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独居老人支えたペット、死後残されるケース多発

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独居老人支えたペット、死後残されるケース多発

2015年10月11日 読売新聞


「一緒に過ごせて幸せ」と、猫の佑介を優しくなでる女性(横須賀市のさくらの里山科で)

独り暮らしのお年寄りを「家族」として支えたペットが、誰にも引き取ってもらえずに取り残されるケースが目立っている。
神奈川県動物保護センター(平塚市)に持ち込まれる犬猫のうち、「飼い主の病気、高齢、死亡」を理由とするのは約3割に上る。
動物愛護のボランティアは、万一の際の保護について、飼い主が元気なうちから行政などと情報共有する仕組みが必要と指摘している。
横須賀市内のマンションで昨年末、独居男性(87)が亡くなっているのが見つかった。
浦賀署員が遺体を搬送したが、ペットの犬はそのまま室内に残され、2か月後、部屋の整理業者が餓死した犬を発見した。
近隣住民は「警察が保護したと思っていた。我が家で引き取ることもできたのに」と残念がる。
同署はこの問題を受け、飼い主の死亡で取り残されたペットを発見した場合、市動物愛護センターに連絡するよう署員に指導した。
同市動物愛護センターでは、飼い主が亡くなったペットは、親族などから連絡があり、所有権放棄が確認されれば保護する。
今年5月には独居男性が飼っていた猫9匹を引き取り、新しい飼い主を見つけて引き渡した。
ただ、引き取り先が見つからないこともあり、「保護を依頼される場合は最悪、殺処分も覚悟してほしい」としている。
県動物保護センターも、飼い主の死亡や病気、老人ホーム入所など、やむを得ない理由がある時は引き取るが、無制限に保護することは不可能だ。
独り暮らしの高齢者にとって、ペットはさみしさを和らげ、生活に張り合いを与えてくれる存在。
それでも、動物愛護団体の関係者の間では「身寄りのない人たちからペットを取り上げるのは酷だが、自身の年齢とペットの寿命を考慮して飼うのが最低限の責任だ」と指摘する声が目立つ。
鎌倉市のボランティア団体「PAK保健所の犬・猫を救う会」の石川悠子さんは「ペットを飼っている高齢者の情報を、介護福祉部門や保健所など行政機関内で共有し、急病などの場合にも、ペットが放置されることを防ぐ仕組みを検討してほしい」と訴える。
        ◇
特別養護老人ホームなどの中には、犬猫との共同生活を認める施設もある。
横須賀市の特養ホーム「さくらの里山科」は、4階建ての2階部分が「ペット可」の居室フロア。
現在、入居者が一緒に連れて来たり、飼い主が死亡して取り残され、ホームで引き取ったりした犬5匹、猫9匹がいる。
女性(71)は2年前、8歳の雄猫「佑介」と入居した。
テレビを見て涙をこぼしていると、心配そうにそばにいてくれる佑介は「一番の理解者」だ。
ホームでは、入居者が亡くなった場合もペットの世話を続け、死んだ後は火葬して納骨し、ホーム内に写真を飾る。
若山三千彦施設長(50)は「家族同然のペットと暮らすことで、入居者に前向きな気持ちになってもらう。これが大事なことです」と話している。
(岩島佑希、光尾豊)


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