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猫殺処分の現場

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猫殺処分の現場、78%が子猫の理由は 対策のカギは不妊去勢

2015年11月13日(金) sippo(朝日新聞)


収容された子猫たち

2013年度まで10年間で、1年間に殺処分される犬の数は5分の1まで減った。
猫も減ったものの、まだ2分の1、2013年度は99,671匹が殺処分された(環境省統計)。
この差はなぜか。
どんな猫が殺処分されているのか。
徳島県の動物愛護管理センターを訪ねてみた。
徳島県の人口は約76万人。
センターは、県北東部の神山町に位置する。
収容室に入ると、猫が入れられた小さな箱が並んでいた。
殺処分の機械が稼働するのは週2、3回。
引き取られた猫は、箱の中で殺処分までの日々を過ごす。
子猫たちの助けを求めるような鳴き声が聞こえる。
センターの職員(獣医師)は、「昨年度の猫の殺処分数は786匹です。このうち78パーセントが生まれたばかりの子猫です」と話す。


猫が入れられた箱

県内では、飼い猫に不妊・去勢手術を行わず、放し飼いにする飼い主が多く、生まれてくる子猫が後を絶たないという。
「飼い猫の子猫については、再び産ませないように親猫の不妊・去勢手術をして証明書を持って来なければ、引き取りません。インターネットの里親募集サイトを教えて、自分で子猫の里親を探すように伝えています」
センターに引き取られる子猫のほとんどは飼い主のいない猫が産んだ子猫だ。
犬のように登録が義務付けられていない猫の場合、飼い猫が産んだ子猫と、飼い主のいない猫が産んだ子猫を明確に区別できているのかは疑問だ。
このセンターでは、飼い主不明の成猫も引き取っている。
「野良猫が次々と子猫を産んで数が増え、苦情となっている場合、殺処分数を削減するためにも、親猫も引き取らざるを得ません」
引き取られ公示されている間に、飼い主が返還を求めて来ることはまずないという。
「自分が飼い主であるという自覚と責任感が乏しい人が多く見受けられるのは事実」と職員は嘆く。
「不妊・去勢手術するのは不自然」「費用がかかるから嫌」などの理由から手術を行わない人はいまだ少なくない。
そうして生まれた子猫は、生後91日以上なら1000円、生後91日未満なら200円で引き取られる。
新しい飼い主に譲渡されることは、年20匹から30匹と少なく、多くが殺処分される。
殺処分の日が来ると、猫たちはトラックに搭載された殺処分の機械に入れられる。
トラックが県内を移動している間に、二酸化炭素を注入され、猫たちは窒息死する。
2003年にセンターが開設される前、地域で反対の声が上がった。
そのため、施設内で殺処分は行わず、場所が特定されないよう、移動中に殺処分を行うのである。
「私たちも、殺したくて殺しているわけではないのです」と職員はいう。
徳島県では、2010年度から「地域猫活動」を推奨している。
手順を踏んで地域猫活動を始めた場合は、センターで猫の不妊・去勢手術が無料で行われるという。

環境省によると、2013年度に全国の自治体で殺処分された犬は28,570匹、猫は99,671匹。
猫のうち、約6割にあたる59,712匹が子猫だった。
特別な事情がない限り、飼い猫には飼い主が不妊・去勢手術をすべきだろう。
飼い主のいない猫には自治体が責任を持つべきだ。
手術を徹底することが、殺処分の大きな削減につながることは間違いない。


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