火の用心だワン! 消防団犬ココ、イベント引っ張りだこ
2015年9月21日 朝日新聞
下京消防団永松分団(京都市下京区)には愛らしい「準分団員」がいる。
メスのシバイヌのココ(12)。
下京消防団永松分団の消防団犬ココ=京都市下京区
「消防団犬」として、飼い主で分団長の村田卓三さん(90)とペアで地域の火災予防のイベントなどに参加し、火の用心を呼びかけている。
「ココちゃん、いつもご苦労様やな」。
定例の夜の見回り日。
村田さんに連れられて詰め所にやってきたココを分団員たちが囲み、頭をなでてやった。
12年前、犬を欲しがっていた村田さんに、息子が生後2カ月のココを買ってきて贈った。
ふだんは、村田さんが経営する骨董(こっとう)品店で看板犬を務める。
ココが「消防団犬」の一歩を踏み出したのは10年ほど前。
人前でめったにほえず優しいココの性格を見込み、村田さんが警察の防犯パレードに参加させたのがきっかけだった。
「一人で呼びかけるよりも関心を持ってもらえた」と手応えを感じた村田さんは、半世紀以上務めてきた消防団の火災予防の広報活動にも連れて行くようになった。
村田さんたちがマイクや拍子木で人々に注意を呼びかける中、村田さんが手作りした厚紙の制帽と「火の用心」と書かれたゼッケンを身につけて先頭を歩いて分団員たちをリードする姿がかわいらしく、たちまち人気者に。
ココ専用の「準分団員」の肩書も付けてもらった。
今では、祇園祭や秋の火災予防運動、年末特別警戒などでも引っ張りだこだ。
毎月5、20日の「無火災推進日」には、12人の分団員とともに市中心部の繁華街などを約40分間巡回する。
巡回中、自宅に近づくと帰ろうとして方向転換することもあるが、村田さんが「お仕事やで」と声をかけると表情を変えて再び歩き始める。
その姿に飲食店のおかみさんや出会う人々から「えらいね」「かわいい」と声をかけられたり、写真を撮影する人だかりができたりする。
火災で消防団が出動する時は詰め所で留守番をして、分団員たちの無事を祈って待ち続ける。村田さんは「管内は飲食店などが多く、火気の取り扱いに特に注意が必要な地域。少しでも火災が起きないように、相棒のココとしっかりアピールしていきたい」と話す。
(森泉萌香)