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受刑者が生産、最高級和牛/網走刑務所 飼育通じ更生

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受刑者が生産 最高級和牛/網走刑務所 飼育通じ更生

2015年5月14日 東奥日報

網走刑務所(北海道網走市)の受刑者が生産した黒毛和牛の肉が2月から「網走監獄和牛」の名前で発売され話題を集めている。
受刑者は全員が畜産の素人だが、飼育を通じて「命の切なさを学んでいる」といい、日本食肉格付協会(東京都)の定める等級で最高ランク「A5」を獲得する牛も出ている。
網走刑務所には懲役10年未満の受刑者が入所し、現在約1100人が木工や窯業などの刑務作業をしている。


塀のない農場では生活態度が良く、仮釈放の見込みがある人たちが作業。
畜産は全国の刑務所のうち網走でだけ行われている。
牛を飼育するのは、刑務所の牧畜班8人。
刑務所から約7キロ離れた塀のない「二見ケ岡農場」の宿泊施設に住み、専門官の指導を受けながら牛約100頭を世話している。
午前7時40分から午後4時20分まで、餌やりや牛舎の掃除、施設の修理などをこなす。
農場で繁殖し、生後約30カ月、体重750~800キロを目安に出荷される。
4月22日午前、小高い丘の上にある農場の牛舎を訪ねると、受刑者が大きく肥えた牛にブラシをかけていた。


飼育を始めて約1年の30代の男性受刑者は「誕生から出荷まで付き添い、命の尊さや切なさを学んでいる。(高評価の理由は)1頭ずつ愛情を持って接し、ストレスをかけないようにしているからかも」と話した。
刑務所によると、4月16日に出荷した5頭の等級は、3頭が「A5」、2頭が「A4」だった。
刑務所は「6割が最高等級を獲得するのは高い比率ではないか」としており、指導する久保裕一(くぼ・ゆういち)法務技官は「良い肉の生産は血統、餌、飼育環境が鍵」と話す。
1997年ごろから肉牛の飼育が始まった。
久保技官が着任した4年前から牧草を多く与えるようになり、自由に水が飲めるように施設を改修するなどした結果、肉質が向上。
昨年1月から12月までに出荷した23頭のうち、8頭が「A5」を獲得した。
生産した肉はホクレン農業協同組合連合会(札幌市)を通じて「北海道産和牛」として流通しているが、給食会社「エームサービス」(東京都)が一部を購入し「網走監獄和牛」と名付けて今年2月、刑務所の隣の売店で発売した。
ステーキ用や焼き肉用などがあり、100グラム350~1000円。
売店の担当者によると、入荷すると行列ができ、人気の部位はすぐに売り切れるといい、今後、販路が拡大される可能性がある。
刑務所は「動物を相手にすると、人は優しくなる。命に寄り添うことで、思いやりの気持ちが育まれれば」と更生への期待を込めている。
(共同通信社)


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