鳥を飼う動物好きだったが、カフェでまるちゃんに出会い、ひと目ぼれ。
何度も通い、両親と相談して飼うことにした。
「温かくてフワフワで、肩に乗せると耳にまるちゃんのぬくもりを感じる。マイペースなところも癒やされます」
なぜフクロウが人気なのか。
国立科学博物館(東京都台東区)でフクロウの研究をする樋口亜紀さんによると、フクロウの認知度が高まったのは映画「ハリー・ポッター」シリーズの影響が大きいという。
主人公ハリーがシロフクロウを相棒にしていたからだ。
「フクロウは目が人間のように平面に付いていて親しみやすく、性格も穏やかです」
樋口さんによると、フクロウのペット化、特にフクロウカフェは日本特有の現象なのだという。
「大型のものは大きな獲物を捕食するので武器である爪も鋭く、人間を傷つける可能性もある。ペットとして古い歴史を持つ犬や猫とは違うと認識しておく必要がある」
野生鳥獣救護ドクターとして猛禽類の救護も手掛ける中津動物病院の中津賞(すすむ)獣医師も、ペット化には注意を呼びかける。
「野生のフクロウは様々な生物を食べて健康を維持する。飼育下でエサの多様性を確保するのはまだまだ難しいし、30年以上生きる種もいる。ブームだからではなく、慎重に判断してほしい」
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フクロウカフェ人気急上昇
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