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老いたペットを介護

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老いたペットを介護 自然の中でゆったりと(和歌山)

2015年11月6日 朝日新聞


「いつまでも子犬のように無邪気でいられる場所にしたい」と話す石橋紀裕さん=那智勝浦町井鹿





年老いたペットのための草分け的な介護施設が那智勝浦町井鹿にある。
「老犬・老猫ホームMOMO」は自然豊かな環境を生かし、「いつまでも子犬や子猫のように無邪気でいられる場所」を目指している。
親戚のペットホテルで働いていた代表の石橋紀裕さん(39)が妻の麻木さん(29)と始め、今年で10周年。
20代でうつ病に悩んだ頃に支えてくれた愛犬のソラ(11)を思い、「もし自分がいつかソラを飼えなくなるとしたら、どんな所に預けたいだろうか」と考えた末、「僕たちの願うものはない。ないなら作ってしまおう」と始めた。

敷地内の計3棟には、小型犬用、元気な中・大型犬用、要介護犬用などの犬舎・猫舎がある。
地元の紀州材を用い、エアコンや床暖房も完備。
「食の楽しみを味わってほしい」と、えさには勝浦のマグロやカツオを使い、週に1度は勝浦温泉の湯のお風呂に入れて、マッサージもする。
犬舎の2階に住む石橋さん夫妻ら4人のスタッフが、24時間態勢でケアしている。
今は、様々な事情で飼い主と一緒に暮らせなくなった犬と猫計30匹が入所。
飼い主が亡くなったり、老人ホームに入ったり、転勤したり――。
中には、ペットの認知症が悪化したため、助けを求めてくる人も少なくない。
「切迫した声で『今すぐ来てください』と電話をかけてくる人もいます」と紀裕さん。
相談があれば、全国どこへでもすぐに迎えに行っている。
入所前は、ほえたりかんだりしていた「問題児」も、自然の中でゆったりと時間を過ごすことで、日に日に穏やかになっていくという。
「どんな子でもじっくり向き合えば、人との正しい距離の取り方を取り戻す。そのための環境を整えてあげることが大事」。
麻木さんも「みんな自分の子どもみたいにかわいい。一匹一匹性格や動き方によってニーズが違うからおもしろいですよ」と話す。
「MOMO」は初めて介護した犬の名前と、「いつまでも、ともに」の合言葉からとった。
紀裕さんは、「ペットの介護で悩んでも、1人で抱え込まないで。いつでも相談してください」。
入所金は不要だが、ケア代が必要。
問い合わせは、石橋さん(0735・57・0012)へ。


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