ペットと暮らす部屋づくり 習性知り、欲求満たす工夫
2015/05/26 朝日新聞・朝日新聞デジタル|更新|
犬や猫などペットとの暮らしは安らぎを与えてくれますが、コードをかまれてしまうなど困りごとも起こります。どうしたらともに快適に暮らせるのか?
日本獣医生命科学大学講師の水越美奈さんと、1級建築士の金巻とも子さんに聞きました。
「本や獣医師、自治体主催のセミナーなどを通して動物の習性を知って、対応するといい。欲求を満たしてあげれば、家具も荒らされなくなります」と水越さんはいう。
例えば猫は不安が強い動物なので、安心できる高いところから、「下界」を眺めるのが好きだ。
高くて身を隠すこともできる居場所があるといい。
マンション暮らしで、押し入れやタンスの上など猫が好む居場所がない場合は、作ってあげたい。
金巻さんは「簡単なのは、高さの違うカラーボックスや本棚を並べて階段を作ること。収納にも使えます」と勧める。
下から2、3段目あたりのボックス内にも居場所を作ってあげるといい。
猫のベッドを上に置くときは、樹脂などの滑り止めマットを敷くこと。
滑って着地を失敗したら、二度と登らない。
キャットタワーを使う場合は棚のそばに置き、渡り歩けるように。
猫の生活空間が広がり、運動量も増える。
外を眺められるよう、窓際に置けるといい。
猫の爪研ぎには、
(1)爪のさやをはがす。
(2)マーキング。
という二つの意味がある。
室内に何カ所か爪研ぎを置き、欲求を満たせるようにしよう。
いすやソファを狙うようなら、いすの脚に麻縄をまいたり、厚手の布でカバーしたりして保護する。
室内にこんな工夫を
獣医師でもある水越さんは、「夜間の救急で最も多いのは犬の誤飲」と話す。
犬は口で調べる習性があるからだ。
人間の赤ちゃんと同じで、怒っても効果はない。
(1)かんだりのみ込んだりしてほしくないものは片付ける。
(2)片付けられないコードなどは、カバーをしたり家具の裏側にはわせたりして隠す。
(3)ほかの楽しいおもちゃを与える。
といった対策が必要だ。
チョコレートやネギなどは、犬や猫が食べると中毒になる。
ゴミ箱にふたをつけたり、台所の入り口にゲートをつけたりして予防しよう。
動物たちが室内で過ごすことが多い家では、効率的に遊べるよう工夫するといい、と金巻さんは助言する。「例えば段ボールに穴を開けて置いておくだけでも、猫は出たり入ったりしてよく遊びます。廊下に滑りにくいカーペットを敷いておくと、犬や猫とのキャッチボール場にもなりますよ」
(佐々波幸子)